第12話 あの頃の自分は取り戻せない

 あの頃の自分は総合的に見たら、存在しない。


私は完全に新しい自分で生きて行こうと思う。多くの人に


映画やドラマのような人生だと言われた。そして皆が言う。


ドラマとか映画だから楽しい。登場人物になりたいとは思わないと。


私はこのドラマのような一件で多くの事を失ったが、


再起しようとしている今の自分から見れば、ある意味では幸運だとも言える。


この私の世界に生きる人間は多数いるが、皆、親に負け、望み通りに生きている。


親が死ぬまで逆らえず、気がつけば親と同じ思想を以て生きている。


しかし、経済であれ世界であれ、国であれ変化の時は必ず訪れる。


私の予想では10年以下は確定で5年以内に、変化の時は皆の目から見ても


わかりやすいほど理解する時が来ると思う。


多くの裏での犠牲者を伴い、私だけしか私の周りの人間で生きている人間はいない。


問題は、真の金持ちや各業種の日本一の会社経営陣などは頭が悪い。


私の父も同じような人間だった。私は小学生で抵抗したから今がある。


抵抗し、反抗し、辛くとも自分を貫いた。


言葉にすれば短いが、実感した年月は長かった。


長く苦しい人生であったが、日本人の多くの人に言いたい。


今の日本は、小説であれ、アプリゲームであれ、頭を使わなくても


問題がない時代へと大人は導いていった。これは非常に問題にすでになっている。


考える事を忘れてはいけない。今の時代は休憩所のほうが多い平地しかない。


辛いと感じ、それを考える事すら諦めようとしている。


私は頭の回転速度には自信はある。だからと言って良い答えが出せるわけではない。


しかし、あらゆる自分が知り得る事を使って、最善の答えは出せる。


このままでは、日本はどんどんその思考の止まった世界で生きる事になる。


最近、セガがゲームセンターから撤退したニュースを見た。


セガサミー、昔、ゲーム業界のセガとパチンコ業界のサミーの社長同士が


どちらかが危なくなったら助け合おうと固い約束をした。


実際、セガが潰れかけたことがある。世間には未公表であったが明日にも倒産する


ほどまでになった事がある。その頃サミーはパチスロ業界で売れに売れまくっていた


サミーはセガに融資し、セガは潰れることなく耐え忍んだ。


しかし、今、ゲーム業界自体が、最初はジャブ程度で始めたアプリゲームの利益が


高すぎた為、このアプリゲームの世界から、一般ユーザーでさえも抜け出そうとしな


い、最悪の局面を迎えている。世界はしっかりと発展していく最中も、目先の利益に


目がくらんで、開発費の安いアプリゲームの世界がもう完全に定着してしまった。


ここまできてしまった今、もう手遅れだ。仮に元通りにするにしても10年近くはか


かる。それはそれほどまでにアプリゲームが蔓延しているからだ。


ライトユーザーはまず戻らない。さらにヘビーユーザーもすぐには戻らない。


そしてアプリゲームが中心となっている事は諸外国も知っている。


だから、何年も前から世界17カ国対応の中にも日本語字幕版さえ出なくなった。


このように状況を色々踏まえていくと、この問題がどれほど不味い問題か


理解出来るだろう。全ては別世界であるように見えて、実は繋がっている。


そこに気づかなかったのが日本である。


最初は少子化対策、世界はすぐに動き出したが、日本はほとんど不動のままだった。


そしてアプリゲームから来る、世界水準で落ち続けている日本人の質。


一切考えなくても良いため、当然知能の低下は防げない。


私の一族は医者が非常に多い。10人以上はいる、他でも金持ちばかりが目立つ。


しかし、少子高齢化社会のあおりを歯医者は別格としても、人口自体が減れば


必要な人数も減る。特に医者は国立なら問題ないが、私立だと開業しないと元が取れ


ないと言われていた時代が、更に悪化していっている。


このように一つの大きな問題を適当に回避した日本に未来は消えかけている。


そしてすぐに問題解決しない日本である以上、仮にこのうちのひとつが明日決まった


としても手遅れである。もう止まらない状況に日本は来てしまっている。


私は三度目の荒波だと思っている。そして救世主的存在は、最初の時代は織田信長


次の時代は坂本龍馬、今回も誰かがいればいいが、状況的に厳しすぎる状態である。


よく評論家などが、実は他の人が最初に始めたなどと言っている学者を見かけるが、


何もわかっていない。人の心というものを除外して言っている。


織田信長が比叡山焼き討ちをしたのは、自らを悪役として買って出た。他の誰にも出


来なかった事だったものを打ち砕いた。秀吉が天下を取ったというより、もうすでに


天下は信長がとっていた。



坂本龍馬もそうだ。彼は日本でも特別酷い土佐藩の郷士であった。簡単に言えば奴隷


に近い存在である。信長にせよ、坂本龍馬にせよ、若くして激動の時代に身を投じ


た。それには彼の特別な魅力があったからこそであり、他の誰にもできるものではな


かった。これから来る荒波に勝つ救世主が現れる事に期待するしかもう道は残されて


いない。

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私の半生 春秋 頼 @rokuro5611

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