満足しましたか、お兄ぃさん?
「楽しかった~!」
「それは何よりです」
2人だけの人生ゲームは彼女の圧勝だった。俺は序盤から借金を背負わされて人生積んでいた。
「面白いね! 満足したから連鎖反応が止まったよ! また遊ぼうね!」
「それはいいけど……いつまでこの家にいるつもりなんだ?」
核爆発が起きる前に何度も「ご機嫌麗しゅうございますか」と、遊び相手になるのは精神がすり減る。やってられるかというのが本音だ。
「わかんない。いつ研究所の人たちがアタシのことを見つけるか、時間との勝負だったり?」
追われ身。それもそうか。国家機密の核エネルギーを扱う人型ロボット(?)なのだから。
――って、ちょっと待て。そうなると、俺は誘拐罪とか国家転覆罪とかで刑務所送りにされるのではなかろうか。呑気に人生ゲームしている場合じゃないのかもしれない。
「とにかく、アタシがここにいる間は、定期的にアタシのご機嫌をとってね……お兄ぃさん♡」
「はいはい、世界平和の為に頑張りますよ」
今後どうするべきか胃の痛みを感じていると、ピンポーン♪とチャイムが鳴った。
インターホンを見ると、午前中に来ていた配達員が立っていた。
『お届け物で~す』
玄関に出向くと、彼の足元には既視感のある大きさをした段ボール箱が存在していた。送り主は親父。
「ども、またお荷物っス」
「その荷物って重いですか?」
「っスね」
「ああ……」
リビングまで運ぶ。
カッターで切れ込みを入れようとした瞬間、段ボール箱が大きく震えた。
なんだこの展開。見たことがあるぞ。
リビングに置いたままだった傘を使ってツンツンと段ボール箱に刺激を与える。すると、段ボール箱が小刻みに震えた。
アマテラスに目をやると、ニコニコとした笑顔をこちらに向けていた。恐らく、中身が何であるのか知っているのだ。
再びカッターを手に、段ボール箱に近づく。
ガムテープに刃が触れた瞬間、黒い影が勢いよく段ボール箱から飛び出した。
「うわぁっ!」
腰を抜かして床にひっくり返った。
なんだこの状況、午前中にあった出来事とまるっきり同じじゃないか。
悪寒に襲われつつ、やはり段ボール箱に存在していた何かを確かめるために顔を上にあげる。そこにはまたも女子小学生が存在して、俺を見つめていた。ただし、今度はゴシックロリータの衣装を着こみ、ピンクのランドセルを背負った奇抜な恰好で彼女は告げる。
「お初にお目にかかります。私は自立式機密実験兵器磁場型二号機【
「………………勘弁してくれよ」
どうやら、世界平和にまだまだ時間がかかるようだ。
< 完 >
・あとがき・
読んでいただいてありがとうございました。感想などお待ちしております。
次回作(今回のとは全く別物)を投稿する間にジョブでも打っとくかぁ。程度のノリでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます