この作品を読んでいる間は、デジタル時計は見ないでください。

ひとことの理由、それは、この作品は「時の流れ」を身体的に感じながら読むのがよいものだからです。

この物語は七十二候に沿って展開してゆきますが、その時の流れと呼応するように登場人物も変わってゆきます…しかしその変化は、まるで季節の移ろいのように緩やかに、そして繊細に…

シームレスなこの作品とデジタル時計は調和しません。

どこか落ち着くことの出来ない現代社会、この作品はそこから私達を連れ出し、ゆっくりと時間が流れるどこか切ない世界へと誘ってくれます。

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