ファンタジー世界の秀逸ミステリー

  • ★★★ Excellent!!!

 ファンタジーは世界観的になんでもありになってしまい、実はこんな力が! みたいな後出しがし放題のため、ミステリーは作りにくいという印象ですが、こちらの作品はそういう事をせず、伏線とヒントが随所にちりばめられ、回収されて結論に至るという納得の流れ。
 魔力というものを、あくまでエネルギーの一つとして使っている感じでしょうか。

 それぞれのエピソードが映画のワンシーンを想起させて、渋くてかっこいいというのも、この作品のお勧めポイントの一つです。

 剣の時代が終わり、銃にむかう時代。新たな兵器の存在は国家間のバランスを大きく崩し、戦争の影で暗躍する工作員の存在。
 戦争はたくさんの命を奪い、友の足も奪われたもののひとつ。義足であっても朗らかな友人クラウスだが、ケヴィンが王国諜報部の依頼をこなすうちに、事件の影に友人の存在がやたらと目について…。

 諜報部も友を疑っているのであろうか? という疑念の中、友の潔白を信じケヴィンは僅かな手掛かりを元に真実に向かう。

 硬派な内容、ケヴィンがかなり人間的に惚れてしまいそうな男っぷりなので、彼の魅力を多くの人に知って欲しいです。
 その後の物語を想像させる余韻のあるラストも必見です。

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