より良き未来へ続く為

屑もち男

プロローグ 五年前——終戦破棄に予備の弾丸の役割

 ロンドン郊外で行われていた四半世紀の期間、攻め込むのを止めなかった異世界の国家、大帝国との終戦交渉は突如として発生した大爆発により終戦の可能性は消えた。

 目が覚めたら僕以外の周りにいた者は死んでいた。服は焼け焦げ存在しなかった、どうせ二番目の予備、救援は兄の戦矢が優先されるのだから好き勝手動く。

「ブリジッド様、申し訳……申し、訳ござい……ま……」

「僕は防人達矢だ!人違いだ!助けに来たぞ! 」

 暗闇を恐らく照らしてるであろう満点の星々とその中で輝く爆発と閃光の広がる。

 異世界語を絞り出すかのような声で喋ってはいるが、瓦礫と爆炎を庇ったおかげで顔面が押しつぶされ脳みそと目が飛び出て、裂傷の激しい火傷を負った護衛。と、思わしき回復速度を超す損傷のおかげで助からない女性を無視し辛うじて作った隙間へと潜り込み救出を行う。

「無事?」

「え、ええ……」

 何とか生きていたスマホのライトで照らしながら彼女の手を掴む。

 生きてたからこそ引っ張り出したのは、大爆発前会場で出会って交友した少女の一人だった。

 奇跡的に無傷だ、フリルの付いた桃色のドレスや波立つ金髪の髪の毛が焦げ煤汚れてる。それに彼女近いが違う匂いのしない血のりがべったりとついているだけているだけで異常は無い。名前は確か―

「シャルロット。この空間自体が崩れる、早く逃げるぞ!ここから」

「弟がまだいます。後継者です早く助けないと」

 おそらく無意識に年齢が変わらないはずだが表情に声が淫靡な雰囲気を醸し出し懇願した。各種汚れをがそれらをより加点する。

「君に付いた血の量だともう死んでる。急いで」

「血? 」

 引きずられながら自分のドレスを確認し、ようやく自信が誰かの血まみれだったのに気付く。

「こ、これでもまだ死んでるとは」

「この目で見たけど体温が人の体温じゃなかった。もう死んでる。いいから急げッ!」

「キャ」

 力ずよく踏ん張る足を払いのけ、そのままお姫様抱っこを行い外へ続くガラス窓へと駆け出し飛び込む。

「離せ!言うこと聞けないのいいから」

 彼女を傷つけぬように背面から叩き割り外へ飛び出す。その瞬間崩壊が始まり煉瓦とコンクリートで作られた大広間へと続く廊下は完全に崩壊した。

彼女を守るように蹲ると崩壊による瓦礫の拡散から守る。

「達矢ッ!達矢ッ!」

「痛てて……」

 叩き割った挙句守り切り後ろがズタボロになった感触が襲い掛かると同時に愛するアーシャが僕を呼ぶ声が響き、全身の節々が痛い。

「ここだ、ここにいるぞアーシャ」

『確保、確保』

「ぎゃっ」

 叫んだ瞬間、異世界語の声が響き紅く塗られた機動装甲服四機が魔力噴射推進式跳躍機構——通称:魔式ユニットの黒い炎を吹かし周囲に着陸し、内一機に優しく押さえつけられる。

 軽量金属と複合素材に人工筋肉で作られた装着型の強化外骨格だ。

『上の機動装甲服を率いてるガキに次ぐ、こいつがどうなってもいいのか?今すぐ照準を外せ、人探しに来ただけだ危害は与えない約束する。早く』

異世界製の新型第五世代機動装甲服——30式の隊長と思われる人が叫ぶ。

「こっちもたっちゃん探しに来たんだよ!」

 分厚い長方形のシールドを全周囲に展開を行い、魔式ユニットを吹かし上空でホバリングを行う漆黒の機動装甲服——大日本帝国主力となる第五世代機動装甲服である一五式の集団だ。数はおよそ16機。四機を上空に残しそれ以外は降下を始める。

