第577話 いよいよ感動の⋯⋯!
タオルケットの下でサーヤにしがみついて金縛りを引き起こしていた双子も、お腹に張り付いていた妖精トリオも、サーヤの視界を塞いで夜にしていた妖精さんたちも剥がされた今、天界樹様とサーヤの間に立ち塞がるものはなくなった⋯⋯
『さあ、サーヤ。愛し子よ、その可愛いらしい目を開けて、はやくその目に妾を映してたも』さらり
「ふにゅう?」
わらわ?誰かなぁ?
優しく前髪を払うように撫でられて、サーヤがようやく目を開けると⋯
ビタっビタビタビタッ!
「ふぎゅっ!」
なんかまた夜!
『『あっ!こら!だめでしょ!』』
せっかく目を開けたサーヤの顔にまた!張り付いたのはさっきまで張り付いてた妖精さんたち。
『あなたたち、嬉しいのは分かるけどっ』
『今はダメだよ~っ』
天界樹様とサーヤの出会いにまた立ち塞がった!どうやらサーヤが起きてくれたのが嬉しかったみたいです。
慌ててエルフ姉妹が回収しようと駆け寄っています。
「ふにゅう~」
あれ?また違う声がしてる~。でも、また夜だからまた寝ていいかなぁ?くぅ~
『いやいや、サーヤ、朝だから』
『起きましょう』
クゥとフゥが突っ込んでます。
『おやまぁ⋯⋯お主ら、妾と愛し子の邪魔をする気かえ?』パチパチっ
「ふ、ふお?」
今度はなんか怖い感じがする?
『『『『ぴゃっ』』』』びくぅっカチンっ
『『すみませんっすみませんっ』』しゃしゃっ
扇の先に雷をパチパチさせた天界樹様。凄みが⋯⋯
恐怖で固まった妖精さんたちをエルフ姉妹、直ちに回収!
「ふ、ふにゅう?かりゅい?」
お顔、軽くなったぁ?
『軽い?うん、まぁ、剥がれたからな』
『軽くなったと言えば、軽くなったのかしら?』
クゥとフゥが的はずれなことを言ってるサーヤに『今、言うことがそれ?』とか、呆れながら答えている。
『さあ、愛し子よ、目を開けてたも』キラキラ
また慈愛の女神様に戻った天界樹様が声をかければ、今度こそ、感動の⋯⋯!
「ふにゅう~?まぶち?」
サーヤがなんかキラキラ眩しくてゆっくり目を開けると⋯⋯
『ふふ。ようやく出会えたのぉ。寝顔も可愛かったが、やはり起きた顔も可愛いいのぉ。おはようなのじゃ、サーヤ。愛し子よ、会いたかったのじゃ』うるうる
感無量の天界樹様のおめ目はうるうる。一方⋯⋯
「ふおおぉぉぉ」きらきらきらきら
『あ、サーヤの目が』
『キラキラね』
『これでもかってくらいに開きましたね。寝起きなのに』
『宝物見つけたみたいなおめ目です』
クゥたちだけじゃなく、山桜桃ちゃん達も起きたサーヤの顔を見てちょっと呆れてます。
「きりゃきりゃ、えほんにょ、てんにょにょ、おひめしゃま~」
絵本から出てきちゃった?あ、もしかして
「さーや、えほん、はいっちゃっちゃ?」
サーヤが絵本の中に入っちゃった?
『ん?絵本とな?』こてん
なんのことじゃ?と首を傾げる天界樹様。その動きに合わせてシャラリと揺れる金の髪飾りと豊かな濃い緑の髪にサーヤは
「ふあああっ!やっぱち、てんにょにょ、おひめしゃま~っ!しゅご~っ」ぱちぱちぱち
と、寝たまま興奮して拍手している。
『何やら、とても喜んでくれておるようじゃが⋯⋯凛?』
どういうことか、説明をしてくれぬか?と、おばあちゃんを見る天界樹様に
『あらあらまあまあ、この子ったら⋯⋯ごめんなさいね。天界樹様はサーヤの大好きな絵本に出てくる天女のお姫様にそっくりなのよ』
おばあちゃんがサーヤに聞こえない位の声の大きさで説明すると
『ふむ。大好きなお姫様とな?悪い気はせぬのぉ』くふふ
天界樹様、嬉しそう。
『サーヤ、この方は本物よ。絵本の中から出てきたのでも、あなたが絵本の中に入った訳でもないのよ。ちゃんと触れる本物よ。ほら、ね?』ぽよんぽよん
「ふおおぉぉぉ?ほんもにょにょ、てんにょにょ、おひめしゃま?」
すごいすごい!本物だって!でも、おばあちゃん?
