【32曲目】異邦人
<intro>
ブルーノは崩れ落ち地面に両膝をつくと、
マリカが観客席から修練場に降りて歩み寄ってくると、それより先にノーマンが声をかける。
「僕の勝ちってことでいいのよね?」
「・・・」
おいおいおい、黙っちゃったよ。剣の破壊はやりすぎちゃったかな・・・?
マリカはブルーノの
「
「そりゃどうも」
そして、マリカが
「うおぉーっ」
『ええっ』
ノーマンとマリカは突然の事に驚き2・3歩ほど
「いやいや、ブルよ。大人なんだから泣くなよ」
「そうよ、剣も自尊心もズタズタにされたからって、泣くなんてアンタらしくもない」
「両腕ツライのもすぐに回復させてやるから」
「そうそう、剣もアタシが頼んで新しいの作ってもらってあげるから」
するとブルーノは泣きながら反論する。
「違うわい。別に腕がツライわけでも、剣が
「・・・じゃあ感動でもしたか?」
「悔し涙ではないわけ?」
ブルーノは泣きながら首を横に振って否定した。
「まあ、とりあえず。これ飲んで少し落ち着こうや」
そう言ってノーマンが
「二人とも、とりあえず場所を変えよう。僕とブルーノの
「それはまずいな。こんな場面、どう説明してよいかわからん」
体力的にはスッカリ回復したブルーノが立ち上がると、3人はギルドの建物に向かい
(また、盗聴したの?)
(
(ふーん。まあ、確かに便利な能力よね)
(でしょ?)
「おいお前ら、何をコソコソ話してんだ。俺の
「違うわよ。どんだけ卑屈になってんのよ」
「そうそう。賭けに勝てて良かったって話してただけだよ」
「そうだったな。そう言えば、旦那が勝った時はどうすんだっけ?」
「それも含めて、これからお
ブルーノの執務室に到着すると3人は中へと入っていく。
<side-A>
「今日はモニカはおらんの?」
「ああ、俺がいない時は自分の部屋で仕事しているよ」
「じゃあ、この建物の中にはいるんだ」
「ああ。なんでだ?」
「いや、なんとなく・・・」
ノーマンはモニカについて何かを考えていたが、言語化できるほど明確にはなっていなかった。
「で、気持ちは落ち着いたの? ブルーノ」
マリカがそっけなくブルーノの様子をうかがうと、ブルーノは少し照れ臭そうに頭をかく。
「ああ、なんだか恥ずかしい所を見せてしまったな。スマン。でも、もう大丈夫だ」
(お前のあだ名はもう俺の中では『泣き虫先生』だけどな)
「なあ、旦那」
ノーマンは突然声をかけられ自分の悪意を見透かされたかと思い一瞬ビクッとしたが、ブルーノにそんな能力がない事を思い出しすぐに冷静になった。
「なにさ?」
「俺は全力で
「うん、別に疑ってねーよ」
「実際に
「うーん、人間と真剣勝負したのは、正直これが初めてだったんだけど。思ったより強かった」
「アンタどんだけブルーノの事を見くびってたわけ?」
マリカは少しあきれたが、ブルーノは続ける。
「
「正直に言っていい?」
「頼む」
「うーん、
「どうだ?」
「ブルとお、ブル並みの
「そうか・・・」
あくまでもノーマンの私見とはいえ厳しい現実を聞かされたが、ブルーノは落ち込む様子もなくうっすら笑いノーマンの言葉を受け入れた。
「ノーマン。アンタって容赦ないわよね」
「だって、正直に言えって言うから」
「マリカ、イイんだ。それで、旦那。俺は・・・もっと強くなれると思うか?」
「うん、楽勝でなれる」
「ちょっと、アンタそんな無責任なこと言って大丈夫?」
「だからイイんだよ、マリカ。旦那に打ちのめされて、俺自身まだ強くなれる気がしたんだ。だから、泣いた」
「どういう事よ?」
「俺が自分の限界を感じたのは、
「20代から成長してないの?」
「ああ、
(長くなりそうだけど、付き合ってやるか)
「さっき旦那にやられて、それでも自分の強さの上限がこんなもんじゃないって思えた時に、『ああ、俺はこの15年間いったい何をやってきたんだろう?』ってね。『この15年で、レウラ半島をもっと探索して、旦那みたいに色んな発見をしていたら』とか、『あの時、もっと強かったならマレディ討伐はもっと被害が減らせたんじゃないか?』なんて具合に、一気に後悔の念が押し寄せて来たんだ」
(ああ、オジサンあるあるだよねえ。20代から30代を組織に人生捧げちゃった社会人に多いやつ。わかるぞ、ブルくん・・・それでも、泣くほどのことではないが)
「まあ、そんなに後悔しなくてもいいと思うよ。その間もブルがしっかりギルドマスターしてたおかげで助かった連中もいただろう? なにより、過去は悔いても変えようがない」
「そりゃそうだが・・・そうだ、もっと強かったら旦那にも
「アハハ。でも、お前らの戦い方じゃあダメだよ」
「お前ら?戦い方?」
「うん。僕がこの
「癖ってなによ?」
ノーマンは携帯灰皿をテーブルに置いて、煙草を
「まあ癖っていうか、仕方のない習性?習慣?」
『?』
マリカとブルーノは首をかしげる。
「冒険者って基本、
「まあ、そりゃそうだ。だから自分より強い
「そそそ、それよ。
「当たり前でしょ」
「つまり、
「・・・まあ確かにそうなるわね」
「なるほどな」
「だからな、ブル。お前も
「じゃあ、
泣き虫先生、アホだわあ。
「下手になるじゃなくて、もともと得意じゃないだろ。僕は冒険者の生態は知らんけど、おそらく
「確かにそうだな。経験値が稼げないレベルの
「ね? でもその点、軍隊なんかはバランスよく訓練してんじゃないか? 攻防一体で」
「そういわれると、冒険者は
「お前が何にも考えてなさすぎなんだよ、この脳筋」
ノーマンがブルーノを強めに罵倒すると、マリカが申し訳なさそうに手をあげた。
「あのお、質問いい?」
「どうした?」
「その理屈って、魔法系の
「うーん、そうだなあ・・・冒険者の事はよくわからん。でも、
「どんな風に?」
「
「
「うん、要は敵の防御処理能力を超えた量の攻撃を浴びせる戦法」
「相手に反撃する余裕を与えない連続攻撃・・・俺が旦那にやった戦法に似ている?」
「そういう事。どちらも格下の相手を圧倒するにはとても有効だ。自分より強い相手と戦った事のない奴にとっては、最強の必勝法となり得るだろうね」
「その通り。
ブルーノが両拳を正面でガチンとぶつけながらなぜか誇らしげに言ったので、ノーマンは面倒くさそうにため息まじりに返す。
「そうだねえ。ブルの場合は僕を格上と認めた上で自身の最高の攻撃を敬意を持って披露してくれたんだよね」
「そういう事だ」
「でも、
マリカが頬杖をつきながら少し馬鹿にしたように言うと、胸を張っていたブルーノはシュンとして背中を丸め肩を落とした。
「まあ、そう言うなよ。
「そうか?」
あっ、言わなきゃ良かった。簡単に機嫌直しやがって。だが確かに
「だから、もしお前が15年間で経験を積み重ねたとしても、根底にこういう癖がある限り、せいぜい攻撃力が上がったくらいだと思うし、それじゃ僕に
「じゃあ泣き
いちいち嫌なことを言う女だなあ。
「なら旦那。旦那だったら、自分より強い敵と対峙した時にはどう戦うんだ? そもそも旦那だって、自分より格下としか戦ってきていないだろ?」
「戦わない」
「はっ?」
「何よ、それ」
「言ったろ?僕の目標は生きて
「そりゃ、そうなんだろうけどよ。じゃあここまでの会話は何だったんだ?」
「そうよ、さも格上対策がありそうな口ぶりで、時間返しなさいよ」
「いやいや、僕ならどうするって聞いたから、僕は戦わないって言っただけだろ」
「じゃあ、格上対策はあるわけね?」
「あるよ」
「どうやるんだ? 旦那」
ブルーノがガッと前のめりになってノーマンに詰め寄ると、ノーマンは煙草の吸殻を携帯灰皿に放り込み足を組み直す。
