詩2

【 土の中の子供 】


永遠にこの歳のまま 二人の関係に名前をつけないで 隣にいたかった

それさえ叶えば 私の残りの人生なんて

腕が折れても 両足がなくなったって なんだって構わなかった

今すぐ心臓を差し出して あなたに捧げることが出来たらいいのに

私の全てが此処にあったのだと あなたに見せて

美しい思い出と一緒に この場所に埋めていきたかった

灰と心臓を 出会った季節が巡ってくる前に捨てたなら

呪いのような口約束を支えに この地獄を生き抜かないで済んだのかな


「掘り起こしたのは、お前じゃないね」




【 敗北を看取る 】


私はあなたにとっての何かに成りたかった

そして あなたと違って 平凡な人生が夢だった

けれど あなたは私を指差して 同じ舞台に上がらせた

燃えるような あなたの才能に触れた時には遅かった

その迷いのない指先が 私とあなたの運命を定めているようだった

スポットライトを浴びて 私は舞い上がったんだ

その隣に立とうだなんて その炎を一番近くで見ていたいだなんて

大それたことを思った

だから 沢山のものを捨てたし 色んなものを犠牲にした

私の世界の真ん中はあなただけで 美しいあなたに全てを捧げてしまった

それでも あなたのことを分かってあげることは出来なかった

アンコールが煩くて あなたの声が聞こえなかったから

スポットライトが眩しすぎて あなたの表情が見えなかったから

だけど 終わりだけは分かっていた

この舞台は幕が降りる きっとあなたは灰になる

何処にもいけないまま 何者にも成れなかった

強くて孤独で美しい あなたに惹かれていただけの人生だった

世界が終わる前の四小節 あなたの声が初めて聞こえた

ずっと隣で流れいたのは こんなに悲しい音だったんだ


「こんな曲じゃ、あんまりだろう」




【 天に太陽は二つもいらない 】


あなたが凄いのは当たり前で

太陽が東から西に沈む 疑う余地のない絶対事実のように

私から見た 当たり前のこと

初めて会ったあの日から あなたはあなたのままで

自分の正義を 決して曲げない

あなたは 自分が強いと言う

あなたは 勝ち続けて それを証明してし続けた

地球が太陽の周りを回っている限り 逃げることは許されない

私に心臓を掲げて 太陽だけを見つめている

あの日 手を振り払った私が 焦がれるほどに


「要らない、お前だけの正しさなんて」




【 この悪辣は君の目にどう映るのだろう 】


未来を恨んだあの感覚はなんだった

燃えるような晴天の日 天を仰ぐ君が私の世界の真ん中になった

大人の間を 制服で駆け抜けて 君の才能に 見惚れて 惹かれて

私の平凡が 奇跡のように殺されたんだ

君のお陰で 諦めた道もあったし

君の所為で 出来たこともあった

私の人生で あれ以上に強烈で美しい日々は二度と訪れない

それなのに 君のようには成れなかった

未来を恨んでいたのは 私だった

大人に成り行くその横顔が綺麗だった

あの日々の中で 何度 君を見上げたのだろう

君が私を指差した それだけが全部で あの時 あの瞬間だけが

私たち ずっと 同じことを考えられた

振り払った 熱が 才能が 私に問いかける

もし もう一度出会えるなら 絶対目を合わせずに すれ違ってみせるよ


「無理だ、きっと満足しない」

「君は同じことくり返すの、嫌いでしょう」

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