ある「非行少女」との出会いとその後を、児童心理司の立場から描いたお話。
子どもと向き合う仕事として、どれだけ気持ちを尽くしても報われないことも沢山あるだろう。それでも続けるのは、彼らに「笑っていてほしい」という願いがあればこそ。この物語に登場する大人たちには子どもを思う真摯な気持ちが溢れている。
児童相談所を訪れる子と親には、その数だけそれぞれの事情がある。このお話の少女も問題を抱えた沢山の家庭のうちのひとりかも知れない。でも子どもにとって、自分に真摯に向き合ってくれた言葉や顔は、記憶に残り、その先を生きる上での支えになるのではないだろうか。
彼らはこれからも心から笑っていてくれるはず。この物語を読むとそう信じたくなる。