『凜よ、
「あい」
そう。おばあちゃんが押しているのは天界樹様の豊かなお胸⋯⋯
『あらあらまあまあ、言わずもがな、ぼん・きゅっ・ぼん!の女の敵だからよ!』ビシィっ
『凛さん、ブレないな』
『相手は天界に住まう方なのに』
『お構いなしだな』
おいちゃん、ギン様、アルコン様も呆れてます。
『〖さすがですね〗』うんうん
〖バート、医神、そこ感心するところか?〗
ヴァル様はおばあちゃんにもバートさんたちにも呆れてます。
『そうは言われてものぉ。まあ、天界の凛に比べれば随分とマシじゃがのぉ』ふぅ⋯⋯
天女様が色っぽくため息ついてます。けど、おばあちゃんのこの不敬ともとれる行動をこんな簡単に流しちゃうなんて⋯⋯
「おばあちゃんちょ、おばあちゃん⋯⋯」
二人とも?何してるのかな?
「んにゅ?」
てんにょしゃま、よく見るとお着物みたいな帯のお洋服、それに、今のおばあちゃんは天界のおばあちゃんよりマシって言ってた⋯⋯ということは?
「ふ、ふにゃああああっ」がばちょっ
もしかしてっ?
『サーヤ?』ぽよんぽよん
『如何したのじゃ?』しゃらり
サーヤが飛び起きてぷるぷる震えてます。おばあちゃん、それでもその手は?
「てんにょしゃま、もちかちて、みょう⋯⋯」ぷるぷる
『『もう?』』ぷよんぷよん。こてん
なにかしら?と仲良く首をかしげ、次の言葉を待つ天界樹様とおばあちゃん。でも、おばあちゃん、手⋯⋯。
「あ~れ~おだいかんしゃま~、ごむちゃいにゃ~、しゃれちゃっちゃ?」ぷるぷる
よいでわないか、わはははは~くるくるくる~って
『はて?あ~れ~?ご無体な?⋯⋯ああ、そういえば、以前チョコの時のカードにもそのようなことが書いてあったの?『逃げて』ともあったが、あれはどういうことなのじゃ?』
いっそう首を傾げる天界樹様と
『あ、あらあらまあまあ⋯⋯』
サーヤが何を言いたいか気づいたおばあちゃんと
『『『『『ぶふっ!』』』』』
おいちゃん達、周りで見ていた大人たちが思い出して吹き出した!
「おばあちゃんが、ごめしゃい!ごめしゃい!」がばっ
サーヤ、今度は土下座!
きっと、あ~れ~はしてなくても、お胸むぎゅうとかはしてるかも~っもしかしたらジーニ様とシア様も~
サーヤ正解!
『あ~、ははは、それは、のお?シア⋯⋯』
〖あ、あはは⋯⋯〗
否定はできない天界樹様とシア様。笑って誤魔化すしか⋯⋯。天界のおばちゃんのお料理と天界樹様の果物の相乗効果で若返った時に、お胸やらお尻やら⋯⋯
『凛さん、マジか⋯⋯何やってんだよ。くまの編みぐるみならともかく⋯⋯いや、それでもアウトだろうけど』あちゃ~
額に手を当てて天を仰ぐおいちゃんと
きゅるる『人型であれやったらダメだと思う』
『『『『うんうん』』』』
頷く大人たち。
「ごめしゃいごめしゃいっ」ぺこぺこ
コメツキバッタのように謝り続けるサーヤと、
『天界の私が失礼致しました』深々~
サーヤの隣に移動して美しく頭を下げるくまの編みぐるみの方のおばちゃん⋯⋯。さすがに自分でもまずいと思ったんだね。
そして、その間に『あ~れ~』が何なのかいつの間にか来ていたエンシェントスライム夫婦のアルとアウルが天界樹様とシア様にこっそり耳打ちして教えている。
『な、なんとっ⋯』
〖あ、あはは⋯〗
天界樹様とシア様、この状況を理解。
『こほんっ。ま、まあ、ともかくじゃ』
天界樹様、気を取り直すように咳払いをすると
『サーヤ、やっと会えたのじゃ、そのような泣きそうな顔より、どうか笑顔をみせておくれ』ふわり
「うにゅ?」
気がつくとサーヤは、天界樹様に優しく抱っこされてました。
『妾は謝って欲しくてここに来たわけではないのじゃ。会いたくて会いたくてたまらなかった愛し子⋯⋯サーヤに会いに来たのじゃよ』にっこり
「てんにょにょ、おひめしゃま」
サーヤがぼぉっと美しい天界樹様の笑顔に見とれてます。
『ふむ。妾としたことがまだ名乗っておらぬかったの。妾は天界樹の精じゃ。天界樹で良いぞ。よろしく頼むのじゃ、サーヤ』にっこり
天界樹様、ようやく自己紹介出来ました。
「さーやはさーやでしゅ!にしゃいでしゅ!よりょちくおにぇがいちましゅ!」ぺこりんっ
サーヤも慌てて自己紹介!
