日常を歩むために、緑道を辿る週末
- ★★★ Excellent!!!
情景描写が分かりやすく丁寧で、主人公と歩いている気分を味わえました。訪れたことのない場所なのですが、自分が見たことのある風景に重ね合わせて、懐かしい気持ちになりました。
主人公の一人称「俺」の視点で物語が進んでいくのですが、自分は何歳だとか、名前は何々だとか、基本的な情報説明が書かれていないので、それが逆に、直接主人公と自分を重ねて、感情移入することを促しているのではと思いました。
最後のオチも、よく分からないけど何だかいい話で終わらすのではなく、また月曜日になれば、日常が淡々と続いていくと感じられるもので、リアリティがありました。
仕事の鬱憤を晴らすために、一歩一歩リズムを取って歩き、週末に上手く自分で消化していく、日常生活に戻り、また前を向いて歩んでいく。その繰り返しが人生なんだろうなと思い出しました。