0x0B 電源投入シーケンス、完了
八月の十二日、CPU甲子園が終わった次の日のお昼過ぎ。
若松科学技術高等学校、電子計算機技術部の部室。
部室に入ってすぐ右側、一番大きなA会議室には部員全員の姿があった。
「じゃあみんな、コップは持った?」
「もちろんっ」
「おうよ」
皆の手には、ジュースの入った紙コップが握られている。
普段はパソコンやプロジェクタを載せるテーブルの上には、様々なお菓子と料理、それに色とりどりのケーキが並ぶ。
その中央には、誰が持ってきたのか神棚にお供えする時の供物台が鎮座しており、その上にはメロンキャラメルが山のように積まれている。多分犯人は宏と悠、グレーで砂橋さんだろう。
「じゃ、シュウ。乾杯の音頭のついでに、プロジェクトマネージャーなんだから何か面白いこと言って」
「ちょっ!?」
「あはは、お兄ちゃん頑張れー」
蒼から打ち合わせ無しの無茶振りを受けて、仕方なく皆の前へと立った。
宏に悠に砂橋さん、狼谷さんと道香に蒼。
みんな、笑顔だった。
「CPU甲子園に向けて、大変なこともありました!」
「大変だったぞー!」
砂橋さんが笑顔で野次を飛ばしてくる。
「蒼の設計は終わらないし、バグも出るし!」
「ご迷惑をお掛けしましたーっ!」
蒼も笑顔で野次を挟んだ。その笑顔に暗い影は全く見えない。
「製造側も試験製造直前まで全くプロセスの目途は立たないし! 道香はなんか鈍器みたいなの持ってくるし!」
「結凪、鷲流くん、ありがとう」
「ちょっ、わたしだけ別にいいじゃないですか!」
狼谷さんも道香も、やっぱり楽しそうに声を上げてくれた。
「僕も始めたばかりのことで、知識が足りなくて迷惑を掛けることも一杯あって! ごめんなさい!」
「うるせーっ!」
「お前はそんなの気にするタマじゃねえだろー!」
「お前ら、めちゃくちゃ言いやがって」
もちろん、悠と宏が乗ってこない訳がない。言うだけ言って、楽しそうに笑う二人の姿を見てから改めて皆を見回す。
「でも、そんな壁にぶつかっても、逃げずに立ち向かったから! 僕たちは、三冠を達成することができて! そして無事、この部活も来期以降の存続が決まりました!」
うおーっ、という皆の歓声が、A会議室を包んだ。
◇
僕たち電子計算機技術部は、あのCPU甲子園で性能部門とシステム部門、それにプロジェクト部門の三冠を達成した。
歓喜の中凱旋したはいいものの、この部活の存続に関してまだ大人たちが条件を付けてくる可能性は無くもない。
だから今日の午前中、いや朝イチと言ってもいいだろう。賞状と結果を携えた蒼は、暴走機関車のように砂橋さんを半ば引きずりながら学園長室への突撃を敢行していた。
その結果。
「あっ、帰ってきた帰ってきた!」
「何か手に持ってるぜ、なんだあれ?」
「巻物、でしょうか?」
「予想はついた」
「ってか砂橋さんめっちゃ離されてんじゃん、蒼全力で走ってきたな」
「なんだ、巻物広げて」
「勝訴、だと」
「予想通り」
「いや、あまりにもベタだな」
テンションが最高潮の蒼が部活の存続を最高にテンションが高い方法で報告して、その後急ピッチでお疲れ様会の準備が進められたという訳だ。
◇
だから、皆のテンションは相応に高い。……半分くらいは、昨日の疲れが抜けきっていないのもあると思うけど。
「Melonプロセッサ、開発お疲れさまでした! そしておめでとう!」
もちろん僕のテンションも相応だ。
というか眠い。微妙な徹夜のせいで生活リズムが破壊されている上に疲れが取れていないから、体力が切れた瞬間寝落ちしてもおかしくないくらいだ。
それでも、絶対に今日は来たいと思えたのは。
「乾杯!」
この仲間たちと、一緒に喜びを分かち合いたいと思ったから。
