悪役令嬢ですが、巻き戻し時計で未来を変えますわ！→どーしてこーなりましたの―⁉

第1話

　「これより、クリステラ＝アマリリスの処刑を行う！」

　罵詈雑言の中に死の宣告が響き渡る。

　喜び、狂乱、憎悪、嘲笑が入り混じる中、処刑人が斧を振り上げる。

　私はここで死ぬ。謂れの無い罪で罰を受ける。

　自身の過去の選択を呪う。

　処刑人の慈悲ある一撃は私の首を落とした。

　落ちる首が見たのは、家に代々伝わる懐中時計だった。

　「クリステラ、僕の伴侶となって欲しい！」

　目の前には見飽きた男。

　いや、ぶっちゃけ私の死因の元夫、ベリオンじゃないですの？

　首…付いてますの。周り…群衆は居ませんの。処刑人も…。

　手には最期に見た懐中時計。

　《巻き戻しの時計》

　『家に伝わる時計は主の危機に際して時を戻す。』という言い伝えを思い出しましたの！

　そう、私は今、過去に戻りましたの！決定的に運命を決めたあの瞬間（頃）に！

　目の前の男は美形をキラキラさせてこちらに手を差し出しやがりました。

　あの時はその手を取ったのですが、その結果がアレ（断首）。

《チャート》

　結婚→コイツ（ベリオン）が家の力を搾取→用済みな私を始末→断首

　よし変更ですの。

　「お断りしますわ。打算腹黒排泄物男なんてお断りですの！」

　奴の股を蹴り上げてその場を逃走しましたの。DEAD　END　回避ですの！

《数年後》

　「クリステラ＝アマリリス討伐戦の開始じゃぁあ！」

　目の前では戦争。

　「どーしてこーなりましたの―⁉」

《変更後チャート》

股を蹴る→奴（ベリオン）がキレて暗殺者を差し向ける→鏖（返り討ち）→なりふり構わず国を分断するレベルで政争→周囲に飛び火してエッグい内紛勃発（現在）

　「やっちまいましたのー！」

　《巻き戻しの時計》

　《変更後チャート2》

　結婚する→間男（浮気相手）を唆してこちらから暗殺→裏社会と繋がって洒落にならないブラック令嬢にジョブチェンジ→正義感満載な異世界からの勇者様と一騎討して討ち死に。

　「どーしてこーなりましたの―⁉」

　《変更後チャート3》

　結婚→ベリオンを悩殺→仕事そっちのけで私優先→民草ブチギレ→ベリオンと一緒に火炙り

　《変更後チャート4》

　いっそハーレムを作る→ハーレム内部で抗争→一国が幾つもの小国に分裂→ハーレムの一人が最終兵器使用

　「どーしてこーなりましたの―⁉」

　《変更後チャート》

　下手に誰かに肩入れすると怖いので自身に力を集結→不穏分子を種の段階で摘む→契約と恐怖でのみの関係性の構築→いざという時の為の自身の能力向上→

　「偉大なるクリステラ＝アマリリス殿下に永遠の忠誠を！」

　→魔王エンドに到着

　「どーしてこーなりましたの―⁉」