第11話
絡んでくんなよぉ。
しかも絡んできたと思ったら「黙って見つめられるだけ」とかどんな苦行だよ・・・。
話しかけてきたと思ったら、会議全く聞いてなかった俺にそれっぽいこと言ってきやがったし。
さも分かってる風に言ってこられたらこっちも無視できないだろ・・・。
「頭、どんまい」
「まぁこんな時もありますよ」
本部の敷地内では九郎が先頭を歩いていたはずが、途中から一番最後尾になっていた。
トボトボと歩きながら背を曲げ下を向く九郎はどんよりと負のオーラをまき散らす。
紫桜と大黒は短く励ましの言葉を送るが九郎は顔を上げることはなく息をつくだけ。
お前ら二人はあれか?
俺を励ますんじゃなくてバカにしてんじゃね?
おい紫桜、口元抑えるなよ。
見えてないと思ってんだろ?
見えないけどなんとなく分かんだよ。
「大丈夫っす!火ノ杜さんとこは仲良くしてくれてるんす!」
「真純の言う通りです。次も火ノ杜と仕事ですし、燕様は九郎さんとの距離を縮めておきたいだけです」
九郎はスミレの言葉にピクリと反応すると背は曲がったままだが顔を上げて前を歩く四人の反応を確認する。
大黒「そ、そうですよ!」
真純「当たり前じゃないっすか!」
スミレ「九郎さんを好かない者なんてあの場にはいませんよ」
お、お前ら・・・。
紫桜「頭も火ノ杜と仲良くする努力した方がいい」
お、お前・・・。
「紫桜っ!頭が努力してないと思ってんのか!?」
「そうだぞ!今日もあんなに嫌がってたのにちゃんと会議でも暴れずに静かにしてたっぽいしっ!!」
フォローしてくれよ・・・。
九郎はフォローとは到底思えない言葉に落ち込み、再び視線を地面に戻す。
「気を使ってくれてありがとう。・・・・早く鉄道に乗ろう」
『・・・はい』
異世界サブキャラ物語〜頑張ってサブキャラになろうとしたら歴戦の猛者になってた男の話〜 東ノ山 @248ma
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