 そのうちの一機に抱きかかえられ叫ぶアーシャがいた。

『防人達矢様をこちらに引き渡せ、今すぐに!早く!』

 殺意にまみれたオーラを振り撒く隊長と思わしき女が、相手にわかるように異世界語で声を荒げる。その怒声が終わると皆口々に殺意交じりで怒鳴り叫ぶ。

『異世界人早くしろぶっ殺されてぇのかオイッ!』

『数じゃあこっちが勝ってんだよ!』

『解放しなきゃ捕虜にはさせませんよ』

『そろって赤く塗りやがってシャアになったつもりか?』

 全員に見覚えがある、戦矢の部下だ皆。いま、僕に所に居ては無らない。戦矢を守るべく近くにいてはならない。アーシャが無理を言って動かしたかと思ったが、彼女にそんな権限は一切ない。

『我々戦矢親衛隊は、防人達矢様の確保がこちらにできれば十分だそれ以外は何も望まない』

『私たちはシャルロット様とシャルル様の救援に来ただけです』

「シャルルは瓦礫に潰され死んだ」

 事実を言った瞬間、このまま頭を握り潰されて死ぬんじゃないかという凄まじい殺意が襲い掛かる。

「達矢は嘘ついてない」

『ブリジッド様に、皇帝陛下にどう報告したら……』

『どうでもいいから早く渡してこっちに』

『どうでも良くない! あぁ……なら我々がシャルロット様を連れ出し離脱するまで攻撃しないと保証しろ!』

 両者隊長の荒々しい口論が始まる。

『月の光の下誓う。それでいいか?』

『ええ、構いませんわ急いでください』

 月の光の下誓う。異世界での夜の時に行う約束事の常套句だ。月が支配する夜での裏切りは許さないという意味の。

『月の光の下誓う。我らはシャルロット様と共に離脱するまで一切の攻撃を行わないと』

『月の光の下誓う。我らは防人達矢様が引き渡され離脱するまで一切の攻撃をしないと』

 そう言い終わった瞬間、押さえつけられた拘束がとけ親衛隊の元へ駆け出す。

 機動装甲服の堅い手を握った瞬間。

『私たちも混ぜてくれないか?』

 突如として上空待機組四名皆が何かに貫かれ両断。

 この声が聞こえた先を皆が見る。

 僕は見た、両者世界に存在しない機動装甲服を纏った……形状奇々怪々の物を装備した複数名の男女が現れる。種族は様々だ。

『特殊魔動装備! 特殊魔動装備を使いやがった!』

『特魔? ま、待ッてこっちは何も』

『隊長は連れて逃げて!いいから!』

『こっちもだ急いで、やられちゃう!』

『砲撃支援要請場所は――』

 突如として発生した謎の両断を、相手が使ったと思われる一切合切のことわりや物理法則を否定する特殊魔動装備の仕業と確定。その為、僕やシャルロットやアーシャを連れて離脱したものや護衛以外、謎の集団との戦いが開始される。

 結果は満足な抵抗ができずすべてが瞬く間に撃破された。

 瞬時に離脱したシャルロッテを連れた一機は追わず僕らの方へ向かってきた。

「畜生ッ!畜生!」

「当たれよ!糞ッ!糞ッ!」

 瞬時に僕とアーシャを抱えたのみに減り、射撃照準の警告音しか聞こえない。

『全裸のガキをを抱っことか面白すぎんだろ!』

 追手のからかうような叫びがオープン通信でなくともこちらに聞こえる。どうよけようが警告音が鳴り響く、遊ばれてる。

 さらに前方上空からは反重力制御が破壊され、金属が強烈な軋みねじ切れる異音響く自壊を行いながら進行方向へ落下を行う飛行艦——大きさからして戦艦クラスが見える。さらには前方にはこの船に向けてと思われる複数のミサイル接近警報が響く。

「飛ばす賭けだ!」

「はっはい!」

 今だ各種艦内装備が生き残ってるらしいく、主砲にミサイルに機銃をバラマキながら沈む。

 そんな中を突破すべく背面や肩の兵装担架に予備弾薬に手持ち武装にパージできる限りの装甲を捨てより加速を行う。

 追手もそれを行うと理解したらしく加速を開始し崩壊する船へ突っ込む。チキンレースの開始だ。

「やったやった行け――」

 下をギリギリ通過する寸前、突如として再び吹かした艦の大推力のエンジンの推進により残骸が押し出され隊長の頭部は砕け達矢は放り出された。追手も同じく潰されたかその瞬間着弾を開始したミサイルの着弾爆発に巻き込まれ、切り裂かれた。

「うぉあああああああああああああああああグぇ」

 その落下も、唯一生き残った機動装甲服の有線切り離し可能な足で掴まれ地面寸前で難を逃れ、その瞬間爆沈し衝撃波が襲い飛ばされる。

「あっぶねえぇ……マジかぁ私以外全滅かあ……あー〈高千穂〉に次ぐ、防人達矢を確保した。これよりそちらに向かう」

 アーシャと達矢を抱きかかえ、唯一生き残ってしまった彼女は事前の合流場所へと向かうこととなった。

 その合流場所は、異世界からもたらされ、物流に一応の革命を引き起こした飛行艦。そのうちの一隻である巡洋艦〈高千穂〉へと着艦すると、すぐさま医師や看護師がやってきて検査されアーシャは医務室に、達矢は問題無しとされて間髪入れずに艦の会議室へと案内される。

「お帰りなさいませ。ご当主」

 僕自身の配下であるエルフのディースがそういうと皆、口々に僕をそう呼んだ。僕ではなくパパや戦矢に付き従っていた人たちもだ。移動本部としての機能があり、もしもに備えて待機していた防人家幹部の多くがだ。

「この混乱でお父様とお兄様は死にました。あなたが当主になったんですよ。達矢。おめでとうございます」

「は?」

 いきなりそういわれ、追い付けず混乱を許してくれずに続ける。

「早速ですが日本へ戻ります。今この部屋で流れている報道や各種機関や人員からの連絡によりますと、叔父様が反乱を起こして家を乗っ取ったようです。これより鎮圧作戦を行います。大日本帝国政府も了承済みです。よろしいですね達矢、いえご当主」

「あ、うんわかった……」

 ほぼ二つ返事で答え決まってしまう。この会議室で流れているBBCやABCにNHKからはこのロンドンの混乱の状況が大々的なニュースとして扱われている。

 そんな中、NHKはロンドンの混乱の報道を止めた。

『臨時ニュースです。臨時ニュースです。行方不明の現当主に代わり防人家臨時当主となった防人遠矢さんによりますと。現当主であった防人勇矢さんとその後継であった兄の戦矢さんに弟の達矢さんの死亡が確認されたため当主を就任するということです。これにより大日本帝国の魔人トップは防人遠矢あ、たった今来た大日本帝国魔人省によりますと。ロンドンの混乱で当主の防人勇矢、次期当主の防人戦矢さんの死亡が確認されたことにより当主は弟の防人達矢さんが就任することになりました。そして達矢曰く「伯父さんに付く者は反乱とみなし武力をもって鎮圧する」とのことです。繰り返します。「伯父さんに付く者は反乱とみなし武力をもって鎮圧する」だそうです』

 こんなこと言った記憶ないんだけど……と思いつつ覚悟を決めなくてはならない。なにせ予備の弾丸として作られた自分の存在価値が今まさに発生した。

「これより帝国——日本へ戻ってくれ。報道の通りの事を行う」

「かしこまりました」

 この鎮圧は周囲の者が大いに望んでる事だ。もう既に防人達矢という個人は、日本の魔力持ちをまとめるというシステムに取り組まれた。死ぬまで逃れられぬことは無い。

 これからは、日本に住む魔力もをつ人間である魔人や同じく魔力を持つ者らのまとめ役として、防人家当主防人達矢として過ごさなければならない。

 これから忙しくなるなぁと、曖昧な気持ちしかわかないが。

「あっそれと風呂入りたいから準備してくれ。汚れて酷いし」

「シャワーしかないです。それでよろしければ」

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より良き未来へ続く為 屑もち男 @kuzudakusoo

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