第3話 なぜ人間という生き物は、こうもだらしがないのでしょう
なぜ人間という生き物は、こうもだらしがないのでしょう。
常々思っているのでございますが、人間という生き物は、毎日毛繕いをしないでも生きていけるのでございます。わたくしには到底できない事でございます。毎日ペロペロと自分で自分をきれいにしなくては気になって気になって仕方がないのでございます。ところが小林さんちの人間の子どもと来たら。特に四番五番なのですが、毎日お風呂に入ることもなく、髪の毛も長くボサボサなのでございます。
全く持って不潔。
それでいてわたくしを抱こうとするものですから、わたくしはもう嫌だといつも威嚇しているのでございます。
本日もそうでございました。今日はとても寒く、昨日の夜から降り始めた白い綿が地面を覆い尽くしております。私はもう寒すぎて、いつもの椅子で丸くなりながら体を温めておりました。するとどうでしょう。お布団から出てきた小林さんちの人間の子どもが、代わる代わるわたくしに、福ちゃんおはよ、福ちゃんおはよなどと言いながらやってくるではないですか。もう、本当に口から出る息が臭くって!
「何日歯磨きしてないんだ! この不潔な人間ども!!!」
と言いましたが、人間の子どもたちは、
「おはようって言った〜。福もおはようって今言ったよねぇ〜。」
などと言いながらわたくしを撫でてくるものですから、わたくしはすぐさま庭に逃げて行きました。
名誉のために申しますと、この人間の子どもは小林さんちの四番五番です。全くもって不愉快。そりゃ猫は一年で人間の子どもでいうところの十八歳くらいになります。だからわたくしはただいま約十年生きておりますので、人間でいうところの五十六歳くらいでしょうか。ママさんよりも十四歳も年上です。
ママさんやパパさんはそれを理解していて、わたくしを尊重して接してくれているのですが、全くもって、四番五番はわかってない!
毎日歯を磨かなきゃ、お口がものすごい匂いを放つことも、髪の毛がボサボサで、ましてや身につけているものの足に大きな穴が開いているなどとは! 身嗜いがなってない! わたくしには全くもってあり得ないことなのでございます。
そんな本日。何やら嬉しそうに四番五番が紙というものに色を塗っています。色を塗っている握っているものをどうやらどっかのおじさんにもらったとか。知らない人に物を貰ってはいけません。これは当たり前でございます。わたくしは、絶対知らない人がくれた物を口にしません。だって、もしかしたら毒が入っていたらいけないから、お家の外ではもらったものは食べてはいけませんよとママさんがいつも言っているからです。全くもってそのことさえも忘れる四番五番の人間の子どもはバカなのでしょう。
四番五番の人間の子どもたちは、ママさんがプリントアウトしてくれたと意味不明な言葉を吐いて喜び、よく四角い箱で出てくる人間の絵を一生懸命塗っております。これすごい上手にできた! ママ見て! などと言いながら、わたくしの大好きなママさんが何やらご自分の部屋、いえ、部屋ではございませんね、あれは多分物置でございます。その物置で、これまた光るひらべったいものをカチカチ指で打っているところにわざわざ見せに行きます。
「へぇすごい! 上手やん。」
などとあしらうママさんのご様子を見て、わたくしも思いました。ママさんとわたくしは同じ対応なんだと。
その後も何度もそのくだりがあり、
「いい加減に寝ろ! もう何時だと思っとるんや! 11時すぎてるやろ!!」
とママさんが物置から叫び、ひゃあ〜と人間の子どもたちは寝床に入って行きました。その声がデカすぎて、いささかわたくしも外に逃げようかと思いました。
こうして、小林さんちの夜は今日もふけていくのでありました。
追記
人間の子どもたちに怒った後のママさんは何やらカチカチと光る四角いものに指を走らせながら、できたと満足そうな顔を浮かべまして、何度目かの冷蔵庫に向かいまして、美味しい! などと言いながら、しばし経ちました頃、本日のお風呂に入ることなく寝てしまいました。
やはり。人間全般的に、だらしなくて不潔?
続・秘事は睫毛か、 和響 @kazuchiai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。続・秘事は睫毛か、の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます