両片思いのもどかしさは苦くて甘い

卒業した先輩が経営するカフェに通う高校生。
苦くて飲めないコーヒーに果敢にチャレンジするも、やはり飲めずにいる主人公。それはなかなか好きだと言い出せない気持ちにも似ていています。
二人の微妙な距離感が微笑ましく、大人になりたくて背伸びしているかのようにも受け取れます。

好きだと言わないまま続ける、先輩と後輩という居心地の良い関係。
このぬるま湯に浸かったような関係を崩してしまうのは、もしかしたら怖いのかもしれません。
けれど二人の会話の端々に、お互い気になっていることが滲み出ており、外野からしてみれば「何故言わないのだろう?」と両片思いのすれ違いをやきもきしながら見る羽目になる。
そんなもどかしさすら、とてもいとおしく感じられます。
苦いけれど甘い、素敵な作品です。