『無双』の力

「我は拳神、岩を穿ち、宙を裂き、全てを砕く。」




俺はスケルトンの攻撃をいなしながら詠唱する。




「全ては己の力の為、自らを犠牲にし――――――」




「我、神をも砕く『無双の化身』と成らん。」




そう唱えると俺は全身に電撃が走るような痛みを感じた。




「ぐ…があっ……」




痛みが全身を駆け巡り、脈動する。




俺はあまりの痛みに気絶しそうになるのをこらえた。




痛みに悶えているとスケルトンが剣を振り上げ、切りつけようとしてくる。




刹那、自分は周りの時間が遅くなったように感じた。




「遅せぇよ馬鹿。」




剣を振り上げたスケルトンの腹に蹴りを入れる。




衝撃波が起き、一気に9体ほどが霧散する。




「こりゃいいな、痛いのを我慢すればだが。」




自分がこれ程強くなるとは思っていなかったが、効果が切れる前に倒しきろうと思った。




図体の大きなスケルトン目掛け、アッパーをお見舞いする。




風圧に巻き込まれ、比較的背の小さなスケルトンは壁や天井に叩きつけられ、霧散した。




どうやら爆発の威力も強化されているらしく、後ろから来ているスケルトン目掛けて爆発させると、目の前全てのスケルトンが消えた。




それをしばらく続けているとスケルトンも残り数体になり、最後の殴りの一撃を持ってして殲滅が終わった。




それと同時に『無双』の効果が切れるのがわかり、とてつもない疲れが押し寄せてくる。




アルトとカミナはまだ辛うじて立っていた、そしてほかの奴らは消えてはいない…生きてるな…




それを確認した後、




俺は教官用の緊急用バッジのピンを回し、助けを呼んだ。

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迷宮狂想曲 @Hydr

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