燦く淡い光の中に手を伸ばす

『願いの木』

その、ガラスのように輝く真っ青な木に、サアッと風が吹き、真っ青な葉がカチチッと音を立てる。
その幻想的な光景が、私を捉えて離さない。

その木は、乙女ゲームの中にある主人公であるサクラが持つブローチの、サクラの花の結晶を捧げる場所だ。
願いを叶えて貰うために。

また、その願いはゲーム内だけではなく現実世界に影響を及ぼすことが出来るという。
人であれば大概、願いとは自分の為にするものである。

だが、この物語の、サクラは違う。

明日の命も知れずにいる所為で、素晴らしい自分の価値も、愛されていることにも気づけないでいた少女が、ゲームの中できっぱりと宣言をするところは胸が締めつけられる。

『誰かの為に何もできなかった私が、誰かを助ける事ができる』

そうして、命が宿ってしまったゲーム内のキャラの為に、奔走することになるのだ。

この物語は、優しさに溢れている。
描かれる人物も、風景も、登場人物がふとした時に見せる仕草も、みな優しい。

果たして……。
サクラは、どんな恋をするのだろうか。
この世界に隠されている秘密は何か。

ぜひ、その目で確かめて頂きたい。

燦く水面を見ているような、そんな気持ちになる物語なのだ。

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