第6話 出会い

お宝作戦開始から二年ばかり前の出来事


「フブキ、もういい、お前は生きろ!」


「マスター、そんな・・・いやです!」


「いいから逃げろ!さらばだ!!」


フブキが乗ったブロックが大破した旧ザクから射出された。


「マスター!いやぁぁぁぁぁ!!」


古龍が放つクエーサーフレームで消し炭となった旧ザクをカメラ越しに見せられたフブキは叫んだ


『・・フブキ、マスタートノハエクスパイアー。サバイブスルノガ、プライオリティ・・・』


『ハ・・ハイ、初期ブートシテ、ドクターFノモト二ムカイマス。』


リブートされたフブキは戦場を離脱してハカタに向かおうとしたが、戦場荒らしの火事泥どもに目を付けられた。


「おい、はぐれドールだぜ。どうするよ?」


「ドックに渡せば金にはなるけど、それだけじゃ戦場に来た意味がない!ここは・・・ヘヘヘヘ」


火事場泥どもが、フブキに話しを持ちかけてきた


「お嬢ちゃん。マスターを失ったのかい?」


「は、はい、ハカタのドクターFのところに連れて行ってくれませんか?」


「ハカタ?わかった、ついてきな」


フブキを騙した火事場泥どもは廃屋に彼女を連れ込んだ


「きゃあああ!!やめてください!!!!」


「へへへへ、下半身は新品と来た~最高だぜ!!!」


「いいのか?買取価格は新品の方が高いぜ?」


「だが、新品ドールと楽しめるのもそうはないぜ。未経験なオボコを女にしてやろうぜ」


「そうだな・・・優しく可愛がってあげるぜ」


「い、いやあああああ!!!!!!!」


マスターを失って、人に歯向かう術がないフブキは慰め者にされて、買取屋に渡されることになった。


「なんだ、ブロンズのキズモノか。150金(この時代。腕のいい職人が月10両である)ってとこだな?」


「それは酷いぜ、旦那ぁ~200金でお願いしますよ~」


「ダメだ。差額は授業料として差し引かせてもらうぞ」


「ち・・わかりやしたよ!」


買取屋からゲオポリスの揚屋に転売されたフブキは、揚屋の常連客の慰み者となった。


「フブキ、お前のサービスが良くないと旦那方がご不満だ。をしてやる!」


中庭に引き出されたフブキは、揚屋で囲われている(違法に集められた)他のドールたちへの見せしめとして、庭木に吊るされて折檻を受けた。


「まったく、酷い扱いをされたポイね・・・」


「ポイヌちゃん、私たちはここから解放されるのかな?」


「ポイ、わからないねぇ。フブキは戦場に戻りたいの?嫌な光景を見てきたポイ?」


「見てきました!でも、ここで腐った上流階級に弄ばれるのは惨めなだけです!」


「そう・・・いいマスターと会えるのなら戦場に戻ってもいいかな?」


ポイヌと名乗るドールは、フブキを慰めた。


フブキが拉致られてから一年が経った。


士官学校卒業後、希望通りに機動人(MS)ライダーに選ばれたハセガワ・ユキムラ近衛少尉が、上司のマツナガ近衛大尉に呼び出された。


「ハセガワ少尉、参りました」


「よくきたな、少尉、君にやってもらいたいことがある」


「中隊長ありがとうございます!どんな任務ですか?」


MSライダーにはなれたが、MSとドールは与えられずに、中隊の日々の報告書の作成整理、装備品を管理する大隊本部との折衝、中隊MSの慣らし運転等の雑用ばかりでウンザリなユキムラは、仕事を与えられて目を輝かせた。