「やって見せたろ?」
「何を?」
「格上との戦い方」
「はっ?」
「だーかーらっ、ブルを相手にやってたんだよ。格上対策」
「だって俺は旦那より弱いぞ」
「そうよ、格下に格上対策って、どういう意味よ」
今度は二人がかりでノーマンに詰め寄ると、ノーマンはヒョイっと立ち上がった。そして、詰め寄る二人の顔を見下ろしながら右手で頭をグシャグシャっとする。
「僕は・・・たとえ、自分より弱い相手だったしても格上だと思って戦うことにしてんの」
「どういうことよ?」
ノーマンは少し上を向いて何かを決意すると、咳払いをしてから小さく深呼吸する。
「僕は、この
『?』
「そんな中で、ただ死なないためだけに、できる限り慎重に、奢らず、油断せずに、出来る事をフル活用して戦ってきたつもりだよ」
ブルーノとマリカはノーマンの言っていることが理解できず、ポカンとした表情でノーマンを見ていた。
「だから、いつも敵は自分より強い設定で挑んできたんだよ」
ノーマンはそう言い切ったあとに勢いよく椅子に座り直すと、三者の間にしばしの沈黙の時間が流れる。
「この
「いいや、この
ここでマリカが先にノーマンの言っている意味に気づく。
「じゃあ、もしかしてアンタがこの
「ああ。僕はまったく別の
ノーマンが少しうつむきながら白状すると、三者の間に再び沈黙の時間が流れる。
ああ、なんとなく勢いで言ってしまった。何かを説明するたびに、言葉を選ぶのが面倒くさくなってしまったんだな・・・俺自身。
ノーマンが沈黙に耐え切れず上目づかいでチラッと二人の顔を見ると、ブルーノとマリカはやっと事態を飲み込んだらしく驚きをもってノーマンの白状に応えた。
『えーっっっっっ!!!』
<side-B>
3人は冒険者ギルドの4階にある集会室に場所を移し、車座になって改めてノーマンの事情を説明を聞いた。
「・・・ってことは、ノーマンが
さすがマリカだな。話題はそっちかい。
「そういう事らしい。な?先の長そうな話だろ」
「だが、来たって事は、行けるって事だよな?」
お前も異世界人はスルーかい。
「そこに
「うーん、異国から来るヤツはたくさんいるが、異世界ってのは聞いた事がないからなあ」
「あのさ、お二人さん」
『なに?』
そこは声を揃えんでも。
「ブルもマリカも僕の帰還について考えてくれるのは、非常に有難いのだが・・・異世界人ってところは問題ないの?」
すると、ブルーノとマリカは一度顔を向き合わせ、ノーマンの方に向き直ると笑いだす。
「うーん。たしかに驚きはしたんだが、旦那の異常性を考えると・・・」
異常性って、人を犯罪者みたいに。
「・・・異世界人って言われた方が、思いの
そんなもんかね。
「そうそう。アンタが突然☆7の
お前は自分の事以外では動揺しない女だからな。
「まあ、二人がそれでいいなら、良いのだけれど・・・」
そもそも、魔王やら魔法やらの世界だもんな。ナンデモアリ度でいったら、俺の世界の比じゃないってわけか。
「ねえ、ノーマンが元々いた
マリカが目を輝かせながら前のめりになると、ブルーノは何も言わずにノーマンに目線で説明を催促した。
「どこからどう説明して良いかわからんが、とりあえず、魔王も
『おおっ』
リアクションもユニゾンかい。
「文明はこの
「せっ、千年も?」
「ああ。魔法がない分、機械の文明が発達していてね。たいそう便利な世の中だったよ」
「じゃあ、こっちの
「いや、そうでもないさ。
「旦那は向こうでも強いのか?」
「ぜんぜんぜんぜん。喧嘩もろくにしたことがない普通のオッサンだよ。でも、戦う機会なんてそうそうにないからね、それで十分に事が足りる」
「戦闘がないのか?」
「うーん、僕のいた『日本』って国では平時の暴力行為は法律で禁止されてるからね。こっちみたいな戦闘にはまず遭遇しないよ」
「戦争はないの?」