「かんぱーいっ!」
全員の声が揃って紙コップが高く掲げられる。
こうして、コン部の祝勝会は始まった。
「ったく蒼め、無茶ぶりしやがって」
「まあ、シュウにしては普通だったな。六十点くらいか」
「辛口だな。じゃあオレも、三十点」
「期待が高いうえに評価が厳しすぎだろ、泣くぞ?」
まずはいつもの愛すべき馬鹿ども、悠と宏の元へと向かう。
さもしくフライドポテトを紙皿に山のように積み上げていた宏と悠は、僕の表情を見てにやりと笑った。
「シュウ、良い笑顔になったな」
「え、お前から言われるとちょっと怖いんだが」
「ちげえよ、そういう意味は微塵もねえよ!」
「悠だけじゃなくてオレもそう思うぞ、ようやく影が取れた気がする。良いことだぜ、弘治」
宏も去年から、悠に至ってはあの時からずっと僕たちを見てきている。そんな奴らが言うんだから、きっと間違いないんだろう。
なんだかんだ、良い友達を持ったよな。
それはそうとその大皿のポテト、本当に二人だけで全部食べるつもりなのだろうか。
「……ありがとよ」
でもだからこそ、やっぱり正面から感謝を伝えるのは恥ずかしい。
最低限の言葉だけ残して、僕は飲み物と食事を取りに行くことにした。
「ん、鷲流くん。お疲れさん」
「おつかれさま」
「おつかれ砂橋さん、狼谷さん。二人とも食事の手配ありがとね」
ちょうど食事を取りに行った先には、物理系エンジニアの二人が居た。砂橋さんはパスタと唐揚げを紙皿に取っている。
狼谷さんの皿の上には、大量のおかずが積まれて塔を形成していた。一人で食べるんだろうか。いや、一人で食べるんだろうなあ。砂橋さんだし。
「ん-ん、気にしないでよ。どうせスーパーから買ってきただけだし」
食糧調達は狼谷さんと砂橋さん、それに悠と宏の仕事だった。荷物持ちくらいにしか役に立たない男どもを携えて買い物するのは一苦労だっただろうなあ。
労いの言葉をかけると、狼谷さんは小さく首を振る。
「私も、運んだだけ」
「そっか。それでもありがとね」
「私からも、改めてありがとう」
逆に感謝されてしまった。僕がありがとうを伝えなきゃいけないことは一杯あるけど、狼谷さんから感謝されるようなことは無いと思うんだけど。
「電工研を追い出された私を拾ってくれたのは、鷲流くん」
「狼谷さんはもうコン部の一員だよ。こちらこそ、力を貸してくれてありがとう」
軽く握手を交わすと、狼谷さんは紙皿を歪ませながら山のような食事を持って行った。
「……氷湖、流石だよね」
「こうやって量を見ると、本当にな」
その姿に思わず二人で言葉を失ってから、改めて砂橋さんはこちらへと向き直る。
その表情はあの時ちらりと見せてくれた、思いやるような優しい笑顔。
「アタシも、ありがとね。今こうしていられるのは、鷲流くんと蒼のおかげ」
「いや、それこそ気にしないでくれ。あれは蒼のファインプレーだ」
「ふふっ、それはそうかもね」
「でも、皆砂橋さんのこと大好きだってのは分かっただろ?」
「……うん。嫌でも分からされちゃったよ」
少し恥ずかしそうに笑う砂橋さん、そのまま、何かを懐かしむように話してくれた。
「アタシさ、蒼が心配だったんだよね。あの八月の後、部活の時はめっきり笑わなくなっちゃってさ。その時は凄い仲がよかったってわけじゃなかったんだけど、みんなもどんどん居なくなってっちゃうし、一人にはしたくなかったんだ」
「だから、この部に残ってたのか」
それは、少しぶっきらぼうでどこまでも友達想いな彼女が、この部に残っていた理由だった。とても砂橋さんらしい理由だなあ。
「そゆこと。まー、それはそれでゆっくり勉強して部門認定も取れたし、ツールもいじくり回せたし、蒼ともいろんな話出来たからいいこと尽くめだったんだけど」
