第41話 魔王 戦闘開始
☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 前回までのあらすじ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
東京は現在、大地震をきっかけに
モンスターどもは兎に角『高い建物』を目指しているようで、自ずと【とうきょうソラツリー】周辺が激戦区となった。
怪物どもに対応するのは、我らがA子B子が所属する地球防衛軍である。
地球防衛軍とは、各地に現れる怪人・怪獣どもと、それぞれ独立して闘っていたヒーローやスーパーロボットたちをまとめ、効率よく平和を守りつつ、ヒーローたちの活動資金の確保・知名度や高感度のアップ等を図る民間企業である。
その活動資金源は、ヒーローたちの戦闘シーンの独占放映権とそのグッズ販売、有名企業からの宣伝広告費と融資で
地球防衛軍関東支部エースチーム『チームABC』と『チームミヤノ』の合弁チームを乗せた『流星号』は、飛行形態になって墨田区上空からスーパーヒーローとスーパーロボットの戦いを、全世界に生配信しているのだ。
とうきょうソラツリーから目と鼻の先の【墨田区役所】に降臨した魔王を迎え撃つべく、満身創痍の超伝導ロボ・コンウォーリアー
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「空から降ってきたお姫様抱っこ怪獣は、この辺りにメガ盛り居る怪獣の中でも、一番大きい感じじゃん!」
ここでA子はカメラをゴウラにズームアップ。
「それに見て! 全身が金色の光で包まれててめちゃハデ! エレクトリカルパレードかっつーの。今までのモンスターと何か違くね? ヤバい臭いがプンプンなんだけど」
安定飛行に入って股の間のギア操作が必要なくなったミヤノが実況に加わってきた。
「あいつさぁ、見るからにボスっぽいだろ? 羽が4枚もあって、まるで神話の堕天使ルシファーだ。よし、あいつの名前をエレクトリカルルシファーと名付けよう!」
「何ソレ? ダッッッサ」
「ビッグぅ、バラァァァストぉぉぉぉ」
コンウォーリアー
「ビッグバラストはお腹から出る大型ミサイルよ。
あのミサイルはコンウォーリアー
ビッグバラストは一発の威力が大きいので、ここぞと言う時によく使われる武器よ」
こちらも流星号が安定飛行に入って、余裕ができたB子の解説だ。
「超伝導、ケーンーカァ、ゴマぁぁぁぁぁぁ」
無数のケンカゴマがボルテッカ
「超伝導ケンカゴマは、最も使用頻度の高い武器よ。
ボルテッカの胸部に複数のケンカゴマが収納されていて、腹から撃ち出されるの。
ケンカゴマには芯がドリル、縁からカッターが飛び出し、周囲のケンカゴマとぶつかる事によって、四方八方からランダムに攻撃できることが特徴よ。
コマは腹から射出されたあと、ボルテッカが持つ超伝導ストリングスに巻かれて、回転威力増し増しで敵の足元に投げ込まれるのよ」
「・・・た、戦え! ジャーント、ロボッッッ!」
「ヴァァ!」
2体のスーパーロボットの攻撃に合わせて、もはやボロボロになったパイロットの少年と右腕が無いジャーントロボも戦線に加わる。
その集中攻撃に対して魔王の取った行動は『蹴り』一つのみ。
身長30メートルのゴウラに対して、ジャーントロボの身長は30メートルと同じだが、2体の超伝導ロボは60メートルと倍の身長を誇る。
ゴウラの足下で無軌道に動く鋭いブレードの付いたケンカゴマは、ボルテッカ
超伝導ストリングスによってビュンビュンと投げ込まれるコマは、【区役所通り】の幹線を駆け抜け、【ユウヒビール】の建物を切り刻み、瓦礫と化した墨田区役所の瓦礫を弾き飛ばして、魔王の周りをギュルギュルとランダムに旋回している。
ケンカゴマはそれぞれがてんでバラバラに動き回り、ぶつかり合い、四方八方から飛び上がってゴウラの身体を切り刻もうとランダムな攻撃を仕掛けてくるのだ。
しかし魔王が全身に纏っている金色のオーラが、コマの攻撃を完全に弾き返しており、彼は全くの無傷で微動だにしない。
