《留守番電話に1件のメッセージがあります》

この作品は、故郷に残した人に「想い」を届けようと奮闘する青年の視点で描かれます。

"戦地"という遠く離れた場所から、その日に感じた事を「留守番電話」を
通して、故郷の人へと懸命に伝えていくシーンが中心になります。

留守番電話にいれたメッセージが、相手に届いているのかは分かりません。
その相手がメッセージを聞いてくれているのかも分かりません。

それでも、毎日「戦地」で起こる様々な事に
驚き
悲しみ
泣いて
時には笑った大切な気持ちを、欠かさず留守番電話に吹き込み続ける、主人公。


――僕たちは、それをじっと聞くだけしか出来ません。


一人称で語られる言葉だけが、読み手にとっての唯一世界を望める小さな覗き窓になります。
その窓から漏れ出す言葉と光は、余りにも現実的で、儚い。



戦地と、平和な故郷。この遠い世界を繋ぐ唯一の手段。それが
留守番電話のメッセージ。

物理的な距離ではなく、世界の違いを超えて届けようとする彼の言葉は
我々読み手の心を、大きく揺さぶってきます。


是非、聞いて下さい。



これは、究極の「一人称」で語られる
——留守番電話に想いを託した、一人の青年の物語。