Chapter1-3
「私達が負けたら星守町が……それだけは絶対に許しません!!」
「そうよフィオーレ戦いましょう!!」
しかし奮起する二人に対して町の住民たちの声は意外と冷静でスターダストナイト二世の存在に危機感を持っていた。
「そんな、今までのERRORと違うじゃないか……」
「今回もまた面白おかしい悪の組織だと思ったのに」
「何年かに一回はああいうマジな組織って出るんだよな……」
こんな感じで若干数名だけ不謹慎な住民もいるが概ね恐怖感を抱いている。そして当のスターダストナイトは残りの二人も全力で倒そうとしていた。
◆
「さて、残りは二人……敵の総大将と裏切者……どちらが先かな?」
「なら私が相手よステラ・エムフォーエーワン!!」
断己が近付くと同時に紫と黒のコスチュームのリコルドが叫び手に紫色のアサルトライフルが出現させると即座に射撃体勢に入りフルオートで撃ち始めた。
「ほう、ストレーガか……」
「私をその名で、呼ぶなあああああ!!」
ステプレの名前しか情報を与えられていなかった
「何度でも呼ぶさ『悪夢のストレーガ』、お前は元々こちら側なのだからな!!」
「落ち着いてリコルドあなたはもう先々週から私達の仲間じゃないですか!!」
断己が帰国する原因となったのが裏切者が出て敵が四人から増えたという情報だったからで、異動の辞令が出たのが先週だった。
「だがストレーガいや失礼ステラ・リコルド、君には感謝している」
「なにを言ってるの私はもう、あなた達の敵よ」
「お前が寝返ってくれたお陰で俺は自らの手でステプレを倒し世界征服が実現出来るのだからな」
断己の目的は彼が八歳の時から変わっていない敵討ちと世界征服だった。そのためにひたすらに自らを鍛え準備を整え余すことなく才能も使い今日という日を迎えたのだから。
「ふざけるな!! 星々の輝きを今ここに!!」
「待ってリコルド」
リコルドはライフルを構えるとセミオートで七発の弾丸を発射した。その飛び出した弾丸は断己の目の前で巨大な岩の塊に変化し襲い掛かる。
「ステラ・セプテントリオーネス・テーラー!! くらえええええ」
「ほう、これは厄介……だなっ!!」
しかし岩の巨大な弾丸は七発とも断己の目の前でバラバラに砕かれていた。目にも止まらぬ早業だが断己が自ら再設計しカスタマイズした黒き鎧なら簡単過ぎる動作だった。
「嘘……私の弾丸が全て……」
「いやいや褒めてやろう俺のこの黒き暗黒の牙『†イービル・カタストロフ†』を抜かせたのだからな」
そして断己の手には黒い刀身にシルバーの装飾が施された漆黒の剣が握られていた。この剣で今の攻撃を全て砕いていた。
「くっ、あんなソードどこから取り出したの」
「名前は色々と残念ですが凄いです……」
だが二人が油断した一瞬で断己は鎧の力を起動させリコルドのライフルを蹴り飛ばし黒い剣で一閃した。
「ああっ、ぐっ……」
「リコルド!? そんな……でも、負けません!!」
あっさり倒されたリコルドを心配する間も無く残り一人となったフィオーレも自らの得物を構えて果敢に挑むが相手になっていなかった。
「一人になるとこの程度か情けない……」
「くっ、でも!! 私は皆の笑顔を守りたっ――――」
「守りたいのなら力を見せろよステラ・フィオーレ」
「きゃあああああ!!」
自慢のステッキは黒の剣に弾かれ手に武器は無く、さらに黒の剣はなぜかステプレの不可視のバリアを斬り裂いた。今はドレスの防御力だけで深手を負わずに済んでいるが、それも回復が追い付かずボロボロにされていく。
「どうした? 随分と涼しそうな恰好になったじゃないか」
「え? きゃっ、み、見ないで下さい!!」
