この星の短編集に愛を込めて

フラグブレイカー【テンプレ無しにするとこうなる】

『ねえ？　わたし綺麗？』

　深夜０時を過ぎた頃。

薄暗く人通りの無い路地裏で、マスク姿の若い女性が僕に声をかけて来た。

　目元のハッキリした美人。

マスクを取らないまでも、容姿の整った女性だとわかる。

　── だが！

「いいえ。　僕、ポッチャリが好みです」

『…え？』

　　　【たぶん口裂け女　　完】

「おいおい……、こんな森の中になんで古い井戸があるんだよ？！」

「ふぅん。まあ、あの中から長い髪の女性が出てくる事はないわ。ベタだもの」

── 井戸の中の女性

『……え？』

【来る？きっと狂う　完】

『俺たち……、この戦争が終わったら、故郷で結婚するんだ』

　隣国との戦争は激化の一途を辿っていた。

俺の所属する828部隊も、相手の侵攻により孤立状態となる中、隣の若者は長銃を握りしめると、そう呟いていた。

「そうか。　なら、ここを突破してお前だけでも生きて帰らねぇとな」

『いや、お前と結婚したいって告白したんだ』

「…え？」

　　　　　【戦場の狼　完】

　波が強く打ち付ける断崖絶壁の上。

その女性は海を背に２人の刑事と対峙していた。

『そう……。　やったのは私よ！　でも、あの子のため、仕方なかった……』

「……そうか。でもな？　アンタがやった事は決して、息子さんが喜ぶ事じゃないと思わないか？」

『勝手に決めつけないで！　あのままだと、取り返しがつかなくなってしまったわ！』

「だからって！　PS5のコントローラーを捨てるなんて非道すぎる！」

── もう一人の刑事

『……え？』

　　　【サスペンス激情　完】

『うははははっ！！　遂に完成したぞ！　超無敵生命体！！　コイツは私の言葉しか聞かないようにプログラムされている！！　これで私はッッ、世界の王になるのだァァアア！』

『さあ！目を覚ますのだッッ！　フランケンッッ！』

「ヴゥゥ〜ン…… なんだキサマ？　私を目覚めさせたのはお前か？」

『おお！！　フランケン！！　早速人間どもを粛清するのじゃ！』

「…… いやよ。暴力なんて。あなた♡幸せな家庭を作りましょうね♡」

『…え？』

【フランケンシュタコ　完】

　人気（ひとけ）のない森の中。

一組のカップルがシートを広げ、その上で熱い視線を絡ませ向かい合っている中、それを闇に潜み見つめるホッケーマスクを被った男がいた。

「ウフフ。ここは誰も来ないわ。早くヤりましょう？」

「へっ、お前も好きだなぁ。　── 将棋」

『こーほーこーほー……え？』

【１３日の対局日　完】