悪の幹部やってるけど変身ヒロイン(年上)に目を付けられているらしい
他津哉
第1話「天才幹部と最強ヒロインの邂逅」
プロローグ
目の前の火の海と周囲の瓦礫の山が広がる光景は
「さすがは……最強の星の申し子、まだこんな力を隠しているとはな……」
男は全身が黒い鎧のような
「あんたもやるじゃない、女神の祝福を受けた私に最終モードを使わせるなんて」
対して答えたのは赤と白地の豪奢なドレスに身を包み、さらに背には七色に輝く光の翼を展開する女性だった。
「負けられない、もう俺にはこの手しか残されていない!!」
「よく言ったわ百点満点の答えよ!! さすが私の運命の人っ!!」
「抜かせアラサー女教師がっ!! 俺は絶対に地球を守ってみせる!!」
男は中空から出現させた黒い剣を鞘から抜いて構える。対して女性は優雅に空中に浮かび上がると特大の白い光球を四つ同時に展開し手を掲げた。
あの手が下ろされた瞬間が自分の最期かもしれないと悟りながら何でこんな事になったのかと男は自分が日本に帰国した時まで記憶を巻き戻していた。
◆
「懐かしいな我が祖国、日本か」
優雅に足を組んで窓から眼下を見ると白い雲と青い空のコントラストが目に入る。彼は今、専用のプライベートジェットで日本を見下ろしていた。
「ふぅ、あれが今度のターゲット……何とも皮肉なことだな」
ワイングラスの中身を一口で
「やはり赤がいいな……もう一杯貰おうか」
「はっ、スターダスト・ナイト様」
横に控える筋骨隆々のマッチョな男が所作も丁寧にグラスに飲み物を注ぐ。それを満足そうに見ながらも彼はグラス越しに護衛を
「いけないなトミー、我らの存在は極秘だぞ?」
「失礼致しました
「次から気を付ければいいさ、基地内以外は例え所有している飛行機、船舶、車の中でも迂闊に名前は出すな」
そう言って再びグラスの中身を一口含んだ彼の名は
『間も無く当機は着陸態勢に――――』
タイミングよく機内でアナウンスが鳴ると護衛も離れたシートに着いた。LAから日本まで約半日以上も自分の護衛をしてくれた彼に感謝しつつも着陸前にもう一口グラスに口を付けた。
「ふぅ、やはり至高だ……ぶどうジュースは果汁100%の山形産に限るな、美味い」
最後に名残惜しそうに高級ぶどうジュースを飲み干すとグラスを置いた。ちなみに彼はまだ未成年で当然ながら飲酒は出来ない。そして彼は白ぶどうジュースよりも赤が好きなのだ。
(なぜスターダスト様はワイングラスでジュースを飲むのだろうか、謎だ)
「さて、では行こうか……俺が侵略する国、日本へ!!」
機が着陸したのを確認すると断己がニヤリと獰猛な笑みを浮かべ背広を羽織ると護衛も続いた。向かう先は悪の秘密結社『ERROR』の総本部だ。
◆
そして断己が日本に帰国したタイミングで事件が起きていた。それは断己の所属する悪の秘密結社『ERROR』による侵略行為だった。
「フハハハハハ!! 今日こそは星守町を侵略するのだ~」
陣頭に立ち指揮を執っているのは全身が金ぴかの日本武者のような恰好をした巨漢の男で同じく金色の兜の中央にはデカデカと『金』という文字があしらわれており完全に歴史の偉人のパクリであった。
「
そして彼に追従するのは黒と赤茶色、
「行くのだ下級構成員どもよ!! 街を壊せば壊すほど金をやるぞ~」
「承知之助!!」
彼らは逃げ惑う一般人は特に襲わずに駅前の建物を攻撃し始めた。彼らの目的はあくまで町の破壊にあるのだ。
「ま、またERRORの金色ゴリラか!? 応援を早く!!」
「うわあああ!!」
交番の警察官もやってくるが一人でも歯が立たない。下級構成員にですら警察官は何十人かかりでも勝てるか怪しく、しかも敵の構成員は超科学の結晶でもある特殊なスーツと武器を装備していた。
「やはり銃が効かない……」
「くそっ!!」
彼らの支給されている銃火器では金の鎧武者はおろか下級構成員のスーツに傷すら付けられないのが現状だった。
「雑魚どもが蹴散らせ者ども!!」
「承知之助!!」
そして警察官は下級構成員の持つ黒い棒で殴られて簡単に倒されてしまった。正にやりたい放題だが一般人には手を出さない。ある意味でクリーンな組織でもあった。
しかし破壊行動は普通に迷惑だ。人々の悲鳴が最高潮になったその時、凛々しい声が周囲に響いた。
「そこまでよっ!!」
「来たか、待っていたぞ!! ステプレの小娘どもっ!!」
それまでは悲鳴や怒号で溢れていた現場が一瞬にして歓声に変わった。市民たちが口々に叫ぶのは『ステプレ』の四文字だ。
「人々の笑顔を守るため!!」
「星の導きと共に!!」
「賢慮をもって導き!!」
「希望を照らし出す!!」
その場に響いた声に人々が視線を向けると着地する四人の少女が現れた。
「「「「人々を
四人は高らかに名乗りを上げる、この星の守護者であると侵略者へ言い放った。その瞬間大きな歓声が広がっていき四人の美少女戦士の登場に人々は狂喜乱舞した。
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