攻撃を受け続けて衣服はズタボロで一部素肌が露出していた。端的に言うとコスチュームが破られてエロい恰好になっていた。
「おいおいマズイぞ、どうすんだよ」
「おおっ!! フィオーレちゃん結構いいもの持ってるな」
「隠れ巨乳だったか……うっほ~」
なぜか不謹慎な住民も増え始めたが彼女が負ければ辺り一帯は征服されて大変なことになってしまう。それなのに住民たちは無駄に余裕だった。
「フハハハハ!! 守るべき町の住民さえも今やお前の味方では無いとは……悲しいなぁ、ステラ・フィオーレよ!!」
「くっ、皆さん見ないで下さ~い!! こんな破れた衣装じゃ恥ずかしくて戦えません……ううっ」
「情けない、情けないぞ!! それでも星を守る最後の戦士か?」
なおも意外と大きい胸とスカートが破れて見えそうな下着を必死に隠しながら戦うフィオーレに追撃の手を緩めない断己は勝利を確信した。
「きゃっ……うっ……そ、んな」
そして遂に黒い剣の攻撃でステラ・フィオーレは倒れた。防御する術も無くパンツ丸出しで倒れていた。角度的に上手い具合に聴衆の目からは見えない事だけが救いだが彼女自身は完全に気を失ってしまった。
「ふっ、この程度か!! この程度なのかステラ・プエーレ!!」
完全に勝利の雄叫びを上げた断己ことスターダストナイトは有頂天だった。自分が就任して初日に最大の敵を倒してしまったのは少し拍子抜けだが、もはや世界征服は間近と考えた時だった。
「はぁ、結局、私が出なきゃ行けないのね……」
ぶつくさ言いながら聴衆を割って出て来たのは黒のタイトスカートに白のブラウス姿のOL風の女性で黒髪が肩にまでかかるセミロングの美人だった。そして彼女が肩に上着をかけて歩く姿は妙な風格が有った。
◆
「勇気の有るレディだ……しかし残念ながら全ては終わった」
「ふぅ、たま~に居るのよね、あんたみたいに無駄にやる気のある幹部が」
そう言ってため息をついてフィオーレに上着をかけると向き直った女性の目付きは厳しかった。一瞬だけ
「当たり前だ、私は常に本気、怪我をしたく無ければ離れていろ倒れた戦士に興味は無いが捕虜として四人には尋問させてもらう予定だ」
「そう、退く気は無いのね?」
そのOL風の女性が言った瞬間、今まで静かに見守っていた聴衆が一気に騒ぎ出した。ステプレの四人が現れた時以上の歓声に何かがおかしいと断己は僅かに動揺し始めていた。
「やっちまえ洸ちゃん!!」
「ベテランパワーで、そこの青二才なんかボコボコにしちまえ!!」
「よっ!! 最強のベテラン戦士!!」
割と辛辣だった町の住人の三人衆まで拝むように手を合わせている始末で断己の脳は疑問符でいっぱいになるが目の前の女性はそれに関わらず口を開いた。
「はぁ、相手してやるわ!! ルクサードシャイニー・ステラチャージ!!」
目の前の女性が手を空に掲げて叫んだ瞬間、女性を光が包み込む。それは先ほど戦っていた断己だから理解出来た。倒れた少女達と同じ光だったからだ。
「くっ!! どう言う事だ!?」
なおも光が女性を包むが断己の開発した鎧のカメラ越しに朧気ながら光の中の女性が中心となって光を発しているのだけが分かった。そして光が晴れると目の前に飛び出して名乗りを上げる。
「強く輝く二等星!! ステラ・ドゥーエ、光の導きにより人々を
断己の前に現れた新たなる戦士、ステラ・ドゥーエと名乗った女性は赤く変化した髪をポニーテールでまとめており、コスチュームも黒のドレスに白いフリルをあしらったもので下は同系色のミニスカートになっていた。
「ステプレがもう一人いただとっ!?」
「そういうこと、文字通り私が最後の戦士よ新幹部さま?」
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