照れ隠しでへへっ、と笑って言う砂橋さん。きっと、後半のほうも本心なんだろうな。
「あ、本人には恥ずかしいから内緒ね?」
「もちろん」
「よーし、約束」
「何の約束かしら?」
砂橋さんと約束をしていると、まさかの蒼本人が登場してしまった。
「お兄ちゃん、何してたの?」
さらには、その後ろに道香も居る。
「おうわっ!? っとご本人登場、逃げよ逃げよ」
突然の蒼の出現に、砂橋さんは半分飛びあがるように驚いてからそそくさと逃げて行った。
少し離れてからこちらをちらりと見て、楽しそうな笑顔でしーっ、とジェスチャーをする砂橋さん。そのムーブはなんというか、小さい子に通じるものがあるぞ。
思わず苦笑いしてから蒼たちの方に視線を戻す。
「……」
「……」
次の瞬間、二人分のじとっとした視線が突き刺さった。そんなに悪いことをしたかなあ。
たっぷりと僕にその視線を浴びせてから、蒼ははあ、とため息をついた。
「で、結凪と何話してたの?」
「砂橋さんがこの部に残った理由をね」
「そういえば私も聞いたことないわね。今度聞いてみようかしら」
「ああ、多分面白い砂橋さんが見れると思うよ」
「地味に鬼のようなコメントだねお兄ちゃん」
「とりあえず何話してたかはわかったわ。って、こんな話をしたくて来たんじゃないのよ」
蒼は小さくかぶりを振ってから、今度は花が咲くような笑顔を見せる。
「お疲れ様、シュウ。そしてありがとう、この部を救ってくれて」
「いや、僕こそありがとうだよ。本当に、蒼には感謝しかない」
だからだろうか。僕の口からも素直に感謝の言葉が出てくれた。
本当に蒼には感謝しかない。僕を暗闇の中から救い出してくれたのも、呪縛を解いてくれたのも蒼だ。
「ねえ、シュウ」
「ん? どうしたんだ」
「コンピューターのこと、まだ嫌い?」
「……もう、嫌いじゃないよ。今は、面白いと思ってる」
「ん、良かった。それをシュウの口から直接聞けて」
そう言う蒼は、本当に心の底から安心したようなような笑顔。
何だか気恥ずかしくなって目をそらすと、突然、道香が腰に飛びついてきた。
「むうっ……」
それからぐりぐりと頭をお腹に押し付けてくる。まずいぞ、絵面が犯罪だ。
しばらくぐりぐりを続けていたけど、ふと顔を上げる。その目は、少し不安そうに揺れていた。
「わたしだって頑張ったのに、褒めてくれてもいいんじゃない?」
「そうだな、道香もよく頑張った。ボードもサブストレートもばっちりだったな、本当にありがとう」
「うーっ、それだけ?」
「……どうして欲しいんだ?」
「うーん、じゃあ……昔みたいに、頭撫でて欲しい、かも」
「わかった」
その要望に応えるように、柔らかいその髪を撫でる。さらさらと流れるその髪は、撫でている僕まで気持ちよさを感じるくらいだ。
道香と過ごした昔の日々は、未だにはっきりと思い出せない。でも、こんな感じだったんだろうなあってことは簡単に想像できた。
「あ、ありがとうお兄ちゃん」
「ん、何だか懐かしい気がするな」
ひょこひょこと跳ねている毛が可愛いな、と思いながら撫でていると。
「むーっ……」
今度は蒼のご機嫌が斜めだ。どうすれば良かったんだろう。
そんなご機嫌斜めだった蒼が何かを言おうとした時、ぴんぽーん、と聞いたことのないチャイムが響いた。
「ん、何の音だ?」
「玄関のチャイムの音だね、誰だろ?」
さすがに状況が状況だし、道香も解放してくれた。そのまま、最初に様子を見に行った砂橋さんに続いて玄関へと向かってみる。
会議室を出ようとしたとき、隣に並んだ蒼が小さく耳打ちをした。
「結果発表の時の手、ありがと。心強かったわ」
