ラブコメ主人公が『疲れた後』のラブコメ

最初は「幾ら凄いタイトルでこんなに不吉なタグがついてても、大体はラブコメ要素盛り盛りなんでしょ?」って気持ちで見ました。


ないです。
いや、全くと言っていいどころか、主人公自身がそんなものと自分からゴミ箱に捨ててるレベルなんで、ないです(無慈悲)。
熱血ジャ◯プ系ヒーロー主人公が一回転半したってレベルで捻くれてます。いや、だからこそかもしれんませんが。
プロローグ前時点でヒ◯アカから、それ以降は終了後から最新話(幕間数話を除いた33話。)までずっとブ◯ックラ◯ーンとかそういう勢いです。

ヒロインに関しても現時点において、心からヒロインと言えるようなキャラは亡き主人公のおばあちゃんくらいです。

こんな状況になるくらいですから、主人公はかなり捻くれてます。
それに対して、周りの人間が「更生すべき」って言ったとしても、過去を見た限りは元々が聖人君子レベルの人間が悪意に当てられすぎて「更生した後」だからどうしようもない八方塞がりです。

主人公自身もそうあることを望んでますので、ラブコメディどころかヒロインが不在なのでラブにすら行けませんし、行くつもりもなさそうです。
この主人公にヒロインムーブを繰り出せるキャラとかいたら、それこそ『過去の自分より酷い目に遭った上で、過去の自分以上に人助けを行える』ような、主人公自身が知らないし、想像も経験も出来なかった女の子くらいでしょう。


ですが、これまでの特徴を含めた上で、とてつもない魅力に溢れた作品でした。
正直言って、ここまでレベルの高く、ラブコメの既存からかけ離れて成立している作品はあまり多くありません。
無論、どこかで見覚えのあるようなテンプレも少しはあるかもしれませんが、それを加味しても凄まじいレベルです。

なにか既存から変化を求める方でも、『知ってる』ような方でも、広くお勧めできる大変面白い、ラブコメ作品でした。
これからの展開も楽しみです。

追記:
4章を超え、5章に入った現在。
どうやら、少し風向きが変わってきたようです。
まあ…未だにラブコメと言える兆しはありませんが。

無論、それは今の彼にとってはとても不都合な逆風でもあります。ただ、同時に神風とも言えるかもしれません。
自分の中の何かが離れていくような主人公。

これから加速度的に進むこの物語が楽しみです。

近況:
第5章116話まで見させていただきました。

もう戻れません。
彼が望もうとも、望むまいとも。
それが良い結末に繋がるかどうかはわかりませんが、彼は自分を認知させてしまったのです。
彼自身が言った通り、そこに同情は困るだけ。絶対にさせないでしょう。

ですが、聞いてしまったら動かずには、考えずにはいられないのが人間です。
これを聞いた人間がどのような行動を取るのか。普段から合理的な判断を取り続けることが出来るなら、そういう人間じゃないなら、なんて言っても絶対はありません。
なぜなら、昔の彼自身がいつも困ってると思われる人を助けてきたのですから。

眠れる森の美女と形容された王女は、ある国の王子に救われました。
ですが、寝ている彼女が救いを求めているかどうかは、眠りから覚ますという『救済』を起こした後でなければわかりません。
それをしてしまった結果として幸福を得てしまったのなら、それは『求めていた』ということになるのでしょう。
そして、これは童話ではありません。

彼は果たして、今この時に何かを求めているのか。

やばいですね。面白くなってきました。
本当にやばいです(語彙力)