鬼尻VS美尻

 犬のパーティー着ぐるみを手にした桃尻姫が、策略の笑みを浮かべながら、袋から取り出したキビ団子を、オ・シリーナに差し出す。

「お団子どうぞ、おいしいよ♪」

 オ・シリーナに一歩近づいた、桃尻姫の足の下になぜかウシのウ●チが……ウ●チに足を滑らせた桃尻姫が後方に転倒する。

「おわっ!?」

 後頭部を磯の石にゴァァァーンとぶつけ。

 転んだ弾みで、空中にキビ団子がポポーン。

 倒れた桃尻姫の口に向かって、落下してきたキビ団子が、スポッ、スポッ、スポッ……ゴックン。


 起き上がった桃尻姫は、三重円の異常な目で犬のように、ハァハァと舌を出しながら言った。

「ご主人さま、この犬コロも、ご主人さまのお供に加えてくださいだワン……従属の奴隷になるワン」

 記憶を失った桃尻姫は、自分から犬のパーティー着ぐるみを着て。

オ・シリーナの仲間になった。


 磯の離れた場所から、カニ・うす・蜂・栗たちの。

「おーい、早く来いよ」の声にウシのウ●チは、ペタンペタンと跳ねて行ってしまった。

 オ・シリーナが尻ヶ島を指差して言った。

「いざ、尻鬼娘の居城へ」


 数分後──尻ヶ島の尻鬼娘たちは、上陸してきたオ・シリーナ一行に、パニックになっていた。

「大変です! ウ~ラさま、桃尻姫が上陸して攻めてきました!」

「来たか」

 鬼の金棒を持って立ち上がったウ~ラは、尻の丘を露出させる、食い込み水着をグイッと引き上げて気合いを入れる。

「来るなら来い! オレの尻は誰にも負けねぇ!」


 桃尻姫の上陸をウ~ラに伝えた尻鬼娘が、困った顔で頭を掻く。

「それがぁ、なんか想像していたのと違うみたいで……桃尻姫じゃなくて、女神みたいなのがリーダーみたいで」

「女神?」


 その頃、尻ヶ島の兵隊鬼娘たちは桃尻姫の一行を迎え討つために、オ・シリーナと対峙していた。

「ここで、食い止める」

「城に近づかせるな!」

 オ・シリーナが尻鬼娘たちに背を向けると、プリッと美尻を突き出す。

 オ・シリーナの後光の美尻に、尻鬼娘たちの手から武器が落ちる。

 戦意を喪失して、膝まずく尻鬼娘たち。

「なんて、美しい尻」

「これは、芸術品よ、この尻を傷つけてはいけない、世界遺産として保護しなければ」

 オ・シリーナの尻力に屈した尻鬼娘たちは、オ・シリーナの尻に両手を合わせて、祈りを捧げ崇拝した。


 尻ヶ島の尻鬼城の城門が、オ・シリーナのケツ圧で破られる。

 城の中庭には、部下を引き連れたウ~ラがいた。

 地面に白線で書かれた、円の中に立ったウ~ラが言った。

「なんか、状況が想像していたのと違うが、誰が相手でもオレの尻は負けねぇ!」

 オ・シリーナに向けた尻を、ポンッと叩くウ~ラ。

 ウ~ラの尻を見てオ・シリーナが言った。

「あなたの、お尻は美しくない……固いだけの筋肉尻」

「そんなセリフは、オレの尻に勝ってから言え!」

 尻バトル開始!


「お尻の『り』の字はどう書くの♪」

「こうして、こうして、こう書くのぅ!!」

 ウ~ラの岩を砕く尻が、オ・シリーナの尻に炸裂する。

 響き渡る衝撃音。

 先制の一撃にウ~ラは、勝利を確認した。

(勝った!)

 だが、オ・シリーナの両足は微動だにしない。

(オレの尻を、受け止めただと?)


 前方に大きく腰を突き出した、オ・シリーナが尻砲撃の体勢に入る。

 ウ~ラに向かって突き出される、オ・シリーナの尻……一瞬、直撃を免れたウ~ラだったが、ケツ圧の爆風に吹き飛ばされ、ウ~ラの体は岩壁に吹っ飛んだ。

「げふっ……まさか、尻が爆発するなんて」


 岩壁にめり込んだウ~ラは、数分後──オ・シリーナの前に土下座して服従していた。

「師匠! 尻師匠と呼ばせてください! 一生ついていきます!」


 こうして、桃尻姫と尻鬼娘のウ~ラが仲間に加わった。

 ウ~ラ、ウ~ラ、ウ~ラ。


 第二章~おわり~


 次回、最終章? えっ? もう終わり?

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