・・・つづく?


「これでいいか?」


 椅子に座った男は視線を下にして呟く。そこから距離を取った長机の傍に、高校の制服を着た女が口角を上げてカメラを覗き込んでいた。


 映像越しに男の額に浮かぶ汗を見ると、録画停止ボタンを押してカメラを持っていた右腕を下ろした。


「ええ。ありがとうございます、お義父さん」


 薄ら笑みを変えず、今度は左腕を持ち上げた。手には拳銃が握りしめられていた。


「……まさかキミがに加担しているなんて、信じられないよ」


「知らなくていいことだったのに、お義父さんがに加担しているのが悪いんですよ」


「元々はそちらの依頼だったと記憶していたがね」


「『ほうれんそう』って知りませんか? ほう告、れん絡、そう談の略称です。お義父さんは想定外の事象を報告せず、進捗の連絡もろくに寄越さず、例の兵器の相談をしなかった。上に見限られるのに十分な理由だと思いますけどね」


「それをわざとしなかったのは、仲介役のキミだろ」


「くふっ。そうでしったけ?」


 わざとらしく笑うと隕鉄を下ろした。冷たく乾いたその音に、男の心臓が激しく高鳴る。


「とっ、とにかく、言われた通りに映像は撮ったんだ。息子の安全は保障してくれるんだな?」


「当り前ですよ。むしろ、彼に何かあったら私が黙っていないので」


「……キミは息子のことを好いているのか? 上からの命令で演技をしているに過ぎないのか?」


「くふっ、安心してください。例え、あなたを殺しても彼は殺さないので」


「私をこr——」


 男の疑問は最後まで続かなった。一発の銃弾が額を通り抜けたからだ。


 一瞬にして出来た小さな穴からはまるでペンキのような鮮やかな赤がドクドクと流れ出ていた。


 ここで起きた数分間の出来事を無かったことにするため、男のポケットから長さ15cmの金属で出来た黒い棒を引っ張りだした。


 この棒は男が秘密裏に開発していた兵器の1つを作動させるボタンだった。これさえ押してしまえば兵器が自立起動して研究室は消えて無くなるだろう。


 そして、これから起こる数日間にも及ぶであろう展開に女は、口元からよだれがあふれ出るほどに興奮して目が虚ろになっていた。


「ああぁ! 私と世界、どっちを救ってくれるのかしら!」


 先端のキャップを外し、現れた赤いボタンを力強く押し込んだ。




<あとがき>


おいおい、本当につづくのか?

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段ボール箱で運ばれてきたメスガキが核分裂を起こすらしい 四志・零御・フォーファウンド @lalvandad123

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