第10話 マリ・クラウス

「ふむ、別にいいぞ。」

「えっ、自分で言っておいてなんですがそんなあっさり許可してもいいんですか?」

「ああ、ちょうど弟子を取ろうと思っていたんだ。」

意外とあっさりと弟子入りが決まってしまった。

「あの、貴方の名前は何ですか?」

そう言えば名前も聞いてなかった。名前も知らぬ人の弟子になってしまうとは我ながら考えなしに行動してしまった。

「私の名前はマリ。マリ・クラウスだ。」

その名前を聞いて俺は驚く。

「マリって、あの“一閃のマリ”と名高いあのマリさんですか!!」

「その通りだよ、ルカラ。私のことは“師匠”と呼んでも構わないぞ。」

自身気にマリさんは答える。そして

「それで?弟子君はどんな魔法が使えるんだ?」

俺にとって一番酷な質問をして来た。

「俺は…俺は魔法が使えないんです。それどころか魔力すら無いんです。」

俺は渋々答える。

「ほう、それは珍し体質だな。どれ」

そう言ってマリさんは俺の額に人差し指で触れる。しばらくして

「おお、本当に魔力が無い!!驚いたな、この世界にそんな体質の子がいるなんて。」

興味深いと一人で楽しそうにしている。

「あのぉ…やっぱり俺は戦えないんでしょうか。」

俺の質問に

「そんなことはない。だが、まずは君の体について詳しく調べよう。それが先だ。」

マリさんはそうか答えると

「じゃあ、博士のとこに行こうか。」

ニッコリ笑ってそう言った。俺にはその笑顔が恐ろしく見えた。

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転生したら無能力者だった。 小説 書蔵 @nubesuko16

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