爆殺令嬢ジュリエッタ・アメイリアの華麗なる爆発オチ

かぎろ

💥💣💥

 東京都、池袋。

 そこはもはや、焦土だった。


「ユキノさん……」


 破壊の限りを尽くされた池袋駅前。人間は見当たらない。あるのは瓦礫の山、横転したトラック、炎、炎、炎。空に立ち込める暗雲は、地上の真っ赤な火災に照らされ赤黒く変色している。

 地獄絵図。

 その中心で座り込む、ひとりの令嬢がいた。

 年若い彼女は、座したまま倒れた少女をその腕に抱き、震えている。


「ユキノさん……どうして……わたくしなどを、庇ってしまったの……」


 令嬢の名はジュリエッタ。少女の名はユキノ。ふたりは無二の親友同士だった。ともに世界を守るため、組織の一員としてバディを組み、悪と戦い続けたのだ。

 しかしそれも終わる。

 悪の総帥〝デストロ〟の圧倒的な力は、指一本で東京を崩壊させ、ジュリエッタとユキノを追いつめていた。


「どうしてわたくしを、身を挺して庇うなんてことを……!」

「どうしてっていうか……」


 苦しげにユキノが口を開く。


「ジュリエッタがあたしを盾にしたんじゃん」

「そうでしたかしら」

「デストロの攻撃が来る瞬間『あっちょうどいい壁が』とか言ってあたしの背後に隠れたよな?」

「濡れ衣です! あれは貴女の胸を見て言っただけですわ!」

「それはそれで酷ぇんだよ!!」

「叫ばないで! お体に障りますわ」

「テメーが叫ばせてんだろうが!! あ痛ってえ!! ああ~、クソ、まじで死ぬっぽいな……うぶ」


 ユキノは吐血し、ジュリエッタの白い服を鮮血で汚した。しかしジュリエッタは服の方は気にも留めず、ユキノを見つめて、つらそうな顔をする。


「……そんな顔、するな、ジュリエッタ」

「ユキノさん……」

「あたしの異能【絶対堅盾】を当てに……してたんだろ。おまえの行動は正しかったよ……。ちょっとあたしがガス欠で、異能を発動できず、デストロの攻撃を防げなかった……それだけの話さ……」

「わたくし……勝てるでしょうか。諸悪の根源たる最強の魔人、デストロに……」

「どうかなあ。……ああ、お迎えが来たわ。じゃあな、ジュリエッタ……」

「ユキノさん。待って。お願い、いかないで……!」

「先に行ってるぜ……あっ死ぬ前に秘密で書いてたBL漫画の原稿全部焼却処分したかったな」


 ユキノは死んだ。

 ジュリエッタは長い睫毛をふるりと揺らし、一粒の涙をこぼす。


「話は終わったか?」


 男の、低い、地を這うような声。

 悪の総帥・デストロだ。


「……ええ。終わりましたわ」

「そうか。しかし、ユキノといったか……本当に矮小な力しか持たぬ雑魚であった。あんなゴミが『特記戦力』に数えられていたのは何かの間違いだったのではないか?」

「…………」

「ゴミはゴミらしく死んでいくがよい。この世界諸共な」

「……わたくしに、新たな生きる目的ができましたわ」

「ぬ?」


 ジュリエッタはユキノの遺体を寝かせ、立ち上がる。

 デストロを不屈の闘志で睨む!


「ユキノさんが描いたBL漫画を! 同人誌にしてコミケで売るという目的がですわあああああ!!!!!!」


 稲妻が天空を裂き、ジュリエッタに落下した!!

 それは彼女の意志力に神が呼応したことを意味する!!


「ですわますわあああああああああああああッッッッ!!!!!!!!!」

「何……! 何だこの力は!? まさか……」

「そのまさかですわ」


 体中にエネルギーを宿したジュリエッタが、不敵に笑った!!


「わたくしは! 女神ホローメのチカラを手にし、最強になったのですわッッ!!」

「だからどうだというのだッ! まあいい! 我の頑丈さを見せつけるため、先に攻撃させてやるッ! 来いッッ!!」

「後悔する暇も与えませんわッ!」


 女神ホローメがジュリエッタに微笑む!!

 ジュリエッタの女神パワーが発動する!!

 青い閃光がほとばしる!!


「四肢もげ散らかして死に晒せですわぁぁぁぁぁああああああああああッッッ!!!!!!!!」





 想像を絶する大爆発が起こったッ!!!





デストロ「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



ジュリエッタ「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



ユキノの遺体「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



女神ホローメ「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



地球「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



 滅んだ!





 おわり

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