青い薔薇の花言葉と、それを教えてくれた妻にまつわる、何か奇妙な夢のような一幕のお話。
とても不思議な物語です。
何が起こっているやら判然としない、不思議な悪夢を見ているようなお話で、まさに紹介文にある「サイケデリック」という形容に偽りなし。
状況がはっきりしないものの、少なくともこのままでは良くないということだけはなんとなく伝わる、このジリジリ迫る正体不明の危機感のようなものが味わい深いです。
作中に繰り返し登場するモチーフ、人工的に作られた品種である「青い薔薇」と、その花言葉が印象的。
また文章のリズムというか、多めに打たれた読点が独特の店舗を生み出し、なんだか皮膚に重たくまとわりつくような空気感を感じるところが好きです。
ちょっと紹介しようと思うとなかなか説明が難しいのですけれど、とにかく不思議な〝濃さ〟のようなものを感じさせてくれる作品でした。