『ふふ。ほんに愛いのぉ。天界の凛には悪いが、会えて本当に嬉しいのじゃ』ぎゅむ~すりすり
サーヤをしっかり抱きしめて愛しげに頬ずりする天界樹様。サーヤはというと
「うにゅ」
けしからんお胸だけど、ジーニ様と違ってぎゅうされても苦しくない。〖サーヤ、酷いわ~〗なんか聞こえた気がするけどひどくないです。誰かに似てる~?ん~っと、けしからんお胸だけど、ぎゅうされても苦しくないのは~
「ふおお、にてりゅ」
サーヤ、ひとりすっきり、納得。
『んん?サーヤ、似てるとは、妾と誰かが似てるということかえ?』
突然、誰かと似てると言われ驚く天界樹様。
「あい。けちかりゃんおむにぇ、でみょ、だっこ、くりゅちくにゃい。じーにしゃまちょ、ちやう」
『くふふ、けしからん胸、ジーニ様の抱っこは苦しいのかえ?』
「あい。じーにしゃま、くるち、さーや、くえっ、にゃる」
息できないから、サーヤ、死んじゃう。てしてししてもはなしてくれないんだよ。
『なるほどのぉ。ジーニ様は抱っこが下手なのじゃな』ふふ
「あい~」
ジーニさま、大好きだけど、くえってなるのは、だめだめ~〖ひどいわ~〗だから、ひどくないです。
『そうかえ、そうかえ。その点、妾は合格のようじゃな』にこにこ
「あい!はにゃまりゅ!」
百点満点で合格だよ!
『ふふ。花丸とは、ありがとうなのじゃ。して、妾は誰に似ておるのじゃ?』にこにこ
「あい。むすびはしゃま、にてりゅ」
苦しくない抱っこ、結葉様そっくり!
『結葉、とな?』ぴきっ
「あい。むすびはしゃまに、しょっくり」こくこく
『そうかそうか⋯』ぴきっ
あれ?なんか、ちょっと怒ってる?
「うにゅ~?」
そういえば、いつもいる結葉様が
「いにゃ~い?」
どこ~?
『あれ~?そういえばいないね~?』
ぴゅいきゅい『『むすびはしゃま』』
みゃあ『どこにゃ?』
『『いないね~』』
ハクたちも気づいて、みんなできょろきょろ探すけど、結葉様いません。
『ああ、結葉様はな?』
きゅるる『必死に隠れてる。無駄なあがき。ふっ』
きゅるるん『『『『『『『あがき~♪』』』』』』』
「うにゅ?」
『隠れてるの~?』
『『『『『なんで?』』』』』
ちびっこたち、わけわかりません。だって、あの結葉様です。神様にだって何でも言っちゃうし、何でもしちゃう、あの!あの結葉様です。
『サーヤ、妾が結葉に似ておるのではないのじゃ。結葉が妾に似ておるのじゃ。まあ、似ておると言われるのも不本意なのじゃが⋯⋯』ぴききっ
「うにゅ?」
『結葉様が?』
ぴゅいきゅい『『てんにょしゃまに』』
『『似てるの?』』
みゃあ『なんでにゃ?』
みんなまだまだ、わけわかりません。なんでそんな風に言うのかも、なんで天女様が怒ってるのかも。ちなみに、サーヤが「てんにょしゃま」って言い続けてるのでみんなも天女様でインプットされちゃったみたいです。
『『『あ、でも~』』』
『なんか、濃いのだ?』
「うにゅ?」
『妖精トリオしゃま、ひめしゃま、なにかわかったのでしゅか?』
精霊眼を持つ妖精トリオと、守石の精霊である姫ちゃんは何かに気づいたみたいです。
『うん。なんかね~』
『いろも、においも~』
『にてるんだけど~』
『全てが結葉様より濃くて強い気がするのだ』
「こい~?」
『強い~?』
どういうこと?
