名古屋の馴染みの場所、馴染みのグルメが描写されるすぐ側で展開される、不思議な物語。
物語の仕掛けの巧みさ、人物の立体的な造形、設定の説得力。たしかな筆力で描かれる物語に感嘆します。
謎の過去を抱えた心やさしい少年。有能で見た目イケメンだけどどこか残念な先生。頼りになるはんなりお姉さん。それぞれ味と背景があって魅力的。
わらべ唄や子供の遊びって、不思議と背中をぞくっとさせることがありますよね。それが効果的にちりばめられて、怪異への入口になっています。
飯テロつき。名古屋飯の虜になりそうです。
もちろん地元の方でなくとも楽しめます。ぜひトワイライトゾーン名古屋をお楽しみください。
『3-9 選べるもの』まで読んでの感想です。
ここまでで93,350文字、何度も「見事だな」と思う箇所があったので、★3つで。
連作短編として各シリーズしっかりまとめつつ、全体を貫く謎があり、飽きさせません。各シリーズの終盤に至っても、これでもかと展開を盛り込んでくるのが本当に見事。
また本作は、名古屋グルメで「味覚」を、童謡によって「聴覚」まで刺激してきます。
ストーリーのおもしろさはもちろん、キャラクターの心理描写が繊細ですし、これまで書かれた長編を読むと、書き続けていく地力と引き出しの多さを感じる作者様です。
どういう形で完結するのか楽しみです。
地方を舞台にした小説がたくさんある中で、名古屋を舞台にした小説はあまり見かけません。京都モノと比べると圧倒的に少ないですよね。きっと、お洒落な雰囲気がしないのでしょう…。
故郷大好き! というわけでもないのですが、名古屋出身の人間としては寂しい気持ちでおりました。
そんな時出会ったのが、名古屋を舞台としたこちらの作品です。
不思議な力で様々な事件、怪異を解いていくお話なのですが、私としては名古屋めしの登場に惹かれます。鬼まんじゅう、食べたいです。久しぶりに帰省したいです。
また、知っている地名、時折出てくる名古屋弁にもほっこりします。あれ、自分って意外と名古屋のこと好きだったんだなぁと気付かされました。
お話の本筋と外れたレビューになってしまいましたが、愛知、名古屋出身の方はぜひ読んでみてください。
そうでない方も、この作品を通して名古屋の魅力を知っていただけたら嬉しいです。
ご当地・名古屋を舞台に、探偵と助手が怪異事件を追う!
名古屋では、原因不明の失踪事件や転落事故など、この世の尺度だけでは計り知れない事件が次々に起こります。
闇の感情を受信する主人公・服部少年を始め、探偵も、仕事協力仲間の和装美人も、みなさま特殊能力持ち。
頼りがいあるメンバーに支えられ、まだ自分に自信の持てない少年は、少しずつ自分自身とも向き合っていきます。
怪異を解決した先に、見えてくるものは何か。
今いる場所は、現世(うつしよ)なのか、幽世(かくりよ)なのか。
幾種類もの名古屋めしを堪能しながら、夕暮れ色に染まる世界を少年と一緒に味わってみませんか。
昼と夜の狭間である黄昏時。また、新たな不思議が目を覚ますかもしれません。