サウスダコタ州という名前は知っているが、私自身、どことすぐに言い当てられることもないし、もちろん、外国に行ったこともないから当然行った試しもないし、おそらく、死ぬまで行くことはないでしょう。
そんな地でのエピソードを、日本人の方から、こういう形で語っていただけるのは実にありがたいし、ためにもなる。
まさに、これこそが生活者として根を下ろした人なるが故の異文化体験。
私とは性別も年齢も何もかも違う方ではあるが、日本人で日本語をもって意思の疎通が可能であるということだけが、おそらくは唯一の接点。
その唯一の接点から、このような作品に出会えたことに、心から感謝したい。
だけど、私には、同じことは、出来ないなぁ・・・。
日本の田舎にも住めない者が、外国の田舎に住めと言われても、まあ、3日どころか2日ともたないでしょう(苦笑)。
私はね、こういうエッセイを読みたかったんですよ。海外で暮らしている方の日常というかね。雑誌とかテレビで見るような、オッシャレーな海外生活じゃない、リアルな日常、っていう。
作者様が暮らしてらっしゃるのは、まぁ、ほんとに申し訳ないんですけど、名前くらいしか知らないところでして、どの辺にあるのかなんかもさーっぱりで。
だけどその分わっくわくなんですよ。
ニューヨークシティーのアーバンなアレじゃなくて、もう本当にガチで全然わからないアメリカのどっかのお話なんですよ!
さぁ、お願いします!
と意気込んで読み始めたわけですが――
いやいやいやいや!
なんでそんなことになるんだよ!
おい、もっとしっかりやってくれよ!
もうツッコミの嵐で。
文化が違うと言ってしまえばそれまでなんですけど、その違いがでかすぎる!!
えっ、ちょ、嘘、同じ人間だよ?
どうしてそんなにルーズになれるのよ!
私が映画で見るようなアメリカンとはまた違うというか、あれもあれでたまに「うん?」て思うことはありましたけど、何でしょうね、あれは所詮映画だったんだな、って思ったりして。
文化の違いにショックを受けること間違いなしのエッセイです。ぜひ!
作者様はアメリカのサウスダコタにお住いの、子育て中ママさんです。
そこでのお仕事体験をエッセイにしておられるこの本作。
いや、ほんと、思う。
日本人基準で物事を考えちゃいけないな、と。
うちの地区にも最近外国人が増えまして。
お話したり、交流したりすることもあるんですが……。
お互い、文化が違うから、おっかなびっくりなところがありますね。
それが軋轢を生むのではなく、「へえ!」「あ、そうなんだ!」と、驚きながら、ちょっとずつ距離を縮めている感じです。
本作は、そんな距離感や、だからこそ気づく「日本人らしさ」をうまく表現されていて、とても興味深いです。
一話一話の文字数も無理が無いので、ぜひぜひ、異世界・異文化体験をお楽しみくださいませ。