世界のルールを捻じ曲げてしまう掟破りの禁術

 異界からの侵略者により滅亡寸前の世界、とある小さな村で家族を守らんと祈る男性の、意外な活躍の物語。

 絶望感漂う終末世界が魅力の異世界ファンタジーです。たぶん。いえ、ジャンルがラブコメに指定されているように見えるので、もしかしたらラブコメなのかもしれませんけれど、とにかく強大な侵略者の魔の手から世界を救う男の英雄譚です。

 これ以上は何をどうやったところでネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。いやある意味キャッチコピーですでに半分くらいネタバレしてる面もなくはないのですけれど。



〈  以下ネタバレ注意!  〉

 笑いました。作品そのものは間違いなくコメディ作品で、そのための前半の溜めの威力が凄い。
 キャッチコピーからうっすら「もしかして」と予感される展開を、でも実際に見せられた瞬間のインパクト。わかっていたはずなのに躱せないのがずるいです。こんなの絶対笑っちゃう……。

 もちろん「わかっていた」といってもそれは大枠としての展開の話で、個々の詳細な事象はまったく想像の埒外なのがまたすごい。特に終盤のやりたい放題感なんかもう本当に大好き。
 単純にスカッと笑えて楽しい、テクニカルなコメディ短編でした。最後の一行も好きです。ちょっとした捻りというか、急にピリッと鋭い感じ。