108話 久々の甘々タイム、そして初めての……?

 翌朝、身体が重っ苦しい気がしつつも、両腕に何だか柔らかい感触もあって目が覚めた。

 特訓頑張り過ぎたか……?と思っていたが、目を開けて見てみると……


 右腕がカエデに抱き着かれて、左腕がセシルに抱き着かれて、更には俺の身体の上で人型シェミィが丸くなって寝ていた。


 何だ?この幸せ空間は。


 抱き着かれている腕が、2人の胸の間に挟まれてぷにぷにである。

 カエデは寝る時にブラを付けないタイプなのは分かっていたが、セシルも付けない派だったんだな。


 夜も明け始めた時間らしく、窓から漏れる明かりもまだ薄暗い。

 まだ起きる時間じゃなさそうだ、もう少しこの幸せ空間を堪能しよう……


 そう思い、まずはカエデの方を見た。


「すぅ……んにゃ……」


 うん、可愛い。


 次にセシルを見る。


「……」


 うん、可愛い。


 そしてシェミィを見る。


「ぐぅ……」


 うん、可愛い。


 トリプルカワイイ。

 ……って、何だかそれに近い名前のアニメがあった気がするが、今は忘れよう。


 カエデはいつも通り可愛いな……

 相変わらず耳をピクッ、ピクッとさせていて、寝顔を見ていて飽きない。

 撫でてやりたいが、両腕がパイスラ状態で動かせない。

 でも、見ているだけでも充分に癒しだ。

 寝る前にされたキスのお返しに、俺からも頬にキスをし返した。


 セシルとは初めて一緒に寝たが、元魔物で少し体温の高いシェミィよりも温かく感じた。

 体温もそうなのだが、セシルの体内魔力が心地よい温かさをしている。

 こうして長く身体を密着させているから分かった事だ、多分だが狐の特徴なんだろうと思う。

 初めてこんな間近で顔を見たんだが、1番大人びてて綺麗な顔だなと感じた。

 昨日顔を真っ赤にさせてまでキスをしてくれたお礼に、俺も頬にキスをして返す事にした。


 最後にシェミィだが、目が覚めた瞬間こそ重く感じたものだが、意識がしっかりしてくると全然重く感じなくなっていた。

 めちゃくちゃ真ん丸になって寝る姿が、とても猫っぽくて愛らしい。

 人だと丸くなって寝るのは甘えたいとか、自分を守りたいという気持ちの表れと言うが……猫としてなら普通だし、どうなんだろうか?

 まぁ気持ち良さそうに寝ているし、それとなく今度聞いてみるか。


 3人から伝わる温もり、柔らかさ、香り……

 俺のアレは朝から絶好調だ、たまにシェミィの尻尾が揺れて当たる。


「……いかん、このままでは」


 俺だって男だ、欲はある。

 ずーーっと我慢していたが、流石に毎日こうだと……欲が爆発してしまう。

 でも、ここに居るみんな大事なんだ、無理矢理襲いかかる訳にはいかない、絶対に。

 旅が終わって、みんなの気持ちを再確認してからにしてやりたいんだ。


「……トイレでするか、この世界に来て初めてだ」


 俺は何とか2人の胸から脱出、何度か離すものかと無意識にぎゅっとされたが、俺のアレが喜ぶだけなので……ゆっくりとゆっくりと、ぬるりと抜け出した。

 シェミィも優しく降ろしてあげる、普段ならこれで起きてしまうシェミィも、今回は起きなかった。

 多分昨日の特訓で疲れているのだろう。


 俺はゆっくりベッドから降りると……カエデが起きてしまった。


「んぅ……?ご主人様……?」

「あっ……」


 俺は前を咄嗟に隠した、山になっているから気付かれる。


「どうしたの……?前なんか隠して……」

「あの、そのだな……」


 言い訳を考えていたら、カエデがベッドから降りて近付いてくる。


「……あっ」


 カエデが、俺のアレに気付いてしまった。


「ご、ごめん……止めない方が良かった、よね?」

「……すまん、みんなに抱き着かれてたら……こうなって」

「ううん、ごめんね……ご主人様だって男の子だもんね……今まで全く発散していなかったから、大丈夫なのかなって少し心配ではあったんだけど……お風呂の時だって、そうなっててもしたいって言ってこないし……」

「まぁ……今は旅中だしな、みんなを万が一妊娠とかさせてしまうような事があったらまずい。旅が終わって、みんなの気持ちを確認してからにしたいんだ」

「ご主人様……」


 カエデが、俺にぎゅっと抱き着いてきた。


「ご主人様が、私達の事をとっても大事にしてくれてるってこと、たくさん伝わってくるの。私達は奴隷なのに、やらしいことだって本当はやりたい放題のはずなのに……我慢してくれてる。でもね、一時期不安だった時もあったんだよ?」

「不安……?」

「私、魅力ないのかなって……ね。でも、お風呂場で見ちゃった時や今のそれを見て、ご主人様もちゃんとそういう気持ちになるって分かって、安心してる私が居るの」

「……」

「だ、だから……ね?我慢しないで、私に任せてくれない……かな?」

「えっ……」


 カエデが、俺のアレをズボンの上からツンツンと触る。


「っ……!」


 異性に触られるだけで、ゾクゾクしてしまう。


「まぁ……確かに妊娠しちゃうとまずいから、ご主人様の言う通りにする。でも……ご主人様としたくない訳じゃなくて、逆にしたいって思ってたから……だからそれが叶うまでは、私がお手伝いしてあげるね?」


 俺は、カエデにお風呂場に連れていかれ……

 初めてながらも、カエデは俺の為に試行錯誤して頑張ってくれた。

 内容は語るつもりはない、だけど……尽くしてくれるカエデの姿は、とても愛おしくて……

 そして、俺に良い反応があると、カエデは嬉しさと共に幸せそうな顔をしていた。

 心の中からも、俺を想う気持ちが伝わってくる……奴隷だからではなく、純粋なカエデの気持ちである事は明らかだった。


 俺は、このままじゃダメだと思った。

 本当は1人でするつもりだった、みんなに迷惑かけたくなかったし……

 でも、それが逆にカエデを不安にさせていたみたいだった。

 だから、みんなにきちんと話しておこうと思う。

 これから生涯共にするのだから、この話もいずれしなきゃならない大事な事だ。

 もし、カエデと同じく他のみんなも、これについて思う事があるなら共有しておきたい。


 溜まったものを吐き出して終わった後、身体を洗ってから湯船に移動。

 カエデと寄り添いながら幸せな時間を過ごし、お風呂から上がった。

 気付くと外が明るくなっており、比較的早起きのヴィーネも起きてきていた。


「コウガ様にカエデ様、おはようございます。お早いですね、朝風呂ですか?」

「あ、あぁおはよう。少し寝汗をかいたんでな、な?カエデ」

「う、うん!たまたま2人同時に起きたから、汗を流そうって事になったの!」

「そうでしたか、ふふっ」


 ヴィーネは何かを悟ったのか、笑みを浮かべながら台所へと向かったのだった。


「……バレた?」

「……バレたね」


 お互いに顔を紅くしつつも、本番はしていないから!と心の中で誤魔化すのだった。

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もふもふ好きトリマーの異世界旅~奴隷との絆で変身だ!~ ひょーう.CNP @hyou910

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