第6話
完全にやらかした。僕はちゃんと加減したつもりだったのに街がめちゃくちゃになっている。ついでに煌斗はしっかり僕の攻撃に巻き込まれていた。
重力操作で瓦礫を一掃し、そこに埋まっていた煌斗を引き上げる。気絶しているのかと思い頬を軽く叩いてみると、普通に起き上がってキラキラと目を輝かせながら僕の手を掴んで来た。
「ヒェッ·······」
ヤードと一緒に瓦礫の下敷きになったのか、ヌメっとした感覚に手を見てみると緑色の液体が付着していた。うん、気絶して良い?
正直今すぐ腕を振り払って手を洗いたい所なんだけど、僕が巻き込んだ結果なので心を無にして乗り切る事にした。
「流石俺の憧れだな! あんなに強いなら俺と決闘してくださいよ」
「······あはは·········」
「今度一緒に任務に行きませんか? もちろんどっちが多く狩れるか勝負で」
「········あはは···········」
「そうですか! いいんですね!? ありがとうございます」
「············あ、はは············」
どうしてだ。適当に笑っているだけなのに何故勝手に話が進んで行くのだろうか。もしかして僕と会話していない? 話は後で聞くから早く手を離して欲しい。あ、別にダジャレじゃないよ。あははと笑い現実逃避をしていると、突如視界が反転した。
「よっと、大丈夫です──かッ!?」
ダメだ。力を使い過ぎたせいか視界が歪んできた。やっぱり久々で7つの制御はキツかったか。
倒れそうになった所を煌斗に支えられて──ツルッ。ヤードの血が滑って煌斗の手中から僕の体は空中へと放り出された。
よし、ヤードの血から逃れられる。僕は心の中でガッツポーズして、また視界が反転して、僕の目に映ったのは──緑色の水溜まりだった。オワタ。
重力に従い体が落下して行き、バシャンと水しぶきが上がる。追い打ちをかけるかのように緑色の雨が身体中に降ってきた。
「ッ!? おいッ! しっかりしろッ!」
やめろ。これ以上僕を揺すらないでくれ。まるで川に流されるスイカの様に満遍なく緑の液体まみれにされる。まさか煌斗は僕をグリーンバックにするつもりなのだろうか。あはは···········。
「もう、だ、め············ガクッ」
「総司れぇぇぇええい!!!!!!」
まさかセルフでガクッって言う日が来るとは思わなかった。というか叫んでないでさっさと僕を引き上げろ。ヤードの血液で溺れ死ぬとかたまったもんじゃない。最悪な気分で心の中で悪態をつきながら、僕はそのまま意識を失った。
僕はつくづく運が悪い 繞 @liores24
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