詩まとめ

@nanaaaxxxxxx

詩1


【 今更、そんな風に笑うなよ 】


一瞬 面倒くさそうな顔をして 私を呼んだ

貴方に呼ばれる自分の名前が好きだった

動く度に揺れる首の飾り その音を一番近くで聞くだけ

言われなくても分かる気がしていた

あの音を聞けたのは 貴方の気まぐれ

きっと今も 貴方の隣には誰も座れない

何も言われなくても 分かり合えていていると思っていた

音が鳴って 全部fが思い出せて 思い知る

私 貴方のそう言うところが許せなかったのよ


「俺も、ずっと一緒にいられるとは思っていなかった」




【 そんなこと言うんだ、今更 】


誰の引き止めも振り切って 走り抜けるとこが誇りだった

あんなに強烈だった 憧憬も志も

楽しかったの一言で終わらせることが出来ることに焦がれていた

思い出だよと笑って 感傷にも浸らない

貴方を呼ぶ声は鳴り止まないのに 此処には帰らない

だから そんな風に笑うんだ 全部終わったから笑うんでしょ

貴方の後ろを追いかけたわけでも 隣を歩きたかったわけでもない

散々焦がれたあの笑顔で 貴方に 大人になったと言われたかった


「十年かけて、壊した」




【 昴 】


恐らく 二人の運命が二度と交差することはなくて

永遠の中で 重なったのは偶然だった

君と私のあの日々は 銀河の中に散らばって 深い深い星屑の海に溺れている

何百年もの前の光に照らされて 海の底で軋んで濁って

願うのをやめた私と 永遠を信じた君を待っている

ふとした時に巡る星の煌めきが 嫌になる程 目障りで

でも 君とじゃなかったら 私はこの運命に存在すらしなかった

星と星が繋がったあの日々は まだあんなに光っていると言うのに

冷たい場所に閉じこめて 静かに燃え尽きるのを待っている

恐らく 二度と掬い上げることはないのだろうけど


「世界でただ一人、私だけが貴方を救えると思っていた」




【 燃えるような貴方は死んだ 】


大よその感情の全てを捧げた

仕草も 言葉選びも 内に燃えるものと滑らかに爆ぜて 燦然と輝いていた

貴方の語る傲慢も 貴方が振るう理不尽も

この炎を絶やさぬ為の礎なのだから

私は 全部を差し出して 美しく燃えるそれを一番近くで見ていたの

あまりに強烈なそれに惹かれて

一体どれだけの人が 焦がれて 呑まれて 灰になったのだろう

沢山の燃え残りの上に悠然と立つ貴方は 私の全てを捧げた貴方は

世界で一番美しかった

でもね 最後まで隣に立っていられなかった

業火のような貴方に惹かれて その熱から逃げ出したんだ

何年経っても 目に焼き付いて離れなかった

世界の奥底にある圧倒的な美しさ 永遠に私の世界の真ん中で燃え続けている

けどね 貴方はそれを自分で消したんだ

灰になってごめんだなんて 大よその感情を全て捧げた貴方が笑う

言葉も仕草もない 何も孕まない優しい死刑宣告

燃えるような地獄の業火 ねえ それを捨てたら 瞳の奥の憂いを

誰が 暴けるのだろう


「ぜんぶ、燃えた」




【 世界を恨んでいない人が好き 】


美しいものを正しいと思っていたから 貴方のことが綺麗に見えた

残酷で 圧倒的な 極彩色

スポットライトを浴びたまま 綺麗な色を絞り出して

音が透明になった時 同じ答えを選んでよ

アンコールなんて叫ばないから 次は笑って同じ地獄を選ぶから

貴方の音が 透けて聞こえる

貴方が悲鳴をあげている

僕は正しいものを美しいと思うよだなんて

貴方の声が消えて 世界が終わる


「世界を恨んでいたとしても、それを許せる人が好きだった」

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