思わず足が止まった。当の蒼は、返事は聞かないとでも言うようにそのまま行ってしまう。耳がびっくりするほど赤くなっていたのは、言わないのが優しさなんだろうなあ。
でも、ちゃんと蒼の助けになってたんならよかった。貰いっぱなしは、なんだか申し訳ないからな。
っと、いけない。玄関に向かわないと。
あわてて辿り着いた玄関には、思わぬゲストが居た。
「はろはろ~、砂橋ちゃん」
「こんなとこまで、何しに来たんですか星野先輩」
そこに居たのは、電工研の星野先輩。わざわざ今日、このために学校に来たのかな。それとも、ウチと同じように電工研も活動してるんだろうか。
「やっほ、早瀬ちゃん」
声を掛けられた蒼は、複雑そうな表情で星野先輩を見つめている。その雰囲気を察してか、星野先輩はにっこりと、敵意を感じさせない笑顔で笑った。
「ありがと、早瀬ちゃん、砂橋ちゃん」
「……えっ?」
「ありがとう、ですか?」
「うん。まさか、あたしたちを超えるチップを作るなんてね」
たはは、と頭を掻く星野先輩。
「そこの鷲流くんには言ってたんだけど、正直二人のこと見くびってた。Light Burstを改良したCPUかと思ったら、全部新設計でしょ? しかもあの性能、多分デュアルコアかな?」
「さすがは星野先輩、隠し事はできませんね」
蒼が苦笑いで頷く。
逆に、僕は驚いていた。あの結果の数字だけからそれだけのことを読み取るあたり、やっぱり出来る人なんだな。
「久々に楽しかったよ。正直ね、大会前までは電工研に吸収されて一緒に部活が出来たらなって思ってた」
「だからIP大会の時は、あんな風に挑発してきたんですね」
「ん、正直一人や二人でどうにかなるものでもないからさ。それならまたあたしたちとやって欲しいな、って」
星野先輩が、少し申し訳なさそうに頷く。それから、もう一度楽しそうにずい、と蒼たちに顔を近づけた。
「でも大会でみんなのボードを見て、正直びっくりしちゃったんだ。久しぶりにぞくぞくした。あれ設計したのは誰?」
「は、はい。わたしですっ」
道香がおずおずと手を上げる。その手をばしっと取ると、星野先輩は楽しそうに言った。
基本的に距離が近いのはこの人の特徴なんだろうなあ、あの道香が気圧されている。
「おお、新入生ちゃんだったよね? すごいなー……ああ、みんな天才なんだなって素直に思えちゃった。あたしも残ったらよかった、ってちょっと後悔しちゃったくらい」
「そんな今更先輩ぶったってっ……! 全部蒼に押し付けて、手も差し伸べないで! よく言うよっ、この子に何したか忘れたとは言わせないっ」
その言葉を聞いて、砂橋さんが爆発した。その目には、悔しさと怒りの炎が灯っている。
砂橋さんが怒るのも無理はない。この先輩は、蒼の心に傷を入れた人たちの一人でもあるのは事実だ。
それも理解しているんだろう、星野先輩は申し訳なさそうに一歩下がった。
「……うん、ごめん。わかってる。今更戻りたいなんて図々しいことは言わない」
「怒ってくれてありがと、結凪」
「ううん、いいの。蒼ちゃんには憎んでもらっても構わない。あたしはそれだけのことをしたって思ってるから……」
それから、真剣な表情で蒼に向き合って手を差し出した。それは、握手を求める姿勢。
「これからも良きライバルとして、よろしくね。次は負けないから」
「ええ、もちろん。こちらも負けません」
蒼は、その手を取った。固い握手が交わされた後、ぱっと手を離す。
「って言っても優勝したから次のCPU甲子園は確定だよね。そのころにはあたしはもう卒業しちゃうからあの部に居ないんだけど」
「せっかくいい雰囲気だったのにっ」
「ぶち壊し」
「あはっ、満足満足」
それから、星野先輩は笑いながら冗談を言った。重い雰囲気は嫌いみたいだ。