「世界規模ではいたる所でやってるけど、日本はかれこれ70年以上は当事者にはなってないんだ。まあ、平和なもんさ」
「ホントにまったく戦う環境になかったって事?」
「うん」
ここまで会話したところで何がきっかけになったのか、突然ノーマンの瞳から涙がこぼれた。
「えっ、どうしたんだ? 旦那」
「何よ?」
ノーマン自身も涙がこぼれた事を自覚して慌てて袖で涙を
「ゴメン。こっちの世界に来てから、出来るだけ元の世界の事は考えないようにしてたから、うっかりね」
その言葉を聞いて二人は慌てる。
「スマン、旦那。そりゃそうだわな。俺らが無神経すぎた」
「ホントにごめんなさい。そうよね。異世界に連れて来られて、アンタも頑張ってるのよね」
「いいや、僕こそスマンね。泣くほど悲しいってわけじゃないんだけど、涙が勝手に・・・」
するとブルーノはとっさにノーマンを
「いやいや、旦那は凄いよ。もし俺が逆の立場だったら、旦那ほどちゃんとは過ごしてないだろうよ」
「ホントよね。ノーマンってどっか、余裕感じるもの」
確かに、俺は余裕を持っているかもしれない。それは・・・
「僕の
あぁ、ゲームとか言うとまた説明が面倒くさい。
「・・・ここみたいな世界を描いた物語がたくさんあってさ。だから、割と受け入れやすかったってのはあるかも知れない」
『物語?』
ユニゾン・・・。
「ああ。それこそ、魔王やら
「魔王もいないし魔法もないのに?」
「それこそ、こちらにも
「ええ」
「僕の世界でもそういう物語やそれを使った二次創作が好かれてんだよ」
「いないのに?」
「うん」
マリカとブルーノの頭上に大量の『?』が浮かんでいる。
まずいな、この話はきりがないし、説明するのは面倒くさいぞ。
「とにかくだ。わかりやすく言えば、僕は童話の世界に飛び込んだ感覚で過ごしているというわけだ」
「・・・なるほどな」
「じゃあ、そういうことにしとくわ」
急に納得したな。コイツら・・・さては考えるのが面倒くさくなったな。とにかく助かった。
「しかし、旦那はやっぱり凄いよ。未知の世界に飛び込んで2週間程度とはいえ、自分の能力に
ブルーノは先程の後悔を思い出し肩を落とした。
「そう卑下しなさんなよ、ブルーノ。僕だって独りだったら、多分、避けて斬るをひたすら研鑚する程度の事しかしてこなかったさ・・・いや、マジホント。絶対そうだわ」
ノーマンは改めてディオやレオとの出会いこそが、自分を成長させていたと改めて気づいた。
「独りじゃなかったって、旦那を拾ったっていう、例の爺さんか?」
「だけじゃないけど・・・」
「じゃあ、アンタの弟子って子」
「・・・両方かな?」
「旦那はそもそも、どうやってあの
マリカは
「
「あの防御は
ああそういえば、
「うん。僕が独りだったら、多分あの
「えっ、旦那が自分で
「えっ、うん」
マリカがここで会話のスルーを
「えっ、
「えっ、この世界の法則は知らんけど、使っているうちに
『・・・』
三人は各々の予想外の現実にしばし沈黙したが、ノーマンは沈黙を破り自分のペースで説明を続けた。
「とりあえず、あの
そこから俺は、スライムに殺されかけた
さて、
ブルーノは腕組みしながら目を閉じてしばし考えた。
「なるほどな。つまり旦那は、自分はたいがいの攻撃は回避して済ませられるところを、その弟子が自分の身を守れるようにわざわざ
「まあ平たく言って、そんなところだな」
「で、その少年はすでに旦那の作った
「うん。いやあ、吸収も早くってさ。みるみるうちにレベルも上昇したさ」
「今はどれくらいだ?」
「お別れした時点で☆6・・・習熟度は知らんけど」
それを聞いてブルーノがハァっと大きく溜息をつき再び熟考に入ると、マリカはノーマンに近づいて耳打ちする。
(ねえ、
(そこまで話したら、ブルの脳みそが追い付かないだろ?)
