第11話 危険な思想

 私は今、危険な状態である。脳とかメンタルではない。

体は数年前から異常をきたしている。

私はギリギリで生きている事を自分で理解している。


 私はもしもに備えてなるべく行動する。

例えばどこかに行くなら一日前に準備をしておく。

私はこれが普通だと思うし、共感してくれる人も多いはずだ。


 だが、私に死んでほしくないと言っていた人はメンタルも弱く

何事も甘く見ている。私はぎりぎりなのは何度も話しているが

理解できていない。


 今日は彼のせいで全ての計画が崩れた。何度も言っても彼は甘い、

彼はお金持ちになりたいそうだが、彼には無理だろう。

危ないから私は今書いている。書いて気を紛らわしている。


 危険な兆候が出たらすぐに休むようにしている。

私は疲れ切っているのを心で感じる。

だから、常にいつでも死ねるように準備はしている。

自殺願望があるわけではない。


 父親が癌になった時、私には直接言わなかったが

家政婦さんが私に父親が癌だと教えてくれた。

癌家系ではあるがもういい年だし色々悟っていたはずなのに


ある日、私を呼び出した二階の応接間に対面して座った。

彼は自分が癌であることを私に伝えた。

すでに完全に崩壊している家族であったため何も感じなかった。

彼の口癖でおばあちゃんが死んだ時も涙一つも流さず

歳だから仕方ないと言っていた。


だが自分が癌になった。皆がよく言うように

死ぬ前には正しい事や間違いを謝ったり、悔いを残す

事のないように己の人生に区切りをつけるために

私を呼んだのだと思った。


私は自分で嫌なほど勘が鋭く、予見もできる。

頭の回転もいい。だからすぐに自らの過ちを謝るのだと

思ってしまった。酷いやつで100%信じていなかった。


それを知っていたはずなのに、私の心の1%もないほどの

心が最後はしっかりとして謝るのだと思ってしまった。

私の性格を利用して彼は癌を盾に私の心を騙した。


騙され続け利用され続けてきたはずなのに

私は愚か者のように信じてしまった。


私はその父親の嘘と悪魔のような思想に

その後もさらに襲われた。


私も友達もまだ白髪など生えないのに

私は一夜で髪も髭も眉毛も白髪になっていた。

全部ではないが、漫画のような話だが

私の心が投影するようにそれは現実で起きた。


今も日々白髪が増えてきている。

だが私は黒く染めようとは思わない。


鏡を見る度に増えている気がする。

現実を見て、私がまだ衰弱していっているのを

再確認するために染めないでいる。


私は今、長編の小説を書いている。

私の人生も織り交ぜ書いている。


数年前の私を、あの心の強かった私を主人公にはしていないが

命を懸けた人生を、私の哲学で得た神々の知識を

入れながら、天使や悪魔よりも人間は弱いが心がそれぞれ違う

人間模様を描いている。



こういう時のためにもウォッカやウイスキーを買っている

私はお酒に強い。だからグイッとロックでしか飲まない。

酒で脳内を麻痺させて今の弱い自分を上書きするように

前のように強い私を酒でごまかしている。

ここで色々な人達と交流が持てれるようになれば

私は再び強さを取り戻せるかもしれないが

この現実は一生背負うことになる。

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