11.末永く、よろしく
「なにグズグズしてんだっ?!早くしろってば」
「言葉遣い」
「・・・・うるせえな、いちいち」
ボクの奥さんは、口が悪い。
何度注意しても、直らない。
わすれんぼでおこりんぼだけど。
照れ屋で単純で、すごく可愛い。
「はい。これ食べて、機嫌直して」
イチゴミルクのアメをあげると、割りとすぐ、機嫌が直る。
昔から、そうだった。
今も全然、変わらない。
「じゃ、行こっか、マリカ」
「うん」
そう。
ボクの奥さんは、あの、『すげー悪魔』のマリカ。
あのあと。
ボクの魂はとりあえず肉体に戻り、ボクは生還した。
でもそこに、マリカの姿は無かった。
もう二度と会えないのかと落胆した翌日。
マリカはひょっこり、姿を現した。
曰く、
『あの契約書、な。無効だ。お前、自分の名前、間違ってたぞ?』
とのこと。
マリカに当時の契約書を見せてもらうと。
確かに、ボクの名前の漢字が、間違っていた。
【輝】の右側の下の横棒が一本、足りなかったんだ。
思い返せば、当時ボクは【輝】の漢字を習ったばかり。
書いてみたかったんだよね、覚えたての漢字を。結果、間違ってたけど。
そんなわけで、ボクはマリカと改めて契約を交わした。
新たな契約だから、また3つ、願い事を叶えてくれるとか。
・・・・こんな甘い悪魔、いる?
もう、可愛いんだから、マリカってば。
新しい契約のひとつ目は、『マリカと結婚したい』だ。
結果、マリカはボクの可愛い奥さんになった。
さて、残る2つは、どうしようか?
「なぁ、今日何食いたい?」
「言葉遣い」
「・・・・何食べたい?」
もう、うるせえな。
と呟くマリカの手を取り、指を絡める。
手を繋いで歩きながら、残る2つの願いを、ボクは心の中で決めた。
ボクが死ぬまで、マリカと一緒にいられますように。
マリカの願いが、叶いますように。
さて。
この願いを、いつマリカに伝えようかな・・・・
【終】
ボクが恋したツンツンツンデレ悪魔の話 平 遊 @taira_yuu
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