(たしかに、そうかも。でも、その子って、ホントにそんな凄い子なの?)
(多分ね)
(多分って何よ?)
(だって、僕は無知だから、誰かと比較できないよ)
(まあ、そうよね)
「よし、決めたっ!」
ブルーノが熟考を諦め自分の膝をポンっと叩き声を上げると、密談していた二人は声に驚きビクッとした。そして、マリカは恐る恐るブルーノの決定事項を確認する。
「な・・・何を決めたの? ブルーノ」
「俺は旦那に弟子入りする」
「はっ?」
「俺も旦那に鍛え直してもらって、旦那の
マリカは目をパチクリさせて少し驚いたが、ブルーノの考えに同調したのか立ち上がり挙手した。
「じゃあ、私も」
「はっ?」
「はっ?じゃないわよ。アタシもブルーノもまだ強くなりたいの。
えっ?なんで上から目線? レオなんて土下座して頼み込んだんだぞ? 師弟関係ってそういうもんじゃねえの?
すると、ノーマンのそういう気持ちを察したのか、ブルーノはノーマンに土下座して見せる。
「旦那、頼む。アンタなら俺たちの限界を破ってくれると確信した」
マリカは土下座はせずに立ったまま頭を下げた。
お前はしないんかい。いや、むしろされたら気まずいか。とりあえず、もともとブルの限界突破を手伝う気ではいたし、教えるのはいいんだけど・・・。
「・・・うん。わかった」
その返事で二人が顔を上げ目を輝かせると、ノーマンは面倒くさそうに足を前に放り出す。
「でも、弟子とか師弟関係とか正直面倒くさい。友人として協力するって事でいいだろ?」
ブルーノとマリカはそれを聞いてアイコンタクトをとると同時にうなずいた。
「もちろんだ」
「ええ、それがいいわ」
おそらく今は恩の売り時だな。売るだけ売ってやるから、あとでしっかり俺の役に立ってもらうぞ。
「じゃあ、とりあえず」
『なに?』
ユニゾン来たあ。
「人目に付かない、練習場所を見繕ってくれ」
「ああ、それなら、フィリトンの北に廃鉱山があるわよ」
「ラナイ鉱山か。たしかに、あそこなら
誰も近づかない廃鉱山? いいじゃないか。俺の私的要件でも使えそうだ。
「そこは誰かの領地じゃないの?」
「領地と言えば、そりゃ大公陛下の領地なんだが・・・」
「大丈夫よ。あそこは今、職人ギルドが管理しているから」
「今?」
「本来なら商業ギルドが管理すべき施設なんだが・・・」
「ああ、三大ギルドの最後の一つね。なんか訳ありなの?」
すると二人の顔がくもる。
「まあ、いろいろとな・・・」
「?」
「それは、おいおい説明するわ」
どういう事かわからんが、もはやこの二人が俺を裏切る事はないだろう。
「わかった。じゃあそれはお前らに任せる。で、何から始めよう?」
『今から?』
ユニゾン。お前ら
「ああ、日が沈むまでは付き合ってやるよ」
「なんで日が沈むまでなの?」
「今日は週末だろ? バルドの店で演奏しなきゃ」
ブルーノとマリカは顔を見合わせててから、ノーマンに向きなおる。
『ああ、そうなんだあ』
ユニゾン地獄。。。
でもね、サトコ。
僕もサトコとユニゾンできたら、凄い幸せだよ。
※作者の体調不良により【33曲目】以降の公開は未定です。
2023年の再開を目指して療養に専念しますので、
大変申し訳ございませんがご了承ください。
器用貧乏なオッサンは異世界で歌う(仮) 立木ミル @cthefool
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