リクルートスーツの死神

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（332文字）

就職活動に80社連敗の主人公が自殺を図るところから物語は始まります。ところがそこにやってきたのは……。
と、来れば、もうあとは読んで貰うしかないのですが、コメディがお好きならもちろんお勧め、ブラックユーモアがお好きならなおのこと。
言葉遊びの楽しさ、寸劇で見たくなるコントのようなやりとり、ひとしきり笑った後に、がんばってみようかな、と、元気が出る読後感。面白い！　という言葉だけではとても足りない、短編ながら得がたい読書経験を、ぜひあなたも。

　就職活動面接歴８０社、全滅！？

　そればかりが人生ではないけれど、落ち続ければさすがに気力体力ともに消耗するのが就活というものです。衝動的にビルの屋上から飛び降りを考えた主人公の前に現れたのは人事面接官もかくやというビシッとしたスーツ姿の——死神？

　割とふわっとした理由で死のうとした彼に、それこそ面接ばりに微に入り細に入り「死亡動機」を尋ねてくる死神ナナミさん（仮称）。
　真剣に自殺業界の死神を志す彼女からすると、死亡動機の若干甘い主人公は、つっこまれているうちに自分の人生を振り返り、やがて大切なことに気づいていきます。

　笑ってばかりはいられない世の中ですが、こうして自分を見つめ…続きを読む

　作者様の筆力で生み出された、流れる様な文章は読者の目を釘付けにします。
　ところ狭しと張り巡らされた『言葉遊び』は、実に秀逸でクスッとさせてくれる反面、息苦しい世の中をしっかり表現しています。
　ネタバレさせたくないので、多くは語れませんが、読み終えたアナタはきっと前を向いて明日に踏み出せるでしょう！

　本作から私は元気を頂きました！
有難う御座います！！