第9話 出会い
目を覚ます。俺は生き残ったのか…ここは何処だろうか…
「目が覚めたか。自分が誰か覚えてるか?」
そう尋ねてくる女性が一人。髪が短く、少し吊り上がった目をしているが、美人の分類にされる女性だ。
「ここは何処ですか…」
「質問で質問を返すな、と言いたいところだが特別に教えてあげるよ。ここはリムルド騎士団本部の病院だよ。」
俺の質問に答えてくれた女性は
「さあ、私も答えたんだ。今度は君が答える番だよ。あの夜何があったんだい?」
そう言ってきた。
「俺の名前はルカラ・シャルティです。あの夜、あの夜は自宅で父が帰ってくるのを待ってました。そしたら、家のドアをノックする音が聞こえてきて。リンが、俺の妹が父と思って迎えに行ったんだ。そしたら、そしたらリンの体が半分になっていて。それから、それから…」
「分かった、もういいよ。辛いこと思い出させてしまったね。すまない。」
女性は俺の話を遮ってくれた。
「あの、街はどうなったんですか…?」
俺は恐る恐る聞く。
「残念だが、ほぼ壊滅状態だ。生き残った者もほぼいない。」
そんな。ショックで言葉が出ない。そんな時
“ひどいな、そんなことをするなんて。許せないねぇよな。”
また奴の声がした。ああ、許せない。母さん達だけじゃない、街の人達も殺したんだ。許せない。
「どうした、顔色が悪いぞ。」
女性が心配そうに聞いてくる。
「ここがリムルド騎士団と言うことは貴方も騎士なんですか?」
僕の質問に女性は
「当たり前じゃないか、それが何か?」
不思議そうな顔で答えてくれる。
俺は死にかけた夜の時と同じようにどす黒い感情に動かされるままにこう言った。
「お願いします、俺に戦うすべを教えてください。」
それが俺と師匠の出会いだった。
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