堕とされた闇の中で、復讐の牙を研ぐモノ達

 人間・男。吸血系人族・女。ドラゴン系人族・男。猫耳系人族・女。と奇妙な関係を保ちながら探偵事務所を運営している彼等彼女達。

 迷いネコ捜査依頼から始まり、やがて大事件に発展してしまう。

 それは、NR分子の発見によって不老不死の秘薬の開発実験へと、狂ってしまったマッドサイエンティスト・海塔探治。彼の実験によって失敗した生物は彼等彼女達なのだ。それぞれが特性をもった苦しみを押し付けられて、処分されようとしてしまったのだ。生き残るがゆえに、彼への復讐が募ってしまう。 

 冒頭はラブコメかと思うような話だが、読み進めて行く内に、ややハードボイルド感が漂ってくる。

 本編は異能や各特性持ちが活躍するが、実は現代に於ける眉唾モノに見える特異な才能を持つ者達を比喩しているのかも知れない。
 誰にも打ち明けられない自分の秘密の葛藤を、復讐というシュールでコミカルに描いた作品。


 ——困った事があれば、一度この探偵事務所に依頼したら、どうかなと?と勧めたくなってしまう。

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