『あらあらまあまあ、妖精トリオちゃんも姫ちゃんもさすがね。それはね?』
「しょりぇは?」
『『『『それは~?』』』』
おばちゃん、はやく教えて!
『天界樹様はね?実は⋯⋯』
「じちゅは?」ごくっ
『『『『『じつは~?』』』』』
なになに?
『天界樹様はね、結葉様のおか』
『凛?』ギンッ
おか?
『お、おほほ、おね、お姉様なのよ』
「ふえ?」
『おねえちゃんなの~?』
でも、さっき『おか』って言いかけたような?
『気のせいじゃ。姉じゃ』にっこり
『え、ええ(本当はお母さんだと思うけど)』
『姉じゃ(凛、何か問題があるかえ?)』にっこり
『そう、お姉様なのよ(いいえ、ありませんわ。おほほほ)』ダラダラ⋯
迫力の天界樹様の笑顔に、おばちゃんの背筋に嫌な汗が⋯⋯
「ふえ?」
『『『『『ええええぇぇ~っ』』』』』
結葉様のおねえちゃん?
『姉じゃ』にこにこ
『そ、そうですね。おほほほほ(結葉様、お逃げになる気持ち、少しわかる気がしますわ)』
新しく来た、天女のお姫様は、結葉様より強い、結葉様のお姉さんでした。
「ふぇぇぇぇっ」
『『『『ええええぇぇぇぇっ』』』』
ちびっこたち、朝からびっくり大絶叫!
『私たちもいるんですけど』
『姉様、私たち忘れられてるね』
『うん。そうみたい』
エルフさんたちの自己紹介は次回になりそう?
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
大変ご無沙汰して申し訳ございません。実は五月の父に続いて十月の同じ日に母も⋯
数年前に癌の摘出手術をして順調だった父も、二月に突然の転移、即余命無し宣告。それでも三ヶ月、最後は家に帰ると頑張っていたのに退院前日に喉にご飯を詰まらせて亡くなって。「明日は家だったのになんでよ?」と、父を責めたりしましたが、それでも、癌でしたので、私以外の人は覚悟ができていました。ですが、母は介護認定受けていても足腰でしたから、本当に突然で、倒れてたった一日で⋯。私はもちろん周りもついていけてない状態です。先週、四十九日の祭壇も撤去しましたが未だに信じたくない、信じられない気持ちです。
たった五ヶ月で母を連れて行ってしまった父に「ひとりじゃ何も出来ないから母を迎えに来たんだよ」「ひとりで寂しかったんだよ」「同じ日に連れてくなんて、そんなに仲良かったっけ?」などなど、周りも言いたい放題です。
そんな感じで、私がもっとしっかりしてれば、もっと両親に優しければ、もっと勇気があれば、両親がこんな死に方しなかったかも、私のせいでこうなったのかも、とか、後悔しかなく⋯。けっこうポキッと、何かが折れたというか、全く書けなくなってたところに、親戚に「書くの辞めたら、そんなの書いてる場合じゃないでしょ」というようなことを言われて更に落ち込んだり悩んだり、今度は数年ぶりに風邪ひいて寝込んだり⋯と、こんなに間が空いてしまいました。未だに毎日急に涙が出てきたり、書くの続けていいのか悩んだりしますが「書いた方がいい。やめたらダメ。続けましょう」と言って下さった方が一人だけいてくれたので、また少しづつ書いていきたいと思います。
何より、倒れた時の母の姿しか思い出せなかったのに、その言葉のおかげで、真夏に汗だくで、痛い体に無理をして歩行器を押して、駅周辺の本屋さんを数件回って、本屋さんに並ぶ私の本を見つける度に「買ってきて」と、喜んでくれた母を思い出せましたので、ちょっとずつ頑張りたいと思います。
仕事も増やしますので、前より更に更新遅くなるかもしれませんが、これからもよろしくお願いいたします。
父には本の存在さえ知らせられませんでしたが、母の棺に二人分のお弁当におやつ、コーヒーとビールと一緒に、私の本も入れてもらえたので、今頃「なんだこんな本書いて!文章がなってない!」とか言ってる父を「そんな言い方しないで」とか母がなだめてくれながら、一緒に読んでくれてたらいいなと願っています。
フォロー、感想、星などありがとうございます。
紙・電子書籍ともによろしくお願いいたします。
転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります! ひより のどか @aya-maru
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この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
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