われらが征くは星の大海

 本作はタグに架空歴史とある通り、未来の「歴史」を扱ったSF作品です。

 私も現在、架空の歴史小説を書いており、また、自主企画を主催して、さいきん、架空の歴史を扱った作品を三十以上よみました。
 その観点から、この作品の小説概要に書かれた「作品紹介」欄について、書いていきたいと思います。

 自分で書いていて思ったのですが、架空の歴史を扱った小説の「作品紹介」は実に書きづらい。
 短ければ何を言っているのかわからないし、長ければ読んでもらえない。
 その点、本作の「作品紹介」は、作品世界を手短に、しかも読者にうまく説明できていると思います。それはつまり、作者が作品世界をちゃんと把握できている可能性が高いということでもあります。
 「作品紹介」欄は、作品の顔です。みなさん、参考にされてみてはいかがでしょうか?

 「作品紹介」欄(と第一話)を読んでいて、とくに、私が感心したのは、以下二点です。

 ひとつ目は、登場人物の紹介文です。
 多くの方が意識していないと思うのですが、登場人物の紹介も、作品の一部です。読みやすく、おもしろくなければなりません。そうでなければ、そこで読むのをやめてしまう人も多いでしょう。
 その点で、この作品の人物紹介は、手短かつ興味を引き立てる内容になっています。
 個人的に私が興味を惹かれたのは、主人公たちの実名の記載がなく、綽名だけのところです。
 作者には別の意図があるのでしょうが、登場人物の実名を隠し、綽名だけで話を進めるのは、日本文学の王道のひとつです。
 源氏物語はほぼ全員、実名が書かれていません。漱石の「猫」や「坊ちゃん」もそうです。
 私はその王道の流れを、人物紹介の箇所で勝手に感じて、「これはおもしろそうな作品だ」と思いました。

 ふたつ目は、ネーミングセンスです。
 作品を書いてみるとわかるのですが、カタカナの固有名詞は、使い方がとてもむずかしいです。一歩まちがえると、中二病まるだしになってしまいます。
 その点、この作品の固有名詞の選び方は上手だと思います。
 響きがきれいな、しかし、浮いていない言葉選びがなされています。


 さて、いくら、「作品紹介」欄がうまくまとめられていても、中身がともわなければ意味がありません。
 その点、この作品は・・・・・・、おっと、レビューが長くなり過ぎましたので、作品の内容の評価については、他の方にお任せします。

 ただ、作者の実績や、第一話(三千字)を投稿した段階で星が24もついていることから、読むに値する価値がある作品かどうかは、わかっていただけると思います。
 私は文章・内容ともに感心しましたし、思わず微笑を浮かべる場面もありました。

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