「少尉、君に首都警察隊に出向し、ロッポンギでの内偵を命じる。先方が用意してた部下が、君を補佐するよう頼んだ」


「内偵ですか?」


「そうだ。ロッポンギで、軍に納められるはずのドールを横流しし、慰安婦として使う娼館がある。君は首都警察と協力して証拠を掴み、これを摘発したまえ」


「了解しました。中隊長、お気遣いありがとうございます!」


初めての任務が憲兵隊の犬どもと協力しての色街の内偵かよと不満なユキムラを、同期のイイ・ナオマサ近衛少尉が茶化した


「ギロッポンの内偵だったら替わってやってもいいんだぜぇ~」


「かわってやりたいのは、山々だが、『軍人の掟』で命令拒否は許されないだろうが・・」


「まあ、頑張れよぉ~生真面目なユキムラ少尉さん!」


「ありがとうよ。僕がいない間の中隊日誌の提出は頼んだよ」


「了解ぃ」


皇国民を護るため、らと戦うのが、MSライダーの仕事だろと言いたげなユキムラは、ナオマサに書類整理を頼んだその足でサクラダゲート前の首都警察隊本部に向かった。


「来客のご用件と姓名をお願いします」


「ハセガワ・ユキムラ近衛少尉であります。コバヤシ・ゲンブン警視はいらっしゃいますでしょうか?」


「コバヤシ警視ですか?少々、おまちくださいませ」


ユキムラがやってきたその時、そのコバヤシ警視が仕切る保安課で、やりとりが始まった。


「ナカムラぁ~なんだぁ~この報告書はぁ~上に提出する俺の立場も考えろよぉ~」


「サトウ警部補、あの管轄を内偵してたのですが、本当に何もなかったのですよぉ~」


「貴様の不始末の後始末のために、上に怒られるのは、俺なんだぞ!もういい!!その腐った根性叩きなおしてやる!!!歯を食いしばれ」


バキッ、サトウのビンタがナカムラの頬にさく裂した。ナカムラはように席で毒ついた。


「ブタ野郎、いつか殺してやる!」


「ボケ・・・ん、なんだ?」


やりとりが終わったサトウに受付嬢が来客が来たことを告げた。


「そうか、近衛からのお客様か?ナカムラ、報告書はいいぞ!」


「いいんっすか?あんなに叱ってたのに?」


「俺がいいといったらいいんだよ!早く着替えろよぉ~ノロマ野郎!!」


「・・・は、はい(畜生、ぜってぇぶっ殺してやるよ)」


サトウとナカムラが応接室に入ってきた時、お互いの名刺を交換したユキムラとコバヤシは、応接室で雑談していた。


「少尉、例の二人がやってきたぞ。二言目に内輪もめする二人だが、仕事はきっちりする。上手く使いたおしてくれ!」


「警視、ありがとうございます」


「時に、少尉、女を抱いたことはないんだな?」


「はい、書類仕事がいそがしくて・・・・」


「まあ頑張り給え!軍隊も警察と同じく要領だ。細かいところは部下に任せるのも士官の器量だぞ!」


「はい、ありがとうございます」


サトウとナカムラが部屋に入って自己紹介した


「サトウ・ダイスケ警部補です」


「ナカムラ・マサノリ巡査長です・・・いてぇ!」


「ナカムラ、なんだその態度はぁ~キサマがジャレあってる与太郎どもみたいな馴れ馴れしい態度を少尉殿に取るんじゃねぇよ!」


「サトウ警部補、そこまでしなくてもいいんだぞ」


「そうですか・・では、下準備に入りましょう」


三人・・ナカムラはサトウに首を抱えながら下準備にとりかかった


「少尉の本当の身分を使っていいのですね?」


「ここは僕の身分と保証人の名前を使った方がいいと思ったのだが・・どうだサトウ警部補?」


「はい、異存ありません・・おい、ナカムラ、それでいいよな!」


「いててて・・・全く、その通りでごぜぇます・・・」


下準備が終わった


「ナカムラ巡査長、似合ってるかな?」


「ええ、都に遊びにきた田舎伯爵の若様にございます!」


「貴様ぁ~、少尉殿に馴れ馴れしい口の利き方をするな!」


ように、サトウのビンタがナカムラの頬に炸裂した。


「クソ、いつか殺してやる!」


「まあ・・サトウ警部補、ナカムラ巡査長も悪気があったわけじゃないし、その辺にしたまえ」


「失礼しました。で、少尉殿、これは私からの提案ですが、私とコイ・・いやナカムラ巡査長で、少尉殿のタイコモチを務めさせていただきます。よろしいですか?」


「わかった。調子でやるんだね?」


「その通りであります!おい、ナカムラ、稽古だ!いくぞ!!」


「いてててて・・・絶対に殺してやるからなぁ!」


サトウに首を掴まれて去っていくナカムラ達をユキムラは、苦笑して見送った。


三日後


とある若君と太鼓持ち二人が、夜のロッポンギに現われた。


「若様、ギロッポンはいかがですか?」


「うむ、アルビオンとは全く比べ物にならんぞ~実に楽しいところじゃ~次はどこへ参ろうか?」


「そうですな~おいナカムラぁ、適当なところを探してくれぇ~」


「へい、わかりました~」


適当な店を見つけたナカムラは、そこの支配人と掛け合った


「うちの店は紹介制で、飛び入りの一見様はお断りなんだ。他をあたってくれ」


「アルビオン伯爵の若様が、この店をご指名なんだ。なんとかしてくれないかなぁ~」


「おととい言いやがれ!おい!」


店の黒服どもに掴みだされたナカムラは、ホウホウの体で二人のところに戻った


「アホ!ボケ!カス頭!若様、申し訳ありません!!」


ナカムラの首根っこを掴みながらサトウはユキムラに謝った。ユキムラは苦笑しながら答えた。


「しょうがないね・・じゃあ、僕がかけあってみよう」


「いいのですか?」


「いいさ。支配人が嘘だと思ってるんだろ?なら、その当人がいくべきだよ。ボクに任せてくれ」


「それでは、お任せします」


店に入ったユキムラは、支配人に身分証を見せた


「アルビオン辺境伯令息・ハセガワユキムラ様ですか?」


「僕が偽物だと疑うなら、保証人のミナセ伯爵家に問い合わせたまえ」


「あの・・・・お代はどちらに請求すればよろしいので?」


「お代は、保証人のミナセ伯爵家に要求したまえ。コースは、そうだな『桜』にしてほしいね」


「『桜』でございますか、それは・・・」


「料金は、ミナセ伯爵に請求すればいいだろ?」


「失礼しました・・こちらが目録でございます」


支配人から目録を受け取ったユキムラは、田舎貴族のおぼっちゃまのような調子で頁を繰って、ドールの品定めをした。


「このフブキがいい。部屋に連れてきてくれたまえ!」


「わかりました・・おい、お客様がフブキをご指名だ!すぐに手配しな!」


「へい」


「ご苦労さん、少し外に出て、付け人に骨折り代を渡してくるよ」


「どうぞ」


外で待つサトウとナカムラに話がついたと伝えたユキムラは、店に戻りフブキが来るのを待った。


「君がフブキか?随分な格好だね。ほとんど裸じゃないか?」


ドールと言えば、を引き継いだ機械人しか作れない耐熱スーツを着てるものと思いこんでいたユキムラは、薄物だけのフブキを見ながら苦笑した。


「はい、店に来る男の人は、こういう恰好で接待するのが好みですので・・・マスターは違いますか?」


「マスター?僕は使じゃないぜ?」


「ですが、マスターがいない今の私にとっては、若様が仮マスターになります。どうぞいいように楽しんでくださいませ」


「そうか、とりあえずお色直ししてもらえないかな?」


「はい、どのような服装が好みですか?」


「そうだな・・これがいいな」


「セーラー服ですか?」


「ああ、田舎でメイド服は見飽きてるんだ。これがいい」


「わかりました」


着替えるために階下に降りたフブキはポイヌとすれ違った


「フブキ、着替えるの?」


「ええ、マスターが水着は好みじゃないというからね。ポイヌちゃんは水着なの?」


「そうだよ、フブキの今日の客はネンネだね・・ぽい?」


「はい、でも、いつもの客とは少し違うみたいなのです」


「そう、じゃあお仕事頑張ってね!」


あの若様はじゃないんだなと察したポイヌはフブキをそれとなく励ました。


「着替えてくれたんだね!フブキは僕に何をしてほしいのかな?」


「ユキムラ様は勉学のためにゲオポリスに来られたと聞きました。私に授業してくれませんか?」


「いいよ。だが男女の道はまだだよ・・・」


「そこは私にお任せくださいませ!」


「うん、お願いするよ」


部屋の中で二人は愛し合った。言ってた通りの初めてのお坊ちゃんだなと苦笑したフブキは、大切なことに気づいた。


「マスターはMSライダーですよね?」


「わかるのか?僕は・・・」


姓名と本当の官職を名乗ったユキムラにフブキが尋ねた。


「はい、でも何がために?」


「店の内偵及び、然るべきマスターの元に戻るべき君たちを助けに来たんだ!」


「そうですか・・私は早く戻りたいのですが、ここには満足してる娘がいます。その子達は?」


「その子達も君と一緒に近衛が引き取る。君たちに選択権はないと改めて伝えておくぞ」


「そうですか・・なら、私たちが認められた権利を行使します。ユキムラ様、私のとしてくれませんか?」


「いいよ。早速だがフブキ、この店の内情を教えてくれないか?」


「はい、マスター」


店の内情と顧客リストの名前をフブキに教えてもらったユキムラは、随分なオエラ方が常連かと苦笑して、別の店にいるサトウとナカムラに合図を送った。


「ナカムラ、仕事だぞ」


「え、まだお楽しみの最中ですよ・・・ぐぇつ!!!」


「おい、お開きだ。迷惑料込みの勘定だ」


サトウの右ストレートが炸裂して昏倒するナカムラの首を掴んだサトウは勘定を払うと、最寄りの番所に飛び込み、証拠をつかんだと本部に伝えた。


同じ頃、フブキと契約したユキムラが、店の支配人にフブキを見受けしたいと掛け合っていた。


「さっそくだが、フブキの身請けをしたい。いくらだ?」


「旦那ぁ~そこまではウチでは面倒見切れませんよ~いくら金を出されてもそれはできません」


「そうか、フブキとしたんだ。タダで持っていかせてもらう!」


「・・・アンタ、誰だよ!」


「ハセガワ・ユキムラ近衛少尉だ。まあ、店で使った身分と身元保証人は本当だけどな・・という言い訳は通用しないようだね。フブキ?」


二人は店の黒服どもに囲まれた。


「近衛の犬、タダで帰してくれるとども思ってるのか?」


「僕はタダで帰してくれないのはわかったが、フブキはどうするんだ?」


「あのアマは見せしめのためにへし折ってやるのさ」


「だとさ・・フブキ、お楽しみの時間だ」


「はい、マスター!」


「ふざけるな・・やっちまえ!」


サトウとナカムラが率いる巡邏隊が、野次馬どもを押しのけて店にやってきた。


「警部補、店から叫び声があがってます。今すぐ踏み入りましょう!」


「ナカムラ、貴様バカか・・少尉殿にお任せするんだよ。一段落したら踏み込む」


「いいのですか・・ぐぇつ」


アレが始まった。またナカムラの愚痴を聞きながらサトウは思った。


「あのボウヤはやはりタダ者じゃなかったか?あのボウヤについていけば面白い話がつくれるかもな。その時はナカムラにも声をかけるか?」


勤務の傍ら、小話を噺やに売り込んでるサトウは騒動を見守ることにした。


「・・・やはり、ゴウ様から伝授された格闘術は役に立つな」


5人の黒服を血祭りにあげて微笑むユキムラに、フブキを羽交い絞めした黒服が叫んだ


「近衛の犬め、遊びはそこまでだ。それ以上抵抗するとフブキの目玉を抉りだしてやる!どうなんだ!!」


「好きにしろよ。だが、君はMSガールの恐ろしさをしらないようだね」


「なんだって!?」


「フブキ、やっちゃいなよ・・・」


「はい、マスター!!」


ユキムラに命じられたフブキは、黒服の腕を掴んで投げ飛ばした。そいつの首を掴んだユキムラはフブキに聞いた。


「フブキ、は来たか?」


「はい、木戸に随分と並んでおります!」


「そうか・・なら、そろそろに入っていただくかね?おい、貴様」


「は・・・はい」


「運がわるかったな・・貴様、それっ!」


首根っこを掴まれた黒服は窓から外に投げ飛ばされてサトウたちの前に転がされた。そいつの身柄を確保したサトウは巡邏を率いて店に踏み込んだ。


「少尉、ご苦労様です。おい貴様ら!!」


「は、はい!」


ユキムラの強さに驚いて腰を抜かした支配人はガタガタ震えて命乞いを始めた


「言い訳はサクラダモンで聞こうか?おい、ナカムラ、店にいる連中はそれで全員か?」


「はい、全員の身柄を確保しました。ですが・・・」


「ですが・・なんだ?」


「少尉殿が店で働かされたガールに聞きたいことがあるとおっしゃいましたので、地下室に参りました。止めますか・・ぐぇつ」


「貴様、アホか!少尉殿は考えがあって、そうされたんだ!黙って見とけ!」


「は、はい・・・絶対に殺してやるからな・・」


ナカムラが、いつもの愚痴をこぼしたその時、フブキに案内されて地下室に降りたユキムラはそこにいたガール達に尋ねた


「僕はサナダ・ユキムラ近衛少尉である。君達は近衛部隊に解放された。僕についてこい!」


ガールの一人がポイヌに尋ねた。


「ポイヌちゃん、どうしよう?」


「どうするって、私はユキムラやフブキと共に行くよ。ムツキはどうするの?」


「ポイヌちゃんが行くのなら、ムツキもいくのし!みんなはどうするの?」


「・・じゃあ、私たちも行くよ!」


「フブキ、決まりだよ。私たちもマスターを探すよ」


「ありがとう・・ポイヌちゃん」


「今は・・ユウダチだよ」


耐熱スーツに着替えたユウダチがフブキに答えた。


本来の耐熱スーツに着替えたガール達は、ユキムラと共に近衛部隊に戻った。


「ユキムラ、やったな!俺好みのガールはいたか?」


「多分ね・・だが、その子が気に入るかは君の働きしだいだぜ!」


「そうか・・まあ振り向かせてやるさ!」


サクラダモンに拘束された支配人の自供と店の顧客名簿から、多数の政府高官の子弟に容疑がかかったその時、近衛部隊では、会が始まった。


「マンチヨ、どうだった?」


ユキムラに尋ねられたナオマサはニコニコ顔で答えた


「ユウダチは俺のモノになっていいと答えたよ。ムツキはシロウをマスターにするということだ」


「そうか・・それはよかったね。マンチヨ、一つ貸しだよ!」


「わかってるさ」


更に一年後の今


110号と111号を護りながら、回収地点に向かうタカツキ大尉が率いるMS部隊に、騙されたドラゴンどもが襲い掛かってきた。


「マスター、7時方向から敵ドラゴンが急速に接近」


「フブキ、迎撃できるか?」


「なんとかしてみます!え、ユウダチ?」


「どうした、フブキ」


「フブキ、ザクをしゃがませてポイ!グフを飛ばすよ」


しゃがんだザクを踏み出しにして、ナオマサとユウダチが操縦するグフカスタムが飛び上がった。


「マスター、今だポイ!」


「いいぞ、ユウダチ!」


左腕に装備したシールドガトリング砲で制圧したグフカスタムは、右手のヒートサーベルをドラゴンを袈裟切りした。


「やったぜ!」


「マンチヨ、ありがとう!」


「気にするな。いつぞの借りの埋め合わせだぜ!」


命拾いしたユキムラに感謝されたナオマサが答えた。


「ユキムラ様達は頑張っています。マスター、突破できますか?」


「ならいいんだがな・・・」


部隊を率いるタカツキが、このままではすまないだろうと心配していたその時、アンダマン島で、騒動が起きた。


「ホシイ少尉、やめてください!それは近衛師団のテストMSですよ」


「だが、これがないとユキムラ達がやられる。それを見過ごすことはできない。ナカムラ上等兵、悪いな!」


「そんな、やめてください!うぐぅ・・・」


「マスター、警備隊は当て身で制圧しました。よろしいですか?」


「ご苦労、オオヨド、ギャプランにトラップやバグがないか調べてくれ」


「はい、マスター、喜んで!」


オオヨドの手によって、機体に問題がないことを確認したホシイ・ノブシゲは、ギャプランを発進させた。


「何ぃ、ギャプランから出撃要請が出てるだと!誰が動かしてるんだ!」


管制官からギャプランから出撃要請が出てると知らされたサトウは現場に向かい、そこで伸びてるナカムラに喝を入れた


「貴様、一体、何をしたんだ」


「少尉達にあっという間に伸ばされて、ギャプランに乗り込まれたんです~」


「な、なんだと!?拡声器貸せ!ホシイ少尉、自分は警備責任者のサトウ・ダイスケ曹長です。今すぐ発進を中止してください!」


コクピットの周回モニターをオンにしたノブシゲは、後部座席のオオヨドに尋ねた。


「オオヨド、どうする?」


「こうなっては仕方がありません。警備隊を制圧しつつ飛び上がります!」


「そうか・・死者は出すなよ!」


「了解しました!」


警備隊と管制塔を制圧したギャプランはその行き足で戦場に飛んだ


「侯爵、どうしましょう?」


「・・・ホシイ少尉を呼び出せ。少尉、聞こえるか?」


「侯爵、聞こえます。このまま戦場に向かいます!止めても無駄ですよ」


「マスターどうする?撃墜するか?」


テンリュウに処置を聞かれたマエダ・トシナガ侯爵は答えた


「・・・ホシイ少尉、聞こえるか?コムサイが撃墜された。すぐに次の合流地点に行け。合流地点は・・・・」


合流地点を教えられたノブシゲとオオヨドは、共に微笑んだ。


「侯爵、お気遣いありがとうございます!オオヨド、行くぞ!」


「了解、マスター」


「ユキムラ、タカツキ大尉、もう少しの辛抱だぞ!」


二人が操作するギャプランは戦場に向かった


(続く)

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ユキムラとノブシゲ @ottocaius

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