第11話
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仏教センターの事務長が王様にネコの法要の事で報告に来ている。
事務長[明後日のネコの法要の準備はほとんどが整いました。今回は1,600匹以上の猫が集まる予定ですのでネコの救護チームを5チーム作りまして、各本物の医者2名と看護師3人それにボランテイア4人を加えて計9人1チームで四方とネコ寺に配置します。
ネコ寺の住職の発案で隣地の空き地に2千食の猫用の食事を用意するということです。][それはとてもいいことだよ。明日香はこれほどに動物愛護の精神があるということとを宣伝できるからな。予算が必要ならいつでも言ってきなさい。]
[法要は10時ちょうどからですが本部をネコ寺におきまして、ボランティアの通信員50人を猫の通り道に配置しまして、7:30分からスタンバイしてネコ情報が入るようにしています。明日香電機の協力で大画面モニターを設置しまひましたので30か所を同時に見ることができます。ここには王様が選んだ20社のメディアが入れます。]
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事務長[法要をするのは猫寺の住職と副住職に猫達だけです。王様と老師は本堂からガラス越しにお茶でも飲みながら眺めていてください。インタビューはネコ寺の住職だけです。来る時と引き上げ時が注意を要するところで、交通事故でもありますと一斉に報道されますので特に注意をしております。
尚、対策本部は裏庭が広いので王様のスタッフのサスケさんに超能力で300人収容の建物を建ててもらいました。イベントが終わりましたら全て撤収です。][わかりました。なにかありましたら私の組織の全力で対処をしますので連絡をください。][承知しました。それでは失礼いたします。]
子供3人組がター坊の店の猫屋でカルピスを飲みながら話している。[あなたたちの店は明日の準備はちゃんとしているの。]ター坊[生活がかかっているので、何度も点検していますよ。在庫も大丈夫です。][ボクんちも大丈夫だジョー。][トラちゃんのところは全部の猫に連絡が行っているよね。]ミャーミャーミャー
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いよいよ猫達の大法要の日になった。仏教センターのイベントスタッフは朝7時に来て対策本部に詰めている。既に祭壇や住職達が座る席に寺猫の席が用意されている。他の多数の猫達は地べたにそのままである。
ネコの動向の一報が来たのは門前町駅から歩いて15分ぐらいのきゃら駅との中間地点のボランティアの観測員からである。野良猫風の家族のようで子猫を入れて5匹ということだ。続いて各方面から発見の連絡が来ているが大画面用のカメラが設置されてあるのはもう少し寺よりなので画面には入ってこない。
王様一行は法要開始時間の30分前の9:30分に行く予定である。熱心な外国のテレビ中継車はいち早く知らせようとかなり遠いところま来ていたが、30匹ぐらいの集団がやってくると興奮状態になっている。対策本部の大画面の30ヵ所のポイントにすべて確認がされるようになったので、ここの20社の報道関係者もあわただしくなっている。
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救護ポイントには予想通りに老野良猫や幼い猫達が保護されて栄養剤が含まれた食べ物を与えられ、小休憩をしてから出かけて行った。今日1日だけ日本語が分かるように設定してあるので、横断歩道でも警察官の指示に従うはずである。
そのうちに通りという通りは隙間のないほどネコに占められてしまったが、日曜日で通勤客がいないのでなんとかなっているようである。そのうちに先頭集団が山門をくぐっていったがネコ寺への参道700メートルには両サイドに5階のスタンドが設けてあり、お寺の管轄で有料で貸している。
先頭集団の一番前面にいるのは地方の幹部なのか堂々としている。トラちゃん直近の大幹部は5匹いるそうだがその下あたりにランクされているのであろう。
境内に入ってくるとカメラが一斉にこの先頭のサバ猫に集中したので、それが解るのか栄養が行き渡っているきれいな毛並みで誇らしげにしている。
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法要開始15分前になったのでほとんどの猫達が銅像の前に集まっているが、老野良猫や幼い猫達は救護班の手当てを受けて何とか持ち直して整列の中に加わっている。この様子を外国の中継カメラが映像にとらえていて、少し長めにこの場面を放送している。ヨタヨタ歩きでやっと到着して、救護班の世話になるネコは案外と多く天手古舞状態になっている。5分前に何とかおさまってきれいに整列した。
銅像の前の住職と副住職が観世音菩薩のチベット式のマントラ、オン マニ ペ メ フ ムが始まると1,600匹以上の猫達のミャーミャーが始まり大音量でうねっているようなものすごい迫力で40分間続いた。その後に住職の短い挨拶があり終了である。これから空地に2,000食が用意されているので、ほとんどがそちらに移動をして満足そうな表情で食べている。事前にボスネコのトラちゃんから情報が行っているので、これだけを目当てに来ている野良猫もかなり多いようだ。
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ネコ寺の和尚とどういうわけか市長がインタビューに応じている。
記者[壮大な大イベントが終わりました。世界に誇れるんじゃあないんですか。言い出しは市長だと聞いていますが。]
市長[個人ではなく皆さんの協力でこのような事が出来て大変に誇りに思っています。]和尚[この話をまとめたのは新門辰五郎さんの娘のタエさんでとても努力をされました。それと重要なポイントは自ら観世音菩薩を造り出し適切な指示をした王様の力が大きかったです。今後とも皆様の力をお借りして、毎年の恒例行事になるようにしたいと思います。]
本堂のガラス越しにお茶を飲みながら見物をしていた老師と王様は満足そうにうなずいて笑みを漏らしている。そこにどこから入り込んできたのか、ボスネコそっくりの茶トラの子猫2匹がガラス越しの日差しにまどろんで寝ているようだ。
あやかし猫寺の秘密 古寂湧水 こじゃく ゆうすい @bontendo
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