主人公のパウは、不思議な蝶ミラーカと共に旅をしています。
旅の目的は、人を食べる大きな蝿を倒すこと。なぜなら二人は、この人喰いの蝿の騒動とは浅からぬ因縁があり……、というお話。
落ち着いた言葉遣いと骨太ファンタジーな世界観が素敵です。
すごく怖い怪物が現れた時や、それに関わってしまった時の、恐怖心や混乱や罪悪感などの心の動きが丁寧に描かれているのがとても好きです。
少々ネタバレになってしまうので、前情報なしで読みたい人はここから先は読まないで欲しいのですが、
旅の道連れであるパウとミラーカの関係も、一緒に頑張る仲間っていう感じではなく、負の感情で繋がっている二人なところが私としてはとてもツボでした。
序盤を読んでいた時は、頑張る主人公とその傍らにいるお助け妖精的なコンビを想像していたのですが、蓋を開けて見たらエグくて重い関係で、胃が痛くて最高です。
ミラーカは最初のうちはあまり喋らないのですが、ストーリーが進むと途中から意思表示をはっきりしてくるようになって来ます。
最初にミラーカがパウに、自分がどういうことを考えているか伝えるシーンが私はとても好きです。
現在、四章まで公開されていて、パウの気持ちに少し進展があったかと思いきや、どうやらまだまだ前途多難なようで、彼のメンタルを心配しながら続きを楽しみにしています。