最終章・えっ? これで終わり? こんなのあり?

オ・シリーナよ永遠に〔完〕

 尻乙女の強者きょうしゃを探して、仲間にする旅を続けていた、オ・シリーナに尻大神からの伝令書が届いた。

 巻き紙の伝令書に目を通す、美尻女神オ・シリーナ。

 その傍らで、キジの着ぐるみを着たロヴンが、第四の壁を越えて読者の方を見てうなづく。

 ロヴンが指をパチッと鳴らすと、場面がモノクロに変わり停止した。

 自分だけがカラーになっているロヴンが、オ・シリーナの手から。

「ちょっと、失礼」

 そう断って、伝令書を取る。

「読者のみんなにも、何が書いてあるか、教えてあげるね……ふむふむ、なるほど」

 内容を読み上げるロヴン。


「伝令書にはこう書いてあります……『実は、おまえに伝えなければならない事柄が発生した……【来るべき時に備えて、尻乙女の仲間を探し集める……】と言ったが、アレ無しね……忘れなさい美尻女神オ・シリーナ』……すべてが無かったコトにされたぁ!? こんなのあり? あっ、続きがある『新ミッションは、ある人物に会って、新たな力を得るコト』? これ以上読むとネタバレになるので……物語で続きをお楽しみください」

 ロヴンがオ・シリーナの手に伝令書をもどして、指を鳴らすとカラーに変わって動き出した。


 尻女神からの伝令書を読み終わった、オ・シリーナが返答するように呟く。

「はい、きれいサッパリ忘れます、尻大神さま……チ・チリーナも尻女神を集める話しは忘れて」

 サルの着ぐるみを着たチ・チリーナが惚けた表情で言った。

「はい……忘れます」


 ロヴンが読者の方を向くと、第四の壁を越えて小声で囁く。

「上司からの伝令書には特殊な魔力が含まれていて、純粋で従順な天使とか女神は逆らえないのです………怖いですねぇ、作者の都合ですねぇ」

 オ・シリーナが、尻大神が会うように指示した、人物がいる方向を指差して言った。

「いざ、尻五行山へ」


 オ・シリーナ一行は、とある岩山に到着した。

 岩山には怪獣のように大きい裸の女の下半身が、四つ這いの姿勢で岩から出ていた。

 桃尻姫イヌが言った。

「デカ尻だワン」

 もっとよく見ようと、桃尻姫イヌが近づいて見上げた時に、岩山の反対側から女性の声が聞こえてきた。

「裸じゃありません! そういう模様なんです! ジロジロ見ないでください……恥ずかしいです」


 オ・シリーナたちが、声の聞こえてきた反対側に回ると、そこに上半身が岩から突き出た裸の巨大女がいた。

 巨大女──『サカナ・カナ』が、オ・シリーナを見て言った。

「あなたが、あたしを封印したタマタマンが言っていた。オ・シリーナさんですか、力を授けるために待っていました。あたしの封印を解いてください」

「確かにあたしは、尻女神のオ・シリーナだけれど……えーと、どうすればいいの?」

「岩に貼ってある、呪符を剥がしてくれれば」

 見ると岩に一枚のおふだが貼ってあった、オ・シリーナがペロッと剥がすと岩山が崩れて自由になったサカナ・カナが、銀色のマントを身につけた姿で立ち上がった。

 見上げているオ・シリーナたちに、顔を赤らめたカナが言った。

「そんなに見上げないでください……裸じゃないんです、こういう模様なんです。それじゃあ、早速オ・シリーナさんに変身アイテムを差し上げます」


 オ・シリーナの手の中に、光りの粒子が集まって巨大ヒロインの変身アイテムが出現した。

 サカナ・カナが言った。

「さあ、変身の時です『シリィィィ!』と叫んでください」

「シリィィィ!」

 オ・シリーナの全身が光りに包まれる。


 オ・シリーナが変身アイテムを使って、サカナ・カナと同サイズの巨大女神に変わった。

 口あんぐりで、見上げるチ・チリーナ。

 その時、大地を揺らして巨大な女が地中から出現した。

 怪獣の尻尾を生やした、超恐獣娘だった。

 頭に角を生やした超恐獣娘が、薄笑いを浮かべながら言った。

「やっと封印が解けたかサカナ・カナ、待ちくたびれたぞ! さあっ、尻バトルだ! そっちの新しい巨大女神も一緒にかかってこいや! あたしの胸は見ての通りの貧乳だが、ケツ圧では負けない!」

 チ・チリーナが、自分の巨乳を押さえて呟く。

「あの、小山サイズで貧乳って……それじゃあ、あたしの胸なんて石コロじゃない」

 尻バトル開始!


 大地に描かれた円の中でリズムに合わせて、尻を振る巨大女三人。

「お尻の『お』の字はどう書くの♪」

「こうして、こうして、こう書くの♪」


「お尻の『し』の字はどう書くの♪」

「こうして、こうして、こう書くの♪」 


「お尻の『り』の字はどう書くの♪」

「こうして、こうして、こう書くのぅ♪」


 大気が揺れる、尻同士が激突して発せられる衝撃波。

 身を伏せて飛ばされないように、防御姿勢になっている桃尻姫たち。

 オ・シリーナとサカナ・カナの尻ビームで吹っ飛ばされた。怪獣娘は尻尾を振りながら空の彼方に飛んでいった。

「ひぇぇぇ! 忘れるな、この世界には尻自慢の強者巨大女なんて、溢れるほどいるからな! 覚えてやがれぇ……あっ、海が見えた」


 サカナ・カナが言った。

「もう、変身アイテムを使いこなせるみたいね……それじゃあ、また尻ピンチになったらやって来るから……じゃあね、シュワッチッ」

 そう言い残して、飛行マント姿のサカナ・カナは飛び去って行った。

 チ・チリーナが、巨大女たちの胸や尻を見て力なく呟く。

「もう、胸や尻の優劣なんて……デカ胸やデカ尻を見たら、どうでも良くなった」



 オ・シリーナの尻旅は続く。

 オ・シリーナの尻バトルは、今日も世界のどこかで繰り広げられている。

 頑張れオ・シリーナ! 負けるなオ・シリーナ!

 尻派は、いつでも君を応援している。



美尻女神【オ・シリーナ】~尻乙女バトル大戦~完ケツ

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美尻女神【オ・シリーナ】~尻乙女バトル大戦~ 楠本恵士 @67853-_-

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