ただ飛んできた大型ミサイル【ビッグバラスト】に対しては直膣不動の状態から右足だけが動き、ミサイルに向かって蹴りを放つ。
最初のそれは蹴りではなかった。ミサイルはワントラップされて足先にピタリと張り付き、一度足を引いてジャーントロボに打ち返された。
パワーとスピードのみならず、繊細さと完璧な正確性も併せ持つ、究極の一振り(蹴り)だった。
グーパン状態の左手を前に突き出して自らを槍と化し、ロケット噴射で一直線に魔王を殴りに行ったジャーントロボは、蹴り返されたビッグバラストをカウンターで真正面から食らい、大爆発を起こした。
「「ジャーントロボぉぉぉぉ!」」
コンウォーリアー
「ああっとぉ、ジャーントロボ、カウンターでビッグバラストを喰らったじゃん!」
「ヤバいぞ! 茨城支部の少年隊員はモロに爆風を被ったんじゃないか?」
「生命反応がある。大丈夫そうよ。
ジャーントロボに内蔵されているバリアー発生装置が爆炎や爆風から彼を守ったみたいね」
A子が撮っている映像を見ながら、A子・ミヤノ・B子がコメントを入れていく。
ジャーントロボは辛うじて左腕でガードしたが、左腕はバリアー発生機関ごと消し飛んだ。
ついにロボは両腕を失ってしまった。
頭の横の鉄ハシゴに掴まっているだけのパイロットの少年は、バリアーのおかげでなんとか生きていた。
ぶっちゃけ『どう見てもムリムリムリムリ』ってレベルの爆発だったが、バリアーが効いていて、少年隊員は助かったんだ!
「ロボ・・・ロケットバズーカだ・・・」
息も絶え絶えだというのに、少年はまだ闘う意志が衰えていない。
「・・・・」
しかしロボは返事をしない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
返事の代わりに背中のロケットが点火し、上空高く飛び上がった。
ロボには『パイロットの命を守ることが最優先である』という絶対条件が設定されており、両腕を失いバリアー発生装置も破壊された今、非常に危険な状態であり『これ以上はパイロットを守ることができない』と判断した
「何? どうした? ジャーントロボめちゃめちゃな勢いで飛んで行ったじゃん?」
「ジャーントロボにはパイロットの生命に関わる緊急事態が発生したときに、通常の50倍のパワーでロケットを噴射してその場を立ち去る緊急回避プログラムが仕込まれているわ」
「通常の50倍のパワーで飛び上がって行ったのか? パイロットは大丈夫なのか?」
「通常なら身体に掛かる強大なGの
あの激しい上昇ぶりからすると、ブラックアウトどころか、泡を吹いて倒れていても不思議ではないわね。
でもそうはならないということは、あの少年パイロットがかなりの訓練を重ねて、超人的な肉体を手に入れてきたのか、それともロボに物理法則を超えたもの凄い能力が備わっていて、ソレが彼を守っているのかもしれないわ。
そのあたりのことは、公式では何も語られていないわね」
「も、戻るんだ、ロボ・・・ヤツを倒すんだ、ロボ!・・・・・」
ジャーントロボは無表情のまま。
「僕の、僕の命令を聞け! 言うことを聞くんだ! ロボ!!」
しかし、ロボが少年隊員の命令を聞く事は無かった。
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〈あとがき〉
★★★★ 次回予告 ★★★★
連戦だったとは言え、たった一蹴りでジャーントロボを戦闘不能に追い込んでしまった恐るべき魔王!
超伝導ロボーズに勝機はあるのか?
緊迫する戦場に火線が走る!
それは超長距離から撃ち出された光だった。
次回、社会現象を巻き起こしたアイツがちょっとだけ参戦。
いつも応援ありがとうございます。
気長に付き合ってくださって大変嬉しいです(笑)
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「魔王軍VSスパロボ&スーパーヒーロー’S ~魔界から魔王軍50万が東京に攻めてきた件~」 じょえ @aio16
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