なろう系が大好きな俺が異世界転生することに成功した件。俺の能力って、なんですか?

中下

衝撃!異世界転生!

それは、いじめからの帰り道の事であった。陽キャの先輩が、俺の気になっている女と一緒に学校から帰っていた。流石に俺は怒った。

「おい!なんでそいつと一緒に帰るんだよ!」

俺は、愛のために戦ったんだ!しかし、彼はこう言った。

「お前誰だ。」

俺は駆けた!あいつとは話にならん。と、その時、つんざくようなクラクションの音!

気づけば、森の中にいた。

「これは、まさか。」

ラノベが好きな俺にはわかる。これは、

「異世界転生だーー!!」

吠えた。

その声につられたのか、魔物とおぼしき、現実世界でのイノシシに似た生物が唸りながらやってきた。ふっ、哀れな奴だな。現実世界ではいじめられっ子だったが、今は違う。きっと、チートスキルを持っているに違いない。こいつと、どこかにいるその仲間を退治して、ギルドに持って行って見せびらかそう。

と、魔物が突進してきた。

俺はとっさに、右の掌を魔物に向け、思いついた名前の魔法を放った!

「エレクトロック・プラズマ!」

魔法は出ず、魔物の牙は俺の腹膜を貫き、内蔵をえぐった。熱い。腹が熱い。

と、魔物がその場を逃げるように立ち去った。そうか、ここで誰か強い人が助けてくれて、介抱してくれるのか。

近づいてきた男は、髭を生やした中年と思しき野性味のある人間だった。仲間を引き連れている。一部始終を見ていたらしく、こんなを言っていた。

「全くバカだなあ、こいつ無教養だぞ。魔法学校にも行っていないのに、魔法が撃てるわけないだろ。」

確かにその通りだと思った。すると、その男は突然俺の服を脱がし始めた。

「おい!お前らも手伝え。こいつは珍しい服を着ている。高く売れるかもしれねえぞ!」

盗賊か?かすれる声で言う。

「お、お前ら、盗賊、か?」

それを聞いた瞬間、彼らは大笑いした。

「俺らが盗賊!?何言ってんだお前。俺らは奴隷だよ。奴隷としてこれをしてんだ。れっきとした仕事だ。」

「お、俺の国では、奴隷売買も盗みも、そんな事するのはいけないことなんだが。」

「知るか。ここは俺たちの国だ。あんたの国ではない。」

その言葉を聞いた瞬間、意識が遠のき始めた。嫌だ。死にたくない。でも大丈夫だ。1回生き返ったなら、また生き返るはずだ。こんな才能の無い世界なんてさっさと捨てて、人生新しくスタートだ…。

しかし、彼が生まれ変わる事は、永遠になかった。

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なろう系が大好きな俺が異世界転生することに成功した件。俺の能力って、なんですか? 中下 @nakatayama

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