第1話 ストリートビュー⑤1時00分到着

 そしてようやく、いや、あっという間だった。「到着しました」というスマートフォンの音声とともに現れた白亜の建物。深夜放送を行っている放送局だけに、窓から明るい光が漏れている。

 ちょうど午前1時。何だか満足感で笑いがこみ上げてくる。FM局の前には、ガラス張りのスペースがあり、時々ここで公開放送されていると思われた。亮はいつか公開放送に行ってみようと思った。



――さあ、引き返そう。今度は途中のコンビニで煙草を買って、燻らせながら歩こう――

そして、ふと思い出してスマートフォンで亜矢にメッセージを送った。


「夜中にごめん。オレ、M町に就職したよ」と。


――「M町に就職」ってのはおかしいかな。町役場でもないし。ま、いいか――


 そしてクマのブラウンがガッツポーズをとっているスタンプを送った。



〈終わり〉

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12時発、1時着。/3つの心の旅【第1話】ストリートビュー 秋色 @autumn-hue

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