そのままこちらを品定めするように見回すと、僕に視線を合わせる。何だろう、この先輩の視線はやっぱり底知れないと言うか、考えが読めないから怖い。
「ね、鷲流くん」
「はい、何でしょう?」
「どう? 電工研でプロジェクトマネージャーやらない?」
思いがけない星野先輩の発言に、全員がフリーズする。
最初に動作を再開したのは砂橋さんだった。
「ちょっ、何人の部活のプロマネをヘッドハンティングしようとしてんのっ」
「いや、行きませんから」
その砂橋さんを見て、僕も冷静さを取り戻した。いや、この部活を出るなんて考えられないんだけど。
次に蒼が冷ややかな目で射すくめてくる。絶対零度の冷たさだ。
「わかってるわよね、シュウ?」
「いや行かないって」
誤解されるのも嫌だし、星野先輩に向き合うと首を横に振った。
「すみませんが、お断りさせていただきます」
「一応理由を聞いときたいかな~、なんて」
「僕は、この部員みんなと部活をしたいと思ってますから。だから、電工研には行けません」
ちょっと恥ずかしいけど、お断りのために本音をぶつける。先輩の顔は直視出来ない。
「ん、それなら仕方ないよね」
だけど、そんな僕の本音を聞いて星野先輩はにやにやと笑って手を引いた。まるで、そう言うのはわかっていたとでも言うように。
「あーあ、フられちゃったら仕方ない。じゃ、みんな次も頑張ってねっ」
少しも残念そうに思って無さそうな雰囲気でそう言い残して、手をひらひらと振って部室を出て行った。
残されたのは、ぽかんとする僕たちコン部の皆だけ。
「……嵐のようだったな」
しばしの沈黙のあとの、悠の一言がすべてを物語っていた。砂橋さんは大きくため息をつくと肩をすくめる。
「昔からああなんだ、あの人。つかみどころが無いようで、皆の事をよく見てる」
「そりゃ賑やかでいいな」
「賑やか。そうね、よく言えばそだね」
「あはは……」
「うっとうしいことの方が多い」
宏のコメントに渋い顔をする砂橋さんと直球の意見を叩きつける狼谷さん、そして苦笑いするしかない道香。
蒼は? と思って見回すと、俯いて小さく震えている姿が見えた。
「おい、蒼?」
また何か嫌なことでも思い出したのかと思って声を掛けたけど、どうやら違ったらしい。
「星野先輩には、絶対に、絶対に負けないんだからっ!」
しばらくぷるぷると震えた後、蒼は爆発した。
「シュウ、開発会議するわよっ」
「おい、今からか? 祝勝会もまだまだ途中だろ」
「良いのよ、美味しいご飯食べながらでもアイデア出しくらいはできるわっ」
そう言い放つと、蒼はA会議室へと走って行く。
「ま、そうなっちゃうよね。良いよ、アタシも付き合うよ」
「わたしもいいですよ、次の話しましょうっ」
「次のプロセス技術の検討、今からでも早すぎることはない」
「んじゃ、俺たちもネタ出しくらいはするか宏」
「だな。お前もやるだろ、シュウ?」
そんな爆発した蒼にも、苦笑いしながら皆はついていく。
「ったく、やるしかねえな!」
僕も、そんな日常を楽しいと思えるようになった。
だから、Melonプロセッサの開発がひと段落して平部員に戻った僕がまずするべきことは。
「開発コード名、今の机の食べものから取るのはやめとけよなー!」
新しく検討されるであろうチップの名前を早まってポテトやピザにしないよう、ホワイトボードに向かっているであろう蒼に声を掛けることだった。
――――[To be continued in Over the ClockSpeed! B-0 Stepping]――――
Over the ClockSpeed! 大野 夕葉 @Ono_Yuha
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