ふたり暮らし

『あらすじ』

ある雨の日。「私」は「彼女」を拾った。
記憶のない「彼女」となし崩し的に送っている同居生活は悪いものではない。

前日飲み過ぎた二日酔いの日曜日。
「彼女」は「彼」になり、悪態をつきながらえづき、悪態をつきながらピアノを荒々しく引き始めた。ふと、演奏が止み、振り向いた「彼」の顔は「彼女」に戻っていた。
「彼女」は自身の中に何人も人格を住まわせている。解離性同一性障害や、多重人格と呼ばれる存在だ。「私」が知るのは本来の人格「ヒナカ」、10代の少年「マコト」、幼い女の子「コンコ（仮称）」の3人。多少の難はあれど、まぁまぁ楽しく暮らしている。
　二日酔いのせいで日曜は眠ってばかりだった。
　目を覚ますと夕方。電気の付け方がわからず、暗い部屋でテレビを見ていたコンコが空腹を訴えたので…続きを読む