第41話 爆発騒ぎの調査に同行する事になった
6日目7
結局、メンダースの“処分”に関しては、やつが特に犯罪行為には手を染めていなかった事、ただし【黄金の
メンダースの件が一段落ついた所で、俺は改めて“仲裁”の件について、トムソンに聞いてみた。
俺としてはこの流れで、今日このまま、この前
トムソンが申し訳無さそうな顔になった。
「カース、すまん。実はこの後、
「何かあったんですか?」
俺の問い掛けに、イネスが口を開いた。
「実は昨日もまた、謎の大爆発が発生したので、その調査をお手伝いしてもらう事になっているのです」
謎の大爆発……
まあ、九分九厘、俺にとっては謎でも何でもない、昨日のアレの話だろうな。
俺は昨日、【殲滅の力】を街の東の高台で使用した時の事を思い出した。
と、イネスが突然、何かを思い付いたような顔になった。
「そうだ! カース殿とナナ殿も調査、手伝って頂けませんか? もし手伝って頂けるのなら、それなりの報酬、ご用意しますよ?」
報酬!
相手は深淵騎士団副団長様だし、それなりの額を用意してもらえるのではないだろうか?
まだまだ金欠が解消していない俺には、なかなか魅力的な提案だ。
それに調査に同行すれば、今、あの場所がどうなっているのか、合法的に確認しに行ける。
しかしトムソンが渋い顔になった。
「もしかしたら
おいトムソン!
なんだその身も蓋も無い言い方は?
って、俺のレベルが、本当は313だって事を知らないトムソンからすれば、当然すぎる発言か。
それにまあ、レベルがこれだけ高くなっても、確かにスキルも魔法も一切使用出来ないのは事実だけど。
俺が少しばかり落ち込んでいると、トムソンが言葉を続けた。
「ボランティアならともかく、報酬が発生する調査にご協力させて頂く以上、冒険者ギルドとしても、ちゃんとした人員を用意させて頂く必要があるかと」
しかしイネスが意外な事を言い出した。
「カース殿は、
「なるほど……」
トムソンが思案顔になった。
そして俺に改めて問い掛けてきた。
「一応聞くが、もしこの調査に同行してくれって話になったらどうする?」
「それはもちろん、俺なんかで良ければ、喜んで参加させて貰いますよ」
調査は昼間に行われるみたいだし、イネス達深淵騎士団とトムソン以下、冒険者ギルドの精鋭達が参加する調査への同行は、俺にとってはリスクゼロの御褒美クエストみたいなものだ、
と、それまで黙って話を聞いていたユハナが声を上げた。
「その調査、私達もお手伝いさせて下さい!」
トムソンがジロリとユハナを睨んだ。
「お前達が?」
「はい。報酬は辞退しますので、是非ご協力を……」
マルコやハンス、ミルカといった、【黄金の
「お、おい! どういうつもりだ?」
「無報酬ってなんだよ!?」
「そうよ。それに私達、今日は
そんな彼等に対し、ユハナが何事かをひそひそ説明し始めた。
内容は聞こえてこないけれど、どうせ
はっ!?
もしかして調査の間、合法的に俺に付き
やがて相談がまとまったらしく、ユハナが再び口を開いた。
「このたびは色々な手違いが重なって、冒険者ギルドにも、イネス様にも色々ご迷惑をおかけしてしまいました。ですから今日は無報酬で、皆様の為にご奉仕させて頂きたいのです」
手違いってなんだよ。
お前等が確信犯的に偽者連れて来たからこその、今朝の騒動だろ?
と心の中でツッコんでいると、イネスが冷ややかに言い放った。
「申し訳ないですけど、例え無報酬でも、信義と言う言葉と対極にいらっしゃる方々を、調査に加えるつもりはありません」
「では、私だけでもお供させて頂けないでしょうか?」
イネスが怪訝そうな表情になった。
「あなただけ?」
ユハナが
「私は聖女の『職』を得ておりますし、万一何かあった場合、皆様を癒して差し上げる事が可能です。それに行き違いとは言え、私がメンダースさんをカースさんの尾行者だと偽ってしまったのは事実です。どうか私に罪を償う機会を与えて下さい」
ユハナはそのまま深々と頭を下げた。
それをマルコやハンス、ミルカ達も神妙な面持ちで眺めている。
イネスが軽く嘆息した。
「なるほど。確かに罪を償う機会は与えられるべきかもしれませんね」
ユハナが顔を上げた。
「でしたら!」
イネスがにっこり微笑んだ。
「ですがそれは“今”では有りません。調査への同行の申し出、丁重に断らせて頂きます」
結局、調査への同行、俺とナナは認められ、【黄金の
イネスから、1時間後をめどに現地集合と聞かされた俺は、ナナを連れて準備のため、一度宿に戻る事にした。
追放されたら美少女を拾った件 風の吹くまま気の向くまま @takashi21
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。追放されたら美少女を拾った件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます