日常の中にある非日常的な切なさ・・・

「あと十分」と合わせて読ませていただきました。淡々と語られる病院の中での日常的な描写、何処にでもある人との触れ合い、わざとらしく作り込んだ感が全く無くて上手いと思いました。

それがある日、突然に死という日常の中の特異点によってごっそりと奪われてしまう理不尽さ。そして十年後の現在においてなお、その悲しみを胸によみがえらせる ”私” の心の切なさ。
題名の中の線香花火という言葉が正しく少女の命の儚さを象徴したものであったのだと思わされました。

普段、思い切り作り込んだ、切った、張ったの非日常的な話ばかり書いている自分ですが1700字余りのこの短編は心に沁みました。