恋の苦味に満ちた、深い余韻の残るエッセイ。

口当たりの良い滑らかさや甘さだけではない、恋の苦味に満ちたエッセイです。
本作を読み終え、現実の恋情とはこういうものだという思いがどっと吹き出すようでした。苦くて痛くて、不確かで。幸せに辿り着く保証なんてどこにもない。同性同士の恋であれば尚更、容易には前進できない困難に遮られます。
けれど、その人を慕わしく思い、愛した事は間違いなくて。
一方向へうまくまとまらない複雑な感情。人間は、そんな手に負えない自分自身の心を必死に見つめながら進む道を選び取り、選んだ道を信じて前に進むしかない。そんなことを、改めて思いました。
重く深い余